史上最大の肉食恐竜スピノサウルスとティラノサウルスが夢の競演!

「恐竜博 2016」に行ってきた!

2016年3月7日(月)、8日(火)から開催される「恐竜博 2016」のプレス内覧会が開催! 長い間 “謎” に包まれていたという史上最大の肉食恐竜「スピノサウルス」と「ティラノサウルス」が対峙し、まさにこれから闘いがはじまりそうな展示は迫力満点! さらに「パラサウロロフス」の赤ちゃん化石の発見から鳴き声を再現、親子でコミュニケーションをとっていたなど最新の研究成果も披露しています。内覧会で行なわれた本展監修の国立科学博物館 真鍋真博士のギャラリートークがとても良かったのでご紹介!読めば「恐竜博 2016」を10倍楽しめます!

子供たちに大人気!史上最大の肉食恐竜スピノサウルスとティラノサウルスが夢の競演!「恐竜博 2016」に行ってきた!

7つのキーワードと最重要標本から、恐竜研究の最先端の成果を紹介!

恐竜博 2016」は「起源」「植物食」「飛翔」「水中進出」「赤ちゃん」「恒温」「鳴き声」という7つのキーワードを通して恐竜研究の最先端の成果と最重要標本を多くの方に親しんでもらおうというものです。

最初のキーワードは恐竜の「起源」。恐竜は爬虫類なので、もともとはワニやトカゲのように四足歩行で、がに股で腕立て伏せをするように這って歩いていました。

しかし恐竜はあるとき二足歩行になります。そのとき、がに股ではなく足を体の下に真っすぐ伸ばすようになる。そうすると足だけを動かして歩くことができ、さらに四足歩行に比べて速く走れるため、敵から逃げたり獲物に追いつくことができるようになる。そして同じ時間とスタミナで遠くまで行けるようになることで、恐竜はほかの爬虫類よりも繁栄していったと考えられています。

最近、恐竜に近い爬虫類が次々に見つかっていて、今回は「アシリサウルス」というアフリカで発見された恐竜の親戚を紹介しています。化石を見るとすごくよく似ています。恐竜と爬虫類の境目は難しく、どこまでが爬虫類でどこからが恐竜かはわからないくらい連続的な進化があった。初期の恐竜はみんな二足歩行で体が小さく、その機動力にものを言わせて世界中で繁栄していった。最初の恐竜は小さな二足歩行の爬虫類で、爬虫類の中の少数派に過ぎなかったのです。

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「恐竜博 2016」公式サポーターの武井壮さん。スピノサウルスの「スピノ」は「トゲ」という意味。「僕にもこのトゲ(骨板)があったらいいな」と骨板と尻尾を背負って登場! スピノサウルスの全長は武井さんの三段跳びの記録とほぼ一緒。「頭から尻尾まで3歩ですね」と言いつつも、「縦もあるので、全長15m以上の迫力がありますね」

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「骨格だけを見てもスピノサウルスとティラノサウルスはまったく異なる生態ということがわかりますね」。「もし闘うとしたら?」という質問に、「膝を目がけて小石を3,000発打ち込みます」と、武井壮さん

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「恐竜博2016」の監修を務めた国立科学博物館の真鍋真博士によるギャラリートーク。会場をまわりながら7つのキーワードを説明してくれました

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最初のキーワードは恐竜の「起源」。アフリカで発見された「アシリサウルス」は、恐竜にもっとも近縁な爬虫類。骨盤の股関節が貫通していないことから恐竜ではないことがわかる

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確実に恐竜に分類できる最古級の化石「エオドロマエウス」(写真右)、「エオラプトル」(写真中央)、「ヘテロドントサウルス」

キーワード「植物食」は、恐竜が大きくなった理由のひとつ

もともと恐竜はすべて肉食でした。しかしあるときチャレンジャーがいて植物を食べはじめます。植物という資源は豊富にあるので、植物を食べる恐竜は一気に個体数を増やし、それにともない種類も増えていきました。

恐竜は大きいというイメージがありますが、恐竜が大きくなった背景には植物を食べはじめたことと関連があると考えられています。植物は繊維が固くて消化に時間がかかります。私たち哺乳類は歯でよく噛んで租借し、長い腸で分解していますが、初期の恐竜はあまり租借することができませんでした。噛み付いて飲み込むくらい。そうすると腸を長くして消化をしなければならない。そのため自然と体が大きくなりました。

カマラサウルス」という恐竜は26mくらいですが、最近37mクラスの恐竜が見つかったというニュースがありました。「カマラサウルス」の子どもの実物化石を展示しています。子どもは小さいけれど、植物を食べどんどん大きくなっていきます。

最新恐竜研究の成果ですが、チリで発見され、2015年に命名された「チレサウルス」は、もともとは肉食恐竜でしたが、植物を食べるようになった変わり者です。2015年に一番注目された恐竜のひとつです。

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2つめのキーワード「植物食」。後ろに見える大きな恐竜の画像は成長した全長26mほどの「カマラサウルス」。もともと恐竜は肉食だが、植物を食べるようになって大型化したと考えられる

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もともとは肉食恐竜なのに、植物を食べるようになった「チレサウルス」。獣脚類だが歯はナイフのような鋭さがなく、先端は大きくすり減り植物食の特徴がある。植物の繊維をすり潰して食べていたと考えられ、獣脚類恐竜でははじめての発見

キーワード「飛翔」では、恐竜から今の鳥までを化石で追う!

恐竜はすべて絶滅したのではなく、その一部は鳥として現在まで進化を続けているということはわかっています。「ミクロラプトル」は2000年代に中国で発見された鳥類へ進化する過程の羽毛恐竜です。前足には羽ばたき能力はなく、後ろ足にも翼があり四翼で枝から枝へ滑空していたと想像されています。そのようにしているうちに前足の羽ばたき能力が高くなると後ろ足の翼が必要なくなり、そして現在の鳥の姿が完成するというのが化石で追えるようになっています。

また2015年に命名され、その年イチ押し恐竜が「イー」という、コウモリやムササビのような膜を持っていた恐竜。今の鳥で膜を持っているものはいないので、膜で空を滑空するのは進化においては失敗したというか、引き継がれなかったというのがわかります。

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3つめのキーワード「飛翔」。たくさんの化石の発見や研究の成果により、現在の鳥の姿が完成するまでが化石で追えるようになった

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ミャンマーとカナダで見つかった、琥珀の中に閉じ込められた羽毛や花びら。琥珀はまるでタイムカプセルのよう

本展の目玉! キーワード「水中進出」で
史上最大の肉食恐竜「スピノサウルス」が登場!

肉食恐竜は「ティラノサウルス」のように二足歩行で陸上を走り回るイメージです。実際、肉食恐竜は二足歩行で水の中には進出しないと思われていました。

しかし長い間謎に包まれ、2014年にようやく全身骨格が復元された「スピノサウルス」は、四足歩行で水の中で長い時間を過ごす恐竜だったらしいという驚きの発見がありました。しかもティラノサウルスよりも2mほど大きい全長15mほどもあるのです。

「スピノサウルス」の鼻の先端にはいくつもの穴があり、それはワニと同じような魚などの動きがわかる感覚器官です。陸上では四足歩行し、水中では後ろ足で水をかき、しっぽも使って水中を移動していたと考えられています。

背中の突起(骨板)の機能は未だに議論していてわかっていませんが、「ステゴサウルス」のように表面に血管がないので、体温調節に使われていたものではなさそうです。おそらく威嚇や縄張り等に使われていたのでは、と考えられています。

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4つめのキーワード「水中進出」。ここでは、長い間謎に包まれていた「スピノサウルス」の全身骨格と、その特徴を比較しやすいようティラノサウルスの全身骨格が展示

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2014年にようやく全身骨格が復元された「スピノサウルス」。実は水の中で長い時間を過ごす変な恐竜だったということがわかり、肉食恐竜は通常二足歩行で水の中には進出しないと思われたていたため驚きの発見だった

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「ティラノサウルス」と比較することで「スピノサウルス」の生態の違いがわかる。なおティラノサウルス「スコッティ」もかなり貴重なもの。一番最近復元された、世界で3体しかないレプリカのひとつ

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「スピノサウルス」の鼻先にある穴はセンサーになっていて、獲物を敏感に察知していた。CTスキャンを撮ると鼻の骨の奥まで穴が続き、現存する生物ではワニと同じような構造。泥水の中でも獲物を探知できる

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「スピノサウルス」が泳いでいる姿での展示は日本では今回がはじめて。本当に泳いでいるような雰囲気が漂う。後ろ足はティラノサウルスと比べるとかなりきゃしゃで、おそらく陸上では二足歩行はできなかったと思われている。しかし水かきがあったのではという仮説もあり、水中では後ろ足で水をかき、しっぽも使って移動していたと思われている

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「スピノサウルス」の背中の骨板の機能は未だに不明。表面に血管がないため「ステゴサウルス」のような体温調節のものではなさそう。威嚇や縄張り等に使われていたとも考えられている。写真は「ステゴサウルス」の骨板

キーワードの「恒温」から新たな恐竜の秘密が明らかに!?

爬虫類は変温動物ですが、鳥は恒温動物で、体温を保とうとします。恐竜には飛べなくても羽毛を持っているものもいて、温暖な地球でなぜ羽毛が必要だったのかという疑問が出てきます。

今までは、鳥に進化するにつれて恐竜も羽毛を持ち恒温動物になったと納得していましたが、恐竜の中で鳥になるのは竜盤類という種類。しかし2014年に報告された「クリンダドロメウス」は鳥盤類という鳥にならない種類の恐竜なのに、鳥類と同起源の羽毛を持っていたのではないかとされています。

もしそうだとすると、羽毛は鳥類の起源の近くではなく、竜盤類と鳥盤類が枝分かれする前に出現していなければなりません。つまり恐竜は最初から羽毛を持っていて、恒温動物への進化をはじめていたのかもしれません。最近、テグトカゲも産卵期には恒温動物になるという驚きの事実が発見されました。

恐竜博 2016」では、恐竜研究の最先端の成果を迫力ある全身骨格、貴重な実物化石を通してたっぷり楽しめます。ぜひ実物をご覧ください!

【レポート】「恐竜博 2016」監修の真鍋真博士(国立科学博物館)が、2016年3月12日(土)全国公開のディズニー/ピクサー最新作『アーロと少年』のピーター・ソーン監督とトークイベントを開催!

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「スピノサウルス」の全身骨格は「恐竜博2016」のハイライトのひとつ。「ティラノサウルス」との競演も見どころ。まるでこれから闘うかのような緊迫感も漂っている

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5つめのキーワード「赤ちゃん」。小さく骨も柔らかいため、赤ちゃんの化石はとても貴重。本展では「カスモサウルス」と「パラサウロロフス」どちらも1歳未満と推定される全身の実物化石を展示。写真は「パラサウロロフス」の頭部

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こちらは大人の「パラサウロロフス」の頭部。赤ちゃんと比べ後方に伸びる突起の大きさが異なるのがわかる

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CTスキャンで撮影をし、「パラサウロロフス」の鼻道の長さと形、太さを調べ、鳴き声を世界ではじめて復元。大人と子供で鳴き声の違いがあり、親子や仲間でコミュニケーションをとっていた

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「スピノサウルス」が、もし現代に現われたらという迫力あるCG映像。史上最大の肉食恐竜の大きさを巨大スクリーンで体感することができる

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第二会場では、2014年にアルバータ州で見つかった白亜紀の小型獣脚類「サウロルニトレステス」の化石を削り出す「プレパレーション(化石クリーニング)」という作業を見られる。なかなかない貴重な機会だ

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