最新の恐竜像を “比較” でわかりやすく
「恐竜博2011」で特筆すべきは、大人はもちろん、子どもにとってもとてもわかりやすく、そして楽しめること。
恐竜の研究は日々進歩し、今までの常識、定説が刻々と変わってきています。同展では1947年、米国イエール大学ピーボディー自然史博物館でルドルフ・ザリンガーによって描かれた巨大壁画『爬虫類の時代(The Age of Reptiles)』に登場する恐竜たちの姿が、今までの研究によってどう変化してきたか、比較をすることで最新の恐竜像をわかりやすく解説してくれています。
恐竜同士の関係を “対決” でわかりやすく
展示にも工夫が施され、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀の各時代に生きた恐竜たちが “対決” するかのように向かい合って展示されてます。たとえばジュラ紀のアロサウルスとヘスペロサウルス(ステゴサウルス類)、白亜紀のティラノサウルスとトリケラトプスは最大のライバルだったかもしれません。
長年の謎、恐竜の色がわかった!
長い間「恐竜の色は絶対にわからない」と言われていました。いま、図鑑や資料などで見ている恐竜の色は、化石からは色はわからないため、実は想像したものなのです。
しかし中国・遼寧省から発見された羽毛恐竜アンキオルニスの羽毛にメラニン色素を含む物質が保存されていたことがわかり、2010年、「全身の色が世界で初めてわかった」と発表されました。その実物化石を日本初公開!
さらに1861年に最古の鳥類として始祖鳥が命名されて今年で150年。これまでに発見されている11点の標本の中でももっとも保存状態のいい「サーモポリス標本(Thermopolis Specimen)」を日本初公開しています(実物化石は2011年7月2日〜10日の期間限定公開)。
始祖鳥は150年たった今でも、次々と新しい研究が発表される、注目の種。研究を重ねるにつれ鳥と恐竜の境界線がわからなくなり、始祖鳥は本当に鳥なのか? 飛ぶことができたのか? など、始祖鳥の最新研究も紹介しています。
恐竜から夢を、そして未来を
今まで信じていた定説が、最新の研究結果によって覆されていくのは、驚きとともに新鮮な感覚が味わえます。子どもにとっても恐竜は、宇宙と同じくまだまだわからないことがたくさんあるけれど、限られた資料などから仮説を考え、検証したり、研究することによって新たな発見ができる、ということに “夢” を感じてくれるかもしれません。観終わったら、きっともっともっと恐竜のことが知りたくなるでしょう。
そして何より、この太古の、しかし未知なる生物のおもしろさ、そして今ここにいる地球に、そういう時代があっということがわかるのは、きっとおもしろいはず。夏休み、親子で楽しめるイベントです。
肉食恐竜のアロサウルスに、ステゴサウルスの尾のスパイク(トゲ)が刺さったと思われる化石が展示してあったり、トリケラトプスをしゃがんで待ち伏せしているティラノサウルスの化石は、今まで何の役にも立たないのでは? と考えられていたティラノサウルスの短い前足の新たな、そして重要な役割があった可能性をも示しています。
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