東京・上野の
国立科学博物館で、2013年10月26日(土)〜2014年2月23日(日)までモンゴル・ゴビ砂漠で発掘された約7000万年前の巨大恐竜の実物化石を展示した「
大恐竜展 – ゴビ砂漠の驚異」が開催!「
タルボサウルス」「
サウロロフス」「
オピストコエリカウディア」など10メートル以上の巨大恐竜の化石をはじめ、90%ほどが実物化石かつ、とても保存状態の良い化石を展示。
約7000万年前の白亜紀後記にユーラシア大陸に生息していた「タルボサウルス」「サウロロフス」「オピストコエリカウディア」など、いずれも10m以上の巨大恐竜の化石が、今回の目玉!
わかりやすく美しい化石にテンションアップ!
実物化石が驚くほどきれいな状態で展示されている「大恐竜展 – ゴビ砂漠の驚異」は、子どもに見せたいと思っていた特別展。行こう行こうと思いつつ、気が付いたら閉会間近。急いで子どもを連れて行きました! チケットの購入に並ぶことはありませんでしたが、お天気のいい土曜日ということもあり、会場内はかなりの混雑。人気の高さが伺えます。
展示している化石の実に90%ほどが実物化石という「大恐竜展 – ゴビ砂漠の驚異」。モンゴル・ゴビ砂漠から発見される化石は、変形が少なく立体的で、保存状態のよい良質なものが多いので実際の恐竜の形などもわかって見応え充分。しかも歴代の有名な研究者たちが実際に研究で使用してきた化石が展示されていると聞くと、ワクワク度はさらにアップします。
個人的には、会場入ってすぐの『化石の解釈も時代とともに「進化」する‥‥』というコーナーが、とてもおもしろかった。1924年、プロトケラトプスの卵の近くで発見された獣脚類の化石は卵を盗みにきた恐竜と考えられ、「卵ドロボウ」という意味の「オヴィラプトル」と命名されます。しかし1993年、卵の中からオヴィラプトル類の杯が発見されたことにより、オヴィラプトルは自分の卵を温めていたことが判明します。化石の発見から70年以上経って、ようやくオヴィラプトルは卵ドロボウという汚名を返上するのです。
恐竜はまだまだ謎が多く、最近の研究では恐竜には羽毛があったとか、いろいろなことがわかってきています。そのひとつひとつが今までの常識を覆すものなのが、おもしろさに拍車をかけています。
日々新しい発見のある恐竜。化石の解釈も時代とともに進化している例として、「卵ドロボウ」という意味の「オヴィラプトル」と命名されてしまった恐竜が汚名返上するまでの経緯を、実物化石で展示、説明
多数のプロトケラトプスの化石が発見された近くで見つかった巣の状態の卵の化石。卵の近くには獣脚類の化石もあり、プロトケラトプスの卵を食べに来て死んだと考えられ、「卵ドロボウ」という意味の「オヴィラプトル」と命名された。しかし1993年、この卵は近くにいた獣脚類のものと判明、自分の巣で卵を抱いていたらしいことがわかった。新属「シンパチ」と命名され、オスが抱卵していた可能性が指摘されている
卵の近くで発見された「プロトケラトプス」の化石
2012年10月、同展の監修を務めている国立科学博物館地学研究部研究主幹の真鍋真先生にお話をお伺いした際、「最近の小学生は、自分が恐竜学者になっても研究することが残っていないんじゃないかと心配する子どもが多い。100人くらいの生徒の前で話をすると、ひとりくらいそういう質問をする子がいます。でもそんなことはない。研究も恐竜への理解も進歩していますが、我々が恐竜について知っていることは氷山の一角。まだまだやることがたくさんある」と語っていました。
さらに、現在わかっている恐竜の種は1,000種類くらいだそう。しかし恐竜時代の長さを考えると、10万種以上はいると考えられています。「恐竜が好きな子どもたちには、恐竜学者への夢をあきらめずに叶えて、いろいろな驚くべき事実を発見してほしいですね」。
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ティラノサウルス科に属する「タルボサウルス」の子どもの化石として、世界でもっとも保存状態の良い標本。典型的な死亡姿勢で、首が後ろに反り返った状態で化石化している
上位の地層からの荷重で変形することなく、保存状態の良い状態で見つかった「サウロロフス」の頭骨(実物)
子どもの頃は四足歩行、成長にともない相対的に前足が短くなり、二足歩行に変化する「プシッタコサウルス」
「アルティリヌス」に近いと考えられている頭骨
左から「アラシャサウルス」「オルニソミムス類」「ガルディミムス」の化石
とても珍しい、格闘している状態のまま化石となった「格闘化石」も展示
「ヴェロキラプトル」の前足に「プロトケラトプス」が噛みついている状態の化石。急激な砂嵐によって生きたまま埋められたと考えられる標本
尾は発見されていないが、それ以外はほぼ完璧な実物化石「ヴェロキラプトル」
白亜紀前期までの角竜類は「プシッタコサウルス」のように角もフリルも発達していなかったが、白亜紀後期になると「プロトケラトプス」のようにフリルが顕著になる
「プロトケラトプス」と、その後ろに写っているのはロイ・アンドリュース隊の探検記録
鎧を身にまとったような「サイカニア」。首から後ろの骨格は発見されていないため、別種かもしれない別個体の標本をもとに復元されている
頭骨をおおう皮骨板が多角形で大きく膨らんで発達している「サイカニア」
上腕骨だけで1メートル近くもある、「恐ろしい手」という意味の「デイノケイルス」。胴体は見つかっていない
本物の竜脚類の化石を触ることができるコーナーも設置
首から頭は発見されていませんが、それ以外はほぼ完全な状態で見つかった「オピストコエリカウディア」。世界で初めて実物化石で全身骨格の復元を行った
頭頂部に後ろに伸びる突起がある「サウロロフス」。突起は中空ではなく、鼻から吸った空気を通して音を出すようなことはなかったと考えられている
北アメリカのティラノサウルスと近縁な、アジア最大の獣脚類「タルボサウルス」
成長によりフリルの発達具合がわかる「プロトケラトプス」の化石標本
「タルボサウルス」の大人の頭骨。子どもの頭骨と比べると、堅牢なプロポーションへと形が変化し、ひねりや曲がる力が強く、大きな圧力にも耐えることができたと考えられる。骨まで噛み砕くことができたかもしれない
「タルボサウルス」の子どもの頭骨。上の大人の頭骨に比べるとすっきりした印象
小さな角竜類が、同じ方向を向いて寄り添うように発見された「プロトケラトプス15体赤ちゃん」化石
モンゴル発掘調査を20年続けている林原自然科学博物館のプレパレーター(化石技師)によるクリーニング(化石のまわりの岩石を取り除く)作業