全身骨格が完成! いよいよ10月26日(土)から「大恐竜展」が開催!
2013年10月26日(土)からの開催に向けて組み立てられたのは、本展の見所でもある巨大恐竜、全長10m、アジア最大の肉食恐竜「タルボサウルス」、大型植物食恐竜「サウロロフス」、そして世界ではじめて実物化石で全身骨格を復元する「オピストコエリカウディア」の3体。いずれも約7000万年前の白亜紀後記にユーラシア大陸に生息していました。作業員の方々が鉄の骨組みに足や頭、尾椎の化石を取り付け、全身骨格を完成させました。
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同展の監修を務めている国立科学博物館地学研究部研究主幹の真鍋真先生は、「モンゴル・ゴビ砂漠で発掘された実物化石を存分に見てもらう展示会です。1920年代にロイ・チャップマン・アンドリュースという伝説の化石ハンターがモンゴル・ゴビ砂漠に行って次々とすごい化石を発掘するのですが、彼の足跡を辿るかのようなイメージの会場構成になっています。一番古いところは約1億1千万年前、9000千万年前、8000千万年前、7000千万年前、そして恐竜は絶滅を迎え、しかし恐竜の中の一部の鳥はそれをまぬがれ、現代につながっています。最近は恐竜が子どもから大人までどう成長をするのか、子育てはどうだったのかなど、恐竜の生物学が重要になってきていますが、そのコーナーも用意する予定です」と挨拶。
同じく監修を務めている東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻講師 對比地孝亘(ついひじ たかのぶ)先生も、「大きなものから小さなものまで、保存状態のいい実物化石が一堂に会する素晴らしい機会です。恐竜の世界を楽しんでほしい」と自らもとてもワクワクしていると話てくれました。
全長10m、アジア最大の肉食恐竜「タルボサウルス」
「タルボサウルス」はアジア最大の肉食恐竜で、ティラノサウルスに似ています。ほぼ同時期に北米にティラノサウルス・レックスがいましたが、非常に近縁な恐竜となります。ティラノサウルスの別種ではないかと考えている研究者もいます。白亜紀末期の北米とアジア大陸は、間にあるベーリング海峡を通じて恐竜の行き来があったのではという仮説のひとつの証拠となる恐竜です。
ティラノサウルス類の特徴は、大きながっしりとした足と、非常に短い前足と2本しかない指。展示する個体はモンゴルで見つかったタルボサウルスのなかでも最大で、頭だけで120cm。ティラノサウルスの頭は130cm以上あるので、それよりも少し小さいけれど、それに匹敵する大きさの肉食恐竜であると言えます。
同展では、同じ場所で発見された全長約2mのタルボサウルスの子どもの個体も展示します。注目するのは、子どもの2mから大人の10mに成長するまでに、体にかなりの形の変化が起こっていること。大人ではがっしり太い足も、子どもの頃は重たい体重を支えなくてもいいので、かなりほっそりしています。また大人の歯は骨をも砕けるよう太くて頑丈、バナナのような歯ですが、子どもの歯は薄いナイフのよう。頭の形態も大きく異なっているので、そんな形やプロポーションの変化を見ていただくのも、今回の恐竜展の目玉のひとつです。
頭の化石はレプリカですが、実物化石も子どもの頭の化石と一緒に、比較できるよう展示します。巨大な頭を支えるため、首の骨がとても太く短い。これは大きな肉食恐竜の特徴のひとつで、ティラノサウルス類の特徴でもあります。(對比地孝亘先生)
大型植物食恐竜「サウロロフス」
頭の化石は重いのでレプリカですが、実際の展示では足下に実物化石を配置します。サウロロフスは植物食恐竜で、タルボサウルスに捕食されていました。特徴は頭の後ろに突起があること。“とさか”ではなく骨でできています。鼻から突起にかけて空洞になっていて、音を出すなどという想像をする研究者もいますが、どんな機能、役割があったのかは、わかっていません。サウロロフスにしかない特徴なので、仲間同士やオス、メス、子どもなどを識別していたのではないかと考えられています。
世界で初めて実物化石で全身骨格を復元する「オピストコエリカウディア」も植物食恐竜ですが、それに比べるとサウロロフスはかなりスリムです。その理由は、おそらく、何百本もの歯を持っていて、固い食物繊維を細かくすりつぶすことができ、他の恐竜に比べると消化が早く、腸が短くてすんだから、胴体がスリムになったのではないかと思われています。
白亜紀末期の7000万年前という時代は、アメリカではティラノサウルス、アジアではタルボサウルス、しかしこのサウロロフスはアジアにも北米にもいました。先ほどのタルボサウルスでも北米とアジア大陸の間のベーリング海峡を通じて恐竜の行き来があったのではというお話がありましたが、その説を裏付ける証拠のひとつと考えられています。(真鍋真先生)
世界初! 実物化石で全身骨格を復元「オピストコエリカウディア」
首から先が見つかっていない恐竜で、しっぽのところが学名の由来となり、1977年に命名されました。「オピスト」は「後ろ」、「コエリ」は「空洞・凹んでいる」、「カウディア」は「しっぽ」で、「尾椎の脊椎の後ろ側が凹んでいる」という意味です。非常に珍しい特徴で、1970年代当時はこの恐竜にしか、この特徴は見つかっていません。このような関節は非常によく動き、脱臼しずらい。しかし首から頭がないため、長い間ポーランド、モンゴルの収蔵庫にしまわれていた化石で、130点ほど実物化石があるのですが、世界ではじめて組み立てたものです。
推定体重は24トン。柱の太さと体重には相関関係があることはわかっているので、大腿骨や上腕骨の太さから体重を推定しています。骨だけの重さはなかなかわからないのですが、この化石の大腿骨は270kgほどあるかと思います。
サウロロフスはたくさんの歯のおかげでスリムな体でしたが、「オピストコエリカウディア」のようなタイプの恐竜の歯は、熊手のような歯で、植物をかき集めたりついばむくらいしかできず、あとは飲み込むだけです。そうすると胃腸で長い時間をかけて消化するしかなく、そのため樽のような胴体が必要になったと考えられています。もともと恐竜は二足歩行の肉食からスタートし、だんだん大型化した。植物を食べるようになると消化するために腸が長くなり、そのため植物を食べるということに目覚めてから、大型化しなければいけなくなったと考えられます。(真鍋真先生)
同展は国立科学博物館で2013年10月22日(火)〜2014年2月23日(日)まで開催。
【体験レポート】「大恐竜展 – ゴビ砂漠の驚異」に行ってきた!
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