
“深海研究すげぇ!” を目指し、特別展「深海」がパワーアップ!
前回の「深海」では「ダイオウイカ」という伝説の怪物をメインに、未知の世界だった深海という環境や、魅力的な姿・生態の深海生物を紹介し、多くの人に新たな驚きを提供してくれました。
それを踏まえ、今回の「深海2017」では内容をさらにパワーアップ、深海生物はもちろん、生命の起源や海底資源、巨大地震など、最新の研究を通して新たに解明された “深海” の魅力を紹介。その力の入れようは、本展の総合監修を務めた方々の言葉からも感じられました。


生命の根源的な疑問や、地球のダイナミックな動きの解明
深海研究は地球外生命にも迫る!
「深海2017」では大きく「生物」「3.11巨大地震」「海底資源(エネルギー資源、鉱物資源)」「地球環境問題」の4つがテーマ。「伝説の怪物が見られる!」という小さな子どもにもわかりやすい前回と比べれば少し大人向けの内容になっていますが、それだけにじっくり見れば新たな発見がたくさん! 知的好奇心がくすぐられまくりです。
たとえば「生物」のところでは、食物連鎖の上位捕食者(トップ・プレデター)は、その生態系を維持する(トップ・ダウン・コントロール)にとても大事な存在。それでは深海の上位捕食者は誰なのか? や、地球上の生命の起源は「宇宙起源説」「陸上温泉起源説」「深海熱水起源説」と3つの説がありますが、深海で誕生したらしいということがわかってきました。さらに深海では化学物質のメタンが湧きそこに生命がいるのですが、宇宙にはメタンに覆われている星があります。ということは、もしかしたら宇宙でもメタンのそばには生命があるのではないか? と、深海を研究することで、地球外生命にまで迫りつつあるのです。

また海底を調査することで、3.11の東日本大震災など、巨大地震の謎にも迫っています。地球深部探査船「ちきゅう」で海上から7,000メートル下の地震で動いた断層まで穴を掘り断層をくり抜き、その断層が3.11で滑ったことがわかっています。その実物サンプルも展示、とても滑りやすい物質だったそう。





最近の地球環境問題では新たに「海洋酸性化」が問題になっています。人間活動によって二酸化炭素が増え、それが海に溶けることでアルカリ性だった海の水が酸性に偏っていく。そうするとたとえば貝殻のような炭酸カルシウムで骨格をつくっている海の生物が骨格をつくれなくなり、ひとつの生物が絶滅することで絶滅の連鎖が起こり、生態系が崩れてしまいます。
ほかにも海洋研究開発機構(JAMSTEC)の最新鋭の船や、有人潜水調査船「しんかい6500」のコックピットの模型の展示、1万9,020メートルという世界で一番深いマリアナ海溝チャレンジャー海淵に、人類は今までどのようにチャレンジしてきたかを展示するなど、「深海2017」は盛りだくさんの内容。
夏休み、親子でじっくり深海、そして宇宙、生命の起源などに思いを馳せたり、夏休みの自由研究にも、とっても役立ちそうです。
【イベント紹介】2017年7月11日(火)〜10月1日(日)に開催! 特別展「深海2017 〜最深研究でせまる“生命”と“地球”〜」
【体験レポート】2013年夏に開催した特別展「深海 – 挑戦の歩みと驚異の生きものたち-」
【インタビュー】ダイオウイカ研究の第一人者 窪寺恒己博士(国立科学博物館)
















