開催日前日となる10月20日(金)、「
北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」の内覧会が東京・上野の
国立西洋美術館で開催、行ってきました!
北斎と西洋の名作が集結!
比較しながら見られる楽しさと贅沢
アメリカの雑誌『LIFE』が1999年に「この1000年に偉大な業績あげた100人」を調査した結果、唯一選ばれた日本人が “葛飾北斎”。内覧会には驚くほどたくさんのマスコミが集まり、北斎の人気の高さ、そしてこの展覧会に対する注目の高さがうかがえました。
北斎の錦絵を見られるだけでも嬉しいのに、さらにモネやドガ、セザンヌ、ゴーガンなど西洋の名作も見られるという、とても贅沢な展覧会。ちょっと大人向きではありますが、北斎から影響を受けた部分やそれをどのように取り入れたかなどを自分の目で比較し、いろいろと話ながら見ると楽しそうです。
もちろん北斎の「富嶽三十六景」のなかでももっともよく知られている「神奈川沖浪裏」も、多くの芸術家にインスピレーションを与えた作品とともに展示。北斎が与えた影響の大きさを実感できます。
北斎は90歳で亡くなるまで、まだまだ絵がうまくなりたいと常に上を目指していたそうです。「あと5年の寿命があれば、本当の絵師になれただろう」と。北斎の生き様からも学ぶところがありそうです。
なお、国立西洋美術館から歩いて5分ほどの東京都美術館では「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」が開催中。北斎をはじめとする日本の画家の浮世絵や文化が、ゴッホにも影響を与えていたことがよくわかります。
【イベント紹介】2017年10月21日(土)〜2018年1月28日(日)まで国立西洋美術館で開催!「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」
【関連イベント】2017年10月24日(火)〜2018年1月8日(月・祝)まで東京都美術館で開催!「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」
【体験レポート】吉岡里帆さん登場!「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」に行ってきた!
『北斎漫画』は絵の描き方を習うための教科書のようなもので、いまの漫画とは異なります。北斎が描いたさまざな職種やポーズの人間や動物、虫、風景、妖怪などを集め、大量に印刷されてヨーロッパにまで広まりました。西洋の画家たちは、この『北斎漫画』から北斎のものの見方や描き方を学び、自らの芸術に取り入れたそうです
北斎の人物表現が見てとれる、メアリー・カサットの『青い肘掛け椅子に座る少女』(1878年)
エドガー・ドガの『踊り子たち、ピンクと緑』(1894年)、『背中に手をあて、右足を前に出して休息する着衣の踊り子』は、『北斎漫画』十一編に描かれた力士のポーズと似ている。ドガは北斎の浮世絵や版本を所有していたが、中身はわかっていない
北斎の『牡丹に蝶』。北斎は自然のなかの身近な動物や植物をたくさん描いた。ヨーロッパやアメリカでは小さな虫が主役に描かれることはなく、北斎が小さい生き物にも目を向けたことから、虫や鳥、草花は、西洋の工芸品に多く表されるようになった
日本贔屓だったロートレックの生家には、いまも『北斎漫画』が残っているそう。ロートレックが初めて手がけたポスター『ムーラン・ルージュ』(1891)で描かれた足を上げているラ・グーリュの姿は、北斎の描くユーモラスな踊りの表現を彷彿とさせる
新しい構図に挑戦したクロード・モネの『舟遊び』(1887年)。人物を拡大して描く表現や俯瞰構図は浮世絵からのヒント。大画面に水面だけを描く挑戦は、のちの『睡蓮』の連作へとつながる
ルバート・ロバート・ヴァレンタインの花器『金魚』(1885年)(左)と、エミール・ガレの『双耳鉢:鯉』(1878年-90年)(右)
葛飾北斎『和漢絵本魁』(1836年)とエミール・ガレの壷『ペリカンとドラゴン』
葛飾北斎『菊に虻』(1831年-33年)とクロード・モネの『菊畑』(1897年)。西洋では花の絵と言えば花瓶に生けられた花が描かれていたが、北斎は自然のなかにある花を描き、人間が自然にどう向き合うかという姿勢を提示していた
クロード・モネの『黄色いアイリス』(1914年-17年頃)
『富嶽三十六景』の『東海道程ヶ谷』(1830年-33年)。松並木の赤い幹と葉のリズムが行き交う人々とともに活気を生み出している
『富嶽三十六景』の『駿州江尻』(左)とクロード・モネの『アンティーブ岬』(右)
ヴァルター・クレムの『橋』(左)と『富嶽三十六景』の『深川万年橋下』(右)
『富嶽三十六景』のなかでももっともよく知られている『神奈川沖浪裏』。ここからインスピレーションを受けた芸術家により、さまざまな新たな芸術が生み出された
エルネスト・シャプレの花器『波』(左)とアドルフ・ベッケルトの花器『波』
クロード・ドビュッシー作曲 交響曲『海』(楽譜)(左)とクリストファー・ドレッサーの『波型鉢』
『富嶽三十六景』の『凱風快晴』