NHKスペシャルと連動
人体の理解の歴史と今、将来を探る!
8回シリーズで放送中のNHKスペシャル「人体〜神秘の巨大ネットワーク〜」。この番組と連携し、人体研究のはじまりから最新の知見までを、レオナルド・ダ・ヴィンチの「解剖手稿」をはじめとする貴重な実物資料や模型、4Kの最新映像を交えて紹介する特別展「人体-神秘への挑戦-」が、2018年3月13日(火)〜6月17日(日)まで、国立科学博物館で開催します。
2017年11月30日(木)に記者発表会が開催され、同展の監修を務める国立科学博物館 副館長 兼 人類研究部長 篠田謙一氏、国立科学博物館 名誉研究員 山田格氏、そしてNHKスペシャル「人体」チーフ・プロデューサーの浅井健博氏が展覧会の概要について説明しました。
今までは脳によって一元的に支配・管理されていると考えられていた私たちの体。しかし最新の研究をまとめたNHKスペシャル「人体〜神秘の巨大ネットワーク〜」では、“臓器同士のコミュニケーション” により人体が管理されているという、今までとは異なる知見を紹介しています。
特別展「人体-神秘への挑戦-」では、人類は人体をどのように理解してきたのか? その歴史を振り返るとともに、現在の最新の知見を通して、今なお多くの謎が残る人体の理解が、将来的にどのような方向へ向かうのかも含めを探っていきます。
構造の説明には機能・進化・発生
3つの制約からのアプローチが必要
篠田謙一氏は人体の理解には各パーツの構造についての説明が必要で、それには「各パーツが、それが動くためにこういう形をしていなければいけないという『機能』、長い歴史がある『進化』、そして受精卵から大人になるまでの『発生』という大きく3つの制約がある」と、その成り立ちにはいくつかのアプローチがあると説明。
たとえば心臓は右心房・右心室、左心房・左心室の2つがあり、心室というのは血液を送るポンプになるが、心室の厚さ(筋肉量)は、明らかに右よりも左の方が厚くなっています(※下画像の赤い矢印部)。これは右のポンプは肺に、左は全身に血液をまわすため、左の方がより強力なポンプが必要なため筋肉が発達したという『機能』的な説明になります。
一方、右心房と左心房の間には窪みが存在していますが(※上画像の青い矢印部)、これは母親の体内にいるときは肺呼吸をしていないので、右心房に集まった血液がただちに左心房に送られるため穴が開いています。しかし成体になるときに閉じられ跡が残る。これは個体『発生』学的な説明になります。
そして心臓から出ている大きな大動脈は左に倒れていますが、もともと両生類には左右両方あり、鳥は右側、哺乳類は左側が残るという、これは『進化』の過程でこうなっています。
人間の体の構造を説明するときには、ほかの動物との比較はもちろん、機能や進化、発生についても考える必要があり、同展では、このような説明をさまざまな部分で行ない、「人体を理解するとはいったいどういうことなのか」を説明していく。
ダ・ヴィンチのスケッチをはじめ
人体理解の道筋をたどる貴重な資料を展示
「人体について文字として残されはじめたのはギリシア時代。しかし現在我々が解剖学、生理学と理解している具体的なはじまりはルネサンス期にあると考えています」と、山田格氏。
そのため同展では、英国王室ウィンザー城所蔵のコレクションの中から、レオナルド・ダ・ヴィンチのスケッチを借用展示することが決定。大きな見どころのひとつとなっています。
ダ・ヴィンチは多くの人体解剖図を遺したことでも知られています。画家として人体を描くための基礎知識や理解を深めるためにはじめたことに疑いはありませんが、実際に解剖すると、その構造を説明することにのめり込みます。
医師としての人体解剖学のはじまりはアンドレアス・ヴェサリウスと考えられています。おそらく自ら解剖、観察、記録し、それを解剖学を学ぶ人々に伝えようとしました。その後にはウィリアム・ハーヴェイ、マルチェロ・マルピーギ、アントニ・レーウェンフックなど、さまざまな先人によって新たな発見、知識の蓄積が行なわれ、今につながっています。本展では、人体理解の道筋をたどることで、その本質も概観できるようになっています。
各臓器同士が脳を介さずメッセージを受発信
人体についての知的好奇心を味わえる特別展
「ここ10〜15年で、ホルモンなどの情報伝達物質の学問が発展し、各臓器同士が脳を介さずにいろいろなメッセージをやりとりしながら私たちの体を司ってくれているということがわかってきました」と、NHKスペシャル「人体」チーフ・プロデューサーの浅井健博氏。
番組では最先端の分野を紹介し歴史的な部分は触れていないため、番組と同展が密接にリンクすることで、人類がどのように私たち自身の体を見てきたのか、そして今なお謎に包まれている私たちの体について、さらなる知的好奇心を味わえる特別展を目指す。
番組内で使っている体内ネットワークを3Dコンテンツにすることで、小さなお子さんも体感しながら人体の仕組みを理解してもらえるようなコーナーも用意するそう。
特別展「人体-神秘への挑戦-」は、東京・上野の国立科学博物館で2018年3月13日(火)〜6月17日(日)まで開催。
【体験レポート】特別展「人体ー神秘への挑戦ー」に行ってきた! 2018年3月13日(火)〜6月17日(日)まで国立科学博物館で開催!
【開催概要】人類は、どのように人体を理解してきたか。特別展「人体-神秘への挑戦-」2018年3月13日(火)〜6月17日(日)まで、国立科学博物館で開催!
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