歴史ある臨海実験所で
毎年恒例「真珠の学校」が開校!
三浦半島の三崎にある「東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所(東京大学三崎臨海実験所)」は、1886年(明治19年)に設立された日本初の臨海実験所。ミキモトの創業者 御木本幸吉氏は、実験所の初代所長 箕作佳吉(みつくりかきち)博士とともにこの実験所で養殖真珠の共同研究を行ないました。現在世界中で行なわれている養殖真珠技術の基礎は、この実験所からも生まれているのです。
そんな歴史ある実験所で、ミキモトは毎年「真珠の学校」を開校し、磯の生物の採集と観察、真珠を育むアコヤ貝への「核入れ」体験を行なっています。今年も公募によって選ばれた小学生20名が参加しました。
真珠を育むアコヤ貝の生息する海を知ろう!
磯での生物の採集では、この三浦の海に、どんな生物が生息しているかを調べます。自然豊かなこの海にはさまざまな生物がいて、ものの数分でバケツの中にはヤドカリやタツナミガイ、オオケブカガニ、アオウミウシ、ウニなどが集まりました。実はアコヤ貝もいるそうです。見つけた生物について、すぐにスタッフの方が名前や生態を教えてくれるのは、とても贅沢。タツナミガイは刺激すると紫色の液体を出しはじめたり、普段ではなかなか体験できない楽しみ方ができました。
捕まえた生物は実験所へ持ち帰り、まずはこの実験所の所長 赤坂甲治先生から、三浦の海、そして生物についてのレクチャー。さらに同研究所の伊勢先生による、採集した生物の観察と解説が行なわれました。たった今自分たちで捕まえてきた生物なので、みんな興味津々。一生懸命聞いていました。
さらに今年は、アコヤ貝のエサとなる植物プランクトンを調べるため、船で少し海へ出て海水を採集、実験室に戻り顕微鏡で調べました。また、プランクトンの中にはアコヤ貝に悪影響を与える、赤潮の原因ともなるプランクトン、ヘテロカプサも生息しています。そのためヘテロカプサが大量発生すると、なんとアコヤ貝から「苦しい〜!」というメールが届くという、ウソのようなホントの話も。実は、貝にセンサーを取り付け、貝殻の開閉回数などを測定することにより、ヘテロカプサが発生したかがわかるそうです。
とても繊細な「核入れ」作業に
子どもたちは真剣!
いよいよ真珠の「核入れ」を行ないます。まずは説明とお手本を見ることから。真珠は、貝殻をつくる外套膜(貝ヒモ)が貝の体の中(生殖巣)に入ることにより真珠袋ができ、その袋の中に貝殻の内側のキラキラをつくる真珠質が出て真珠となります。養殖真珠は、外套膜が貝の体に入ることを人の手で行なうもので、小さく切った外套膜(ピースと呼びます)と貝殻を丸く削った核を入れる作業となります。
貝殻を開けた1cmくらいの隙間からメスを入れてアコヤ貝の足の付け根あたりに切り込みを入れ、そこにパーツと核を入れるというかなり繊細な作業。最初はスタッフの方に手をとってもらいながらその感触を、そしていよいよ1人で挑戦! アドバイスを聞きながら、時間のかかる子もいたけれど全員が1人で核入れできました。
真剣な顔から、ちゃんとできたかちょっと不安そうな顔、そしてスタッフの方のOKの言葉にこぼれる笑顔と、どのお子さんからもいろいろな表情が見られ、その数だけ、何かを得ているようでした。
朝10時にスタートし、終了は16時30分と、ほぼ丸1日、いろいろなことを体験した盛りだくさんの内容。子どもたちも、そしてスタッフの方もお疲れさまでした。子どもたちはもちろんですが、スタッフの方もみんな、とても楽しそうだったのが印象的でした。子どもたちにとっては、とてもいい自由研究にもなりそうです。
ミキモトではこの歴史的な場所で、未来を担う子どもたちが海に対する正しい知識や関心を高めることで、海に親しみ、将来海洋生物や真珠の研究者を目指すきっかけとなることを願い、毎年このイベントを実施しています。また、海洋生物の多様性を守り、美しい真珠を育む海と人との共存を目指す企業として、今後も研究発表や体験観察会などを通じ、多くの人々に海と真珠の魅力を伝えていくそうです。
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