2018年8月1日(水)全国公開! ディズニー/ピクサー最新作!
『インクレディブル・ファミリー』プロデューサー ジョン・ウォーカーさんインタビュー!
ちゃんとやれば子育ては “英雄的な行為”
映画製作時の2つのルール
ー ヒーローが私たち普通の人たちと同じように子育てに悩み、苦労するというのが『インクレディブル・ファミリー』のおもしろさのひとつですが、前作も今作も、子育ての大切さを描いています。子育ての大切さを伝えることはテーマのひとつのですか?
親業、子育てというのは、ちゃんとやれば “英雄的な行為” なんだということを伝えたいと思っています。
私たちは映画をつくるときに、今回はこれにフォーカスしようというルールをつくり、悩んだり問題が起きたときには、常にそこに立ち返りながら映画の製作を行なっています。
1作目の『Mr.インクレディブル』のときは、ヒーローとしてのファンタジックな部分と、日常とのバランスをとることを心がけていました。どちらか一方を描くことに偏りすぎない、ということをルールとしていたんです。
2作目となる今回の『インクレディブル・ファミリー』には2つのルールがあり、ひとつは最初にお話した「子育ては英雄的な行為である」ということ。もうひとつは、「子どもにあわせるために世界を変えるか、世界にあわせるために子どもを変えるか」ということ。悩んだら常にここに立ち返っていて、つまり結局は「子育ては大切だ」ということです。だから質問の答えは「Yes!」です。
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父親だっていい親になれる
ー 今回はヘレン(イラスティガール)が大活躍しますが、お母さんの活躍を描いた理由はありますか? いま日本では「女性の活躍」が叫ばれていますし、ハリウッドでも性差別や男女平等などの運動が起こっています。
1作目をプロモーションしているときに、もし2作目をつくるなら、ヘレンをヒーローとして大活躍させようと考えていました。そうするとボブ(Mr.インクレディブル)はめげちゃったり、いじけちゃったりしておもしろいよね、なんて話をブラッド・バード監督としていたので、アイデアとしては、かなり以前のものです。
ヘレンも素晴らしいキャラクターで、彼女はパイロットでもあるしバイクにも乗るし、たくさんの人を助けていて、能力を考えるとボブよりもヘレンの方があるんじゃないかと思って、今度は彼女が、自分の能力を世の中に知らしめるチャンスだと思いました。
映画をつくるには時間がかかるので、「Me Too」や「タイムズ・アップ」ムーブメントなど、その時代にあわせるということはなく偶然の一致ですが、タイミングがあったということについては嬉しく思っています。
しかしピクサーのなかでも女性が稼ぎ手で、旦那は家事を担当しているというのはよくあることです。それはラディカル(急進的)なことではなく、むしろノーマルで、珍しいことではないんです。だから父親もいい親になれるということを伝えたいと思いました。
よく、「お母さんがいないと家の中がめちゃくちゃになる」とか「お父さんはトースターも使えない」とか、父親は母親がいないと何もできないと言われることがありますが、でもそれはステレオタイプであって、お父さんだってちゃんとできるよと、それも見せたかったんです。
ボブも子育てはとても重要なことだと気が付いて、お父さんとして成長します。最終的には、ヘレンもボブも素晴らしい親だということを、わかっていただければいいなと思っています。
子どもを励ますには
期待と制限のバランスが大切
ー ボブを見ていると、自分や自分の能力が社会や人に受け入れてもらえない辛さというのもよくわかります。子どもがそういう状況になっていることがわかったとき、親は、どのようにすればいいと思いますか?
手本で示すことが大事だと思っています。子どもにやってほしい行動を、まずは親がとる。自分は違うことをやっているのに、子どもにこれをやれといっても、子どもは納得しないですよね。モデルになるような行動を、親がするのは大切だと思います。
励ますことも大切です。しかし「君はなんでもできるんだよ」というような、あまりに非現実的な期待を持たせるのはどうかなと思います。かといって、「君はこれができないんだから」と制限するのも、どうかと思う。だから励ましつつも、正直であること。そのバランスはとても難しいですよね。やっぱり子育てって本当に難しくて、先ほどのルールではないですが、ちゃんとした子育てをするというのは英雄的な行為なんです。非現実的な期待は抱かせず、励ましつつ、手本となる行動を親が示す、ということかなと思います。
ー ヴィラン(悪役)のスクリーンスレイヴァーも、やり方は間違えていると思いますが、考え方は正しいですよね。
そうなんですよね。言うことはわかる、理屈もあってるけど、やり方がな、と観客が思えるのが最高の悪役だと思っています。理由もないのに世の中を支配したいというのでは空虚で、観客も関心を持てません。そうだよね、やり方はよくないけど言っていることはわかるなと、そういうのがいいヴィランで、そういうヴィランをつくるのが大変なんです。
ジャック・ジャックの成長や活躍、続編は?
ー 初期の頃からピクサーに関わられていますが、作品をつくるにあたり、この20作までの間に積極的に変えてきたこと、逆に変えずに守っていることがあれば教えてください。
ものすごく楽しめる、娯楽であるということが一番大切で、守り続けていることです。そしてそこに、いくつかの社会的なメッセージを入れることも重要だと思っています。
映画というのは共感するための “共感マシン” だと思っていて、映画と同じ状況になったら、自分は、そしてほかの人たちはどう感じるだろうかということを考えさせてくれます。いい映画というのは、共感を教えてくれるものなんです。
ただ、まずは娯楽性があり、共感させるメッセージには目を向けさせず、しかし自然に共感を教わっているというのが、すごくいい映画だと思っていて、毎回そういう映画をつくりたいと思っています。
常によりよくしたいと思っていますが、自動的にうまくなるものではないので、うまくいくときもあれば、そうでないときもあり、毎回あがいています。どんな努力もそうだと思いますが、うまくいったと思ったら、うまくいかなかったり、その繰り返しですよね。でも、よりよくするためのさまざまなチャレンジは、積極的に行なっています。
ー 誰もが今後のジャック・ジャックの成長や活躍を見たいと思うのですが、続編は?
今は考えてないよ(笑)。
ー う〜ん。残念。でもぜひ考えてください。楽しみにしています!
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『インクレディブル・ファミリー』プロデューサー
ジョン・ウォーカー
アソシエイト・プロデューサーとして『アイアン・ジャイアント』(1999)、プロデューサーとして『Mr.インクレディブル』(2004)、製作総指揮として『トゥモローランド』(2015)など、本作『インクレディブル・ファミリー』を含めるとこれまで4本のブラッド・バード監督作品に携わる。ブラッド・バード監督とは20年来の付き合いであり、現在までのピクサーにおけるCG技術の進化を目の当たりにしてきた。テレビシリーズ“GreatPerformances”(1889〜2003)の製作も手掛ける。
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