2018年9月21日(金) TOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー!
若おかみは小学生!
2018年/日本/カラー
配給:ギャガ
©令丈ヒロ子・亜沙美・講談社/若おかみは小学生!製作委員会
鑑賞日:2018年7月3日(火)
TEXT:キッズイベント 高木秀明
大人にとっても見応え十分!
親子で楽しめるこの秋おすすめの映画
正直、子ども向け映画だと見くびっていたかもしれない。観て、ガツンと頭を殴られたような衝撃を受けた。子どもはもちろん、一緒に観た親御さんも楽しめるが、ただ楽しいだけではなく、考えさせられるところもあるはずだ。試写会場は笑いと涙、そして最後は暖かい雰囲気に包まれた。
上映時間は90分と短めだが、たくさんのエピソードがギュッと詰め込まれ、かといって慌ただしさはなく、映画を観た満足感は十分。しかしもう少し、この映画の世界に浸っていたいなと思った。
「若おかみは小学生!」は、2003年に講談社青い鳥文庫から刊行された令丈ヒロ子氏による児童文学。全20巻で、現在までに累計発行部数300万部を誇る人気シリーズとなっている。
交通事故で両親を亡くした小学6年生のおっこ(関織子)は、おばあちゃんが経営する旅館「春の屋」に引き取られ、若おかみ修業をはじめる。慣れない修業に毎日失敗の連続。落ち込むおっこだが不思議な仲間にも助けられ、いろんなお客様と触れ合い、おもてなしをしながら、少しずつ成長していく笑いあり涙ありの物語だ。
初めて描かれる “両親とおっこの物語”
おっこのいる旅館にはいろいろな事情を持つ人がやって来る。そんな一癖も二癖もある人たちに対して奮闘するおっこだか、人それぞれさまざまな事情を抱えながら、しかし表向きは何事もないふりをして生きているんだなということがよくわかる。子どもだって小学生くらいになれば親にも言いづらい何かを抱えているだろう。みんなそうなんだって、少し安心するかもしれない。
この劇場版では、原作にもテレビシリーズにも描かれていない、“両親とおっこの物語” も描かれている。正直、小学生の観る映画で、ここまで踏み込むのかと驚いた。おっこの下す決断に、映画を観た子どもたちはどう思うのか、自分だったらどうするのか、そういうことを親子で話してみてもいいのかもしれない。
もちろん、答えはない。しかし答えのないことを考えるのは思考力を養ううえでもとても大切。自分の意見を持つこと、まとめること、言えることは、これからの社会で必要な能力のひとつとなる。なぜなら、世の中のほとんどのことに正解はないのだから。
高坂希太郎監督も明確な考えをもってこのシーンを描いているが、おそらく1回映画を観ただけでは監督の真意を理解するのは難しいかもしれない。インタビューでお伺いさせていただいたので、ぜひ読んでみてほしい。監督がこの映画に込めた想いもよくわかる。
【インタビュー】劇場版『若おかみは小学生!』高坂希太郎監督、小林星蘭さんインタビュー!
自分のためにがんばっている人がいる
それだけで元気が出てくる
旅館に来るさまざまなお客様に対して、おっこは若おかみとして誠心誠意のおもてなしをする。人によって何が一番のおもてなしかは異なるし、正解がないことも多い。どうすれば、その人はこの旅館で寛げるか、癒されるか、喜んでいただけるか、試行錯誤を繰り返す。自分の感情を抑えることも、悔しい思いをすることもある。そして、必ずしも正解を導き出せるとは限らないが、人は、自分のためにがんばってくれている人がいるということで元気が出る。
また、人に親切にすることで、それは自分にも返ってくる。親切は、実は自分自身への癒しにもなるのだ。忙しかったり、悩んでいたり、つい自分さえよければと考えてしまいがちだが、おっこのお客様を想う姿と行動は、私たちが忘れがちな大切なことに気がつかせてくれる。人は、人からの “ありがとう” や “共感” で癒されるんだ。
おっこの両親に、旅館に住みついているユーレイなど “死” についても描いているので、お子さんによっては注意が必要かもしれないが、全体的にはとても明るく、前向きなお話。これはおっこの声を務めた小林星蘭さんの力も大きい。まっすぐで優しく、おっちょこちょいのおっこの、若おかみとしての奮闘と成長を、ときに笑い、ときに涙しながら楽しめる。
この秋、親子で観るのにおすすめの一本! 癒され、元気が出るはずだ。
【インタビュー】劇場版『若おかみは小学生!』高坂希太郎監督、小林星蘭さんインタビュー!
【映画紹介・予告編】2018年9月21日(金) TOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー!劇場版『若おかみは小学生!』
この映画、子どもと一緒に楽しめる?
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