2018年11月9日(金)全国ロードショー!
ボヘミアン・ラプソディ
2018年/アメリカ/カラー
配給:20世紀フォックス映画
© 2018 Twentieth Century Fox
鑑賞日:2018年10月26日(金)
TEXT:キッズイベント 高木秀明
この映画をつくってくれてありがとう
つくってくれたことに、とても感謝したい映画だった。そして改めて “後悔” というものを実感させられた。同時代を生きていながら、「クイーン」を知り、フレディ・マーキュリーに興味を持ったのがフレディが亡くなった後だったからだ。1975年の日本ツアーも、1985年に開催された20世紀最大の音楽イベントで、映画のクライマックスにもなっている「ライブ・エイド」も、幼かったとはいえニュースではやっていただろうに、気がつかなかったとは‥‥。
フレディは魅力的な声と4オクターブとも言われる広い音域を持っていたうえ、素晴らしい詞を書き、美しいメロディを奏で、そしてピアノを弾いた。多くの人を熱狂させるパフォーマンスも。ひとりになぜこれだけの才能が集まるのか不思議でならなかったが、最近、ようやくこの謎が解けてきた。おそらく、人一倍、伝えたいことがあったからなんだろう。その想いを、より多くの人に浸透させるために、自ら詩を書き、メロディをつける。
しかし、多くの人に想いが伝わり、愛されていく一方で孤独が増していくとは、成功がイコール幸せではないということも教えてくれる。フレディは多くの人に愛されたい人だった。実際に多くの人に愛されたけれど、大切に想っている人からは愛されていない、正確には、愛されていることに気がつかなかった。近すぎて、当たり前すぎて。
死を前にして気がつき、それは救いであったが、残された時間はあまりにも短かった。「ライブ・エイド」の最後で歌った「We Are The Champions」は、フレディが自らに歌ったかに見えた。そして観客に「誰もがチャンピオンなんだ」と呼びかける。これが物語とシンクロし、唯一無二の「We Are The Champions」になっていた。公開後に劇場でも観て、やっぱり同じところで泣いてしまった。
映画『ボヘミアン・ラプソディ』は2018年全世界興行収入トップ9にランクインする快挙を達成し(2018年12月10日現在)、ゴールデン・グローブ賞(ドラマ部門)の作品賞および主演男優賞にもノミネートされた。今後のさらなるヒットはもちろん、アカデミー賞に向けた賞レースも楽しみになってきた。
クイーンの名曲の数々を映画館の素晴らしい音響機器で聴けるのはまたとない機会だ。「クイーン」のファンはもちろん、「クイーン」を知らない人も、ぜひ観てみてほしい。「クイーン」はロックバンドだが、その美しい楽曲はとても聴きやすく、フレディの歌声、パフォーマンスは、簡単には真似のできない、これこそ “オリジナリティ” と思わせるほどの個性の塊だ。そして彼の生き様からも、大切な何かを学べるだろう。
2018年12月21日(金)にはレディー・ガガ主演の、こちらもスターダムに上り詰めるミュージシャンの物語「アリー/ スター誕生」が全国公開される。どちらにも共通するのが偉大なるミュージシャン、そして「成功」と「孤独」。比較しながら観ても楽しい。
【映画紹介・予告編】2018年11月9日(金)全国ロードショー! ボヘミアン・ラプソディ
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