2019年8月30日(金)全国ロードショー!
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
2019年/アメリカ/カラー
監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
キャスト:レオナルド・ディカプリオ/ブラッド・ピット/マーゴット・ロビー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
【映画紹介・予告編】ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
鑑賞日:2019年8月9日(金)
TEXT:キッズイベント 高木秀明
タランティーノ監督が “引退宣言”!?
脚本に5年をかけたハリウッドが舞台の話題作!
8月9日に開催された完成披露試写会。この日には意味がある。日本人にとっては長崎市に原子爆弾が投下された日だが(1945年)、アメリカではひとりのハリウッド女優がカルト集団に惨殺された「シャロン・テート殺人事件」の日だ(1969年)。2019年はそれから50年の節目の年にあたる。
試写の冒頭、スタッフの方から事件についての簡単な説明があった。この映画を観るなら、この事件はもちろん、1969年という時代背景も少し知っておいた方がいい。
当時はベトナム戦争への反戦や自由の追求から、若者たちは “ラブ&ピース” を掲げフリー・セックスやLSDといった反社会的な行為によって反体制主義のヒッピー文化を形成していた。1969年にはその文化を象徴する野外コンサート「ウッドストック・フェスティバル」が開催され、40万人もの若者が参加している。
映画も反体制的な若者の心情を綴った「アメリカン・ニューシネマ」というジャンルの作品群が主流となる。『俺たちに明日はない』『明日に向って撃て!』、そして主演を務めたピーター・フォンダが亡くなった(8月16日)ことで最近ニュースでも取り上げられた『イージー・ライダー』などは、いまなおファンが多い「アメリカン・ニューシネマ」の代表作であり名作だ。
そんな時代、当時26歳の駆け出し女優シャロン・テートが狂信的なカルト集団、チャールズ・マンソン率いる「マンソン・ファミリー」の信奉者にハリウッドの自宅で惨殺される。この事件はいまもハリウッド史上まれにに見る悲劇として多くの人の記憶に残っている。クエンティン・タランティーノ監督もそのひとりだ。
1963年3月に生まれ、幼少期をハリウッドで過ごしたクエンティン・タランティーノ監督は脚本に5年の歳月を費やし、映像では当時の街並み、ファッション、そして音楽にいたるすべての細部にまでこだわり9作目となる本作をつくりあげた。「10本撮ったら引退する」と公言していた監督だが、好評なら10作目までやらないかもしれないと “引退宣言” まで飛び出した。一足早く公開されたアメリカでは、監督史上最大のオープニング成績となっている。
映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、そんな歴史的事件に架空の人物が入り込む虚実入り混じった物語。監督が過ごした当時のロサンジェルスへの “ノスタルジー” と “愛” がたっぷりと込められている。
レオ×ブラピ夢の初共演!
虚実織り交ぜ “あの” 事件に迫る!
本作はレオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの2大スターが共演することでも話題だ。ディカプリオが演じるのは、落ち目のテレビ俳優リック・ダルトン。映画スター転身をめざし焦る日々が続いていた。そんなリックを支えるのがブラッド・ピット演じるクリフ・ブース。リックに長年雇われている付き人でスタントマン、そして親友でもある。
目まぐるしく変化するハリウッドで生き抜くことに精神をすり減らしているリックとは対照的に、いつも自分らしさを失わないクリフ。パーフェクトな友情で結ばれた2人だったが、時代は大きな転換期を迎えようとしていた。
そんなある日、リックの隣に時代の寵児ロマン・ポランスキー監督と新進の女優シャロン・テート(マーゴット・ロビー)夫妻が越してくる。今まさに最高の輝きを放つ2人。この明暗こそハリウッド。リックは再び俳優としての光明を求め、イタリアでマカロニ・ウエスタン映画に出演することを決意する。
そして1969年8月9日、それぞれの人生を巻き込み映画史を塗り替える “あの” 事件が起こる。
愛だよ、愛。
劇中劇でも魅せてくれるディカプリオ、頼りがいがありミステリアスな雰囲気のあるブラピ、どちらもとても素晴らしく、こんな友情が築けたら幸せだなと誰もが思うだろう。不安定な状態ではあるがなんとかしなければ、なんとかなるさと、40、50代の男性は激しく共感すること請け合いだ。
映画や当時に関する知識がないとわからないこともあるし、ヒッピー文化を描いているのでセックスに関すること、そして監督ならではの暴力シーンも満載(遊び心も満載だが)。とても子どもには観せられない。パートナーと、友人とで楽しんでほしい。
ショッキングな事件を題材にしているのに不謹慎だが、クエンティン・タランティーノ監督のハリウッドや映画に対する想いが痛いほど伝わってきて、じんわりとした “幸せな余韻” が翌日まで続いた。すべてを知ったうえで、もう一度、味わいたい。
【映画紹介・予告編】『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』2019年8月30日(金)全国ロードショー!
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