2023年11月に江戸川区がなぎさ公園内にオープンした「魔法の文学館」。ここは「魔女の宅急便」の作者・角野栄子さんの世界観を表現した児童文学館です。今回は「魔女の宅急便」の大ファンである私が、本が大好きな小学校低学年の娘と、もっぱら読むのは図鑑な年少の息子の3人で行ってきました!「魔法の文学館」のすぐ近くには無料でポニー乗馬ができる「なぎさポニーランド」、大きなすべり台、シャトルバスなど子どもたちが楽しめそうなものがたくさん!(取材:2024年3月10日(日)/TEXT:Narumi/PHOTO:大久保景)
※「魔法の文学館」への入館は、日時指定の事前予約が必要です(空きがあれば事前予約なしでも入館できる場合があります)。
魔法の文学館 親子体験レポート 目次
- 純白の建物に入ると「いちご色」がひろがる本の世界へ!
- 本だけじゃない! 子どもの好奇心をくすぐるものがいっぱい!
- 宝探しのような楽しさ! 本の並びにも角野栄子さんの想いが
- キャラクターたちとお話できる「黒猫シアター」に大興奮!
- アッチ、コッチ、ソッチにリンゴちゃん、オリジナルグッズ目白押し!
- ファンにはたまらない! 角野栄子さんのアトリエやギャラリー
- 「読書テラス」は意外な穴場! 年齢が違ってもそれぞれのペースで楽しめる!
- パノラマビューの広がる「カフェ・キキ」でお腹も心も満たされる
- ポニー乗馬やエサやり、すべり台! 動物や自然にふれあえる「なぎさ公園」
- 小さな子どもから大人まで1日中楽しめる! ディズニーリゾートも近い!
- サプライズで角野栄子さんが読み聞かせ! キキの誕生日には何かが起こる?!
- 魔法の文学館 施設概要
魔法の文学館 1階
純白の建物に入ると
「いちご色」がひろがる本の世界へ!
小高い丘の上に建つ純白の建物は建築家・隈研吾氏が設計したもの。一見しただけでは文学館とは思えないほど洗練された外観ですが、一歩中に入るとそこには「いちご色」をした『魔女の宅急便』の舞台である「コリコの町」が広がっています。
中央には3階までつながる大きな階段があり、1階と2階にはおうち形の本棚がズラリとならんでいます。3階はガラス張りのカフェになっています。
デフォルメされた家々を中央の階段から見下ろすと『魔女の宅急便』のアニメで観た、あの街の風景が重なります。きっとほうきに乗ったキキが見ていた街並みもこんな感じだったのではないかと感慨深くなりました。
「魔法の文学館」では、どこから見て、何をするかは自由。気の向くまま館内で好きな本や、まだ読んだことのない本に出会えます。私たちはまず1階にある「コリコの町」と、その先に続く本棚に向かいました。
魔法の文学館 1階
プロジェクションマッピングや仕掛け小窓
子どもの好奇心をくすぐるものがいっぱい!
1階には壁一面にプロジェクションマッピングが映し出され、角野栄子さんの代表作のキャラクターたちがお出迎え。知っているキャラクターの登場に子どもたちのテンションもMAXに!
また壁の低い位置には視覚トリックが楽しめる小窓もたくさん設けられていて、息子は気に入った小窓を開けては繰り返し不思議な仕掛けを楽しんでいました。
その間、本が好きな娘はすっかり読書モードに。お気に入りのソファを見つけて、ひとり黙々と本の世界に浸っていました。
魔法の文学館 1階
宝探しのような楽しさ!
本の並びにも角野栄子さんの想いが
この文学館には角野栄子さん自らが選んだ児童書や絵本など約1万冊が置かれていますが、本との偶然の出会い、宝探しのような楽しさが味わえるよう、あえて分類せずに配架しているのが大きな特徴です。
またフロアのいたるところに壁穴のようなソファや靴を脱いで本を読めるスペースがあり、気になる本があったら、どこでもすぐ読めるようになっています。
さらに世界中で翻訳出版されている角野栄子さんの作品たちが飾られている壁があり、ちょっとしたライブラリーのような空間に。代表作『魔女の宅急便』は2024年3月現在、16ヵ国で刊行されているそうで、さまざまな言語の表紙が並べられていました。
魔法の文学館 1階シアター
キャラクターたちとお話できる
「黒猫シアター」に大興奮!
いちご色の細長い廊下を進むと現れる「黒猫シアター」。壁・床の4面に広がる映像シアターで「おばけのアッチ」や「リンゴちゃん」など、人気キャラクターとのインタラクティブな体験ができます。
シアターのプログラムは複数用意されていて、私たちのときは「おばけのアッチ」とその仲間たちが出てきてくれました。大好きなキャラクターとの楽しいやりとりに子どもたちは大興奮!アッチとおしゃべりできたことはこの日一番の思い出になったそうです。
未就学児のお子さんがいる場合は、ぜひ最前列で床にあるクッションに座ることをおすすめします。床にも映像が映し出されるので、さらに絵本の世界への没入感が味わえますよ。
魔法の文学館 1階ショップ
アッチ、コッチ、ソッチにリンゴちゃん
オリジナルグッズが目白押し!
1階フロアで忘れてはならないのが、エントランスを入って正面にあるショップ。「いちご色」のオリジナルグッズやキャラクターグッズが販売されています。
私のおすすめは、なんといってもキャラクターの描かれた缶バッチ。魔法の文学館に到着したら早めにショップに立ち寄って缶バッチを購入すれば、お気に入りのキャラクターを身につけて館内をまわれるからです。缶バッチにはクリップも一緒についているので洋服に穴を開けたくない人でも安心です。
また手荷物が増えたら、ぜひコインロッカーを利用してください。施錠の際に100円玉が必要ですが、返却式なので何度も気軽に荷物の出し入れができます。小さい子どもがいると荷物も多くなるので、気兼ねなく預けられるのは嬉しいですよね。
魔法の文学館 2階
角野栄子さんファンにはたまらない!
栄子さんのアトリエやギャラリー
大きな階段を2階に上がると角野栄子さんのアトリエをイメージしたコーナーや半年ごとに企画の入れ替わるギャラリーがあり、大人も見応えたっぷりのフロアになっています。
栄子さんのアトリエではお気に入りの本や仕事道具、旅先で見つけた小物たちが展示されており、まるで栄子さんの宝箱をのぞいているかのよう。奥には栄子さんの半生を綴った映像が流れています。
ギャラリーでは記念すべき第1回企画展の「魔女まじょ展」が開催されており、栄子さんが世界各地から集めた “魔女人形” コレクションを紹介していました(2024年4月8日まで)。天井から人形が吊るされていたり、アーチを描くように写真が飾られていたりと、小さな子どもの視点からでも楽しめる展示方法が印象的でした。
2024年4月12日(金)からは角野栄子さんの作品の中から「ごはん」に焦点をあてた第2回企画展がはじまります。「おいしいふ〜せん」「ごちそうびっくり箱」「小さなおばけシリーズ」から栄子さんのフルコースが楽しめます。
魔法の文学館 テラス・芝生
「読書テラス」は意外な穴場!
年齢が違ってもそれぞれのペースで楽しめる!
2階のライブラリーにもさまざまなジャンルの本が置かれています。中には息子の大好きな図鑑も! 昆虫図鑑、恐竜図鑑を見つけた息子は自分で本棚から出して楽しそうに見ていました。
そしてお天気の良い日は館外に本を外に持ち出すことができます。子どもたちも2冊ずつ本を選んで「読書テラス」前にいるスタッフの方に声をかけて申し込めばOK。かわいいビニールバッグに入れられた本とマットを受け取ったら、そのまま2階から外に出られますよ。
読書テラスは緩やかな階段になっていて、好きなところに座って本を読むことができます。この日は休日で、館内はたくさんの人が訪れて賑わっていましたが、読書テラスは静かでちょっとした穴場になっていました。これからの季節は桜を眺めることもできそうです。
館外に広がる芝生の上にマットを敷いて、気持ちいい風が吹く中での読書は最高! 読書好きの娘が黙々と本を読む中、ちょっと退屈してきた息子は芝生を駆け回っていました。多くの図書館では「静かにして」と下の子に注意したり、走り回りたい息子を館外に連れ出すため娘を我慢させたりしなければなりませんが、子どもの年齢が違ってもそれぞれのペースで楽しめる自由さがいいですよね。
魔法の文学館 3階
パノラマビューの「カフェ・キキ」で
お腹も心も満たされる!
そろそろお腹が空いてきたので、3階の「カフェ・キキ café kiki」へ。大きなガラス張りの店内は旧江戸川を一望できる、見晴らし抜群の空間です。
「小さなおばけ」シリーズの『おばけのアッチとコロッケとうさん』に出てくる “オムライス山” をイメージした「キキライス」や、ふたごのねずみの “チ” と “キ” をイメージした「チとキのサンドイッチ」など、ここでしか食べられないメニューがたくさん! スイーツやパンといった軽食も充実していました。
カフェの店内から「展望の丘テラス」に出ることもでき、お天気の良い日はドリンクを注文してテラス席でお茶をするのもおすすめです。子どもたちは「いちごラテ」がお気に入りでした。
魔法の文学館 前
ポニー乗馬やエサやり、すべり台!
動物や自然にふれあえる「なぎさ公園」
「魔法の文学館」があるのは、なぎさ公園の小高い丘の上。四季折々の植物を楽しむことができます。またすぐ目の前にはポニーとふれあえる「なぎさポニーランド」や、不思議な形をしたすべり台が置かれた「ものがたりの丘」があります。
「なぎさポニーランド」ではポニーの乗馬やエサやりが体験できます。小さな子どもでもひとりで乗馬させてもらえるので、「できた!」という達成感につながりそうですね。
エサやりはちょっと怖がりながらも、自分の手からポニーがムシャムシャにんじんを食べてくれて嬉しそうでした。お子さんが怖がってしまったときは「一緒にやってみよう!」と大人から声をかけるとチャレンジする気持ちになってくれるかもしれません。
斜面と一体化した大きなすべり台は見たこともない形で、体力のあり余っている息子はそれを目にした途端、一目散に駆けていきました。すべったあともグルグルと一周できるデザインになっており、飽きることなくエンドレスにすべり続けていました。
なぎさ公園内には汽車を模した「パノラマシャトル」が走行していて、フラワーガーデンまでの景観を楽しむことができます。途中で通過する富士公園内には「小さなおばけ」シリーズに出てくるキャラクターたちが隠れているので、ぜひ探してみてくださいね。
魔法の文学館
小さな子どもから大人まで1日中楽しめる!
ディズニーリゾートにも近く遠方の方も
「魔法の文学館」では自由に本を手にとり、好きな場所で好きなだけ本の世界に没頭することができます。本を読むのに少し飽きたら芝生に寝転んだり、カフェで休憩したり、動物や自然にふれあったり‥‥、「読む」以外にもたくさんの刺激を受けて帰ってきた子どもたち。
家に帰ってから感想を聞いてみると年少の息子は本で読んでいた「おばけのアッチ」とお話できたのが楽しかったそう。
小学校低学年の娘は本がたくさんあるだけでなく、変わったソファーやカフェで過ごしたことが楽しくて、「またあの場所で本を読みたい」と言っていました。
幼い頃から角野栄子さんの本を読んで育ってきた私は、懐かしい本はもちろん、まだ知らない本を目にして「もっと読みたい!」という読書欲がムクムクと湧いてきました。
「魔法の文学館」は良質な本と出会える場所であり、自然や動物ともふれあえる体験は、大人である私の感性も大いに刺激されました。
小さい子どもがいると、ついつい子どもの興味に合わせてお出かけしがちですが、ここであれば親子で飽きることなく一日中過ごすことができます。
しかも江戸川区の施設ということで、とても良心的な料金で体験できるのが何より素晴らしいと思いました。こんな素敵な施設のある江戸川区民のみなさんが羨ましい! しかも江戸川区在住、在勤、在学の方には割引料金もあるんです。
そして実は、この「魔法の文学館」の旧江戸川を挟んだ向かい側には「東京ディズニーリゾート」があります。遠方からの前後泊で小さなお子さんを連れてお出かけするのにもぴったりですよ。都内でありながら自然に囲まれゆったりと過ごせるのが魅力です。
子どもの主体性を大切にし、発想力や創造力を育んでくれる「魔法の文学館」。ぜひ親子で本の世界に入り込んでみてくださいね。
そして、「魔法の文学館」への入館には基本的に日時指定の事前予約が必要です。予約せずに行って入れないということがないよう、事前予約をお忘れなく。
サプライズも実施!
角野栄子さんの読み聞かせも!
キキの誕生日には何かが起こる?!
「魔法の文学館」では、サプライズで角野栄子さんの読み聞かせも実施! アナウンスはないようなので、参加できるかは運まかせになりますが、前回は2024年2月2日に実施されました。この日は『魔女の宅急便』のキキの誕生日。2月2日は何かがあるのかもしれません!
施設概要
魔法の文学館(江戸川区角野栄子児童文学館)
住所
〒134-0085 東京都江戸川区南葛西7-3-1 なぎさ公園内
開館時間
9:30~17:30(最終入館 16:30)
休館日
火曜日、年末年始(12月29日~1月3日)
料金
・一般(15歳以上):700円(500円)
・子ども(4歳〜中学生):300円(200円)
※料金はすべて税込。
※( )内は江戸川区在住者、在勤者、在学者の割引料金。
※3歳以下は無料。高齢者割引はありません。
※障がい者は半額、介助者は1人まで無料となります。入館の際に障がい者手帳等をご提示ください。
入館方法
「魔法の文学館」への入館は、日時指定の事前予約制が基本となっています。
※チケット予約:https://webentry.net/mahouno-bungakukan/
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