アゲハチョウ(ナミアゲハ)の幼虫は、お庭やベランダで簡単に飼育でき、蛹や羽化などさまざまな変化を楽しめます。卵から羽化までは2ヵ月程度、チョウになって放してあげるときは育てきったという達成感も! 毎日観察すれば、
自由研究にもなりますよ。(記事作成:2017年5月5日[金・祝])
※写真の幼虫、チョウは同一個体のものではありません。成長過程をまとめるにあたり異なる個体、異なる時期の写真を使用しています。あらかじめご了承ください。
鳥の糞の擬態から美しい緑色の青虫、蛹、成虫と
完全変態(メタモルフォーシス)の過程を毎日近くで観察!
幼虫には1齢〜6齢までの段階があり、脱皮を繰り返しながら4〜6週間程度で6齢に達します。その後、蛹(さなぎ)になって10日〜2週間(越冬する場合は5ヵ月ほど)してからチョウになり、1〜2週間ほど過ごします。
1〜4齢までは鳥に食べられないよう、黒い体に白い模様という鳥のフンの形に擬態し、体にはトゲのような突起があります。しかし4齢から5齢の脱皮で鮮やかな緑色に変化します。
小さな頃から葉をよく食べますが、緑色になってからの食欲はかなりのもので、小さな山椒の木では葉が食べ尽くされてしまいます。4〜5センチほどまで大きくなったら、そろそろ蛹になります。
【関連ページ】春の羽化が楽しみ! アゲハチョウの蛹、ただいま越冬中!
光も関係していますが、1齢幼虫を近くで見ると、黒というよりも体色は茶色で、白い帯もあまり目立ちません。トゲのようなたくさんの突起も見えます
ムシャムシャと葉を食べはじめます。アゲハチョウの幼虫は大食漢なので、みかんを育てている方からすると害虫になります。なお山椒で育った成虫は山椒に産卵する傾向があるそうです
2〜3日もすると最初の脱皮を行ない2齢幼虫になります。写真は孵化から9日ほど経っているので、おそらく2齢幼虫から3齢幼虫への脱皮。脱皮した皮は食べてしまいます
だんだんと体も黒くなり、白い帯も目立つようになってきます。鳥のフンに擬態して食べられないように身を守っています
4齢幼虫になると頭が大きくなり、緑色になったときと同じようなフォルムになります。ここまででだいたい2週間くらい、体長は1.5ミリほど
数日違うだけで体の大きさはこんなに異なります。大きさには個体差もありますが、葉っぱをよく食べてみるみる大きくなっていきます。山椒の木にはトゲがあるので気をつけてください
4齢幼虫から5齢幼虫への脱皮で体は緑色になります
脱皮直後、体の緑色は薄く、ところどころ茶色い部分も。しかし眼のように見える大きな黒い模様や、その周辺の特徴的な模様がよく見えます。この模様も、よく見るとおもしろいし、かわいい
少し嫌がらせをしてみると、首の後ろから黄色い臭角(しゅうかく、「肉角(にくかく)」とも言います)を出し、独特の、どちらかというと嫌な臭いを発します。しかし幼虫によって性格に違いがあるのか、成長過程の時期的なものなのか、すぐに臭角を出す個体とそうでもない個体がいます
たくさんの葉を食べて羽化に備えます。この足がかわいいですよね
強く掴んだり、長時間いじってはよくありませんが、一緒に遊ぶと、あの足の感触も楽しめます
小さな山椒の木でたくさんの幼虫を育てるとエサ不足になってしまいます。葉にいくつか卵が付いているのを見つけたら、しばらく室内に移動して、それ以上、卵を産みつけられないようにしましょう。エサが足りなくなり、途中でみかんの葉をあげてもなかなか食べないことがあります
5齢幼虫では体長30ミリほどになります
6齢幼虫になると体長は40ミリを超えるようになります。孵化してからここまで6週間程度。そろそろ蛹になります
■ 1ページ:卵の産み付けと孵化
■ 2ページ:1齢〜4齢の擬態、5齢〜6齢の青虫
■ 3ページ:蛹から羽化
■ 4ページ(番外編):アゲハの成虫をスポーツドリンクで育てる/飛べない、歩けないアゲハチョウ など
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※ 販売されている山椒の木は殺虫剤がかけられているものがありますので、購入時にはご注意ください。殺虫剤がかけられたものは、来年からアゲハチョウのエサとして使えます。