6月上演に向け「剣豪将軍義輝 〜星を継ぎし者たちへ〜」がスタート!
踊るように華やかな女性たちの殺陣を観てほしい
ー 舞台「剣豪将軍義輝 〜星を継ぎし者たちへ〜」※1 の記者発表が2017年3月11日(土)に行なわれ、いよいよ動きはじめます。舞台で前後編2部作というのははじめての経験かと思いますが、再び梅花(メイファ)※2 を演じる心境はいかがですか?
前編ではじめて殺陣に挑戦しましたが、わりとみなさんに褒めていただき、時代劇の舞台で女性が立ち回りをするのはいいんじゃないか、ということになって。原作では梅花(メイファ)には12人の女性の手下がいるので、前編ではひとりだったのを、後編ではもう少し人数を増やそう、ということになっているようです。体のキレをなくさないように、というのが今回の一番の課題というか(笑)、前編、後編の間の過ごし方で気をつけているところですね。
※2:梅花(メイファ):星野真里さん演じる、倭冦(わこう)という海賊の娘。父の命に従い義輝に仕える。
ー 女性が増えて華やかになりそうですね。
そうですね。女性ならではの見せ場が増えそうです。梅花は明(中国)の人なので刀ではなく釵(サイ)を持ち、立ち回りもどこか踊りを踊っているような感じです。みなさんが思い描く時代劇の殺陣とはひと味違う、華やかで、カッコいいものをお見せしたいなと思っています。
ー 前後編の舞台では、最初から後編の内容がきっちり決まっているのではなく、前編のよかったところを後編でさらに膨らませるという、そういう工夫もできるんですね。
原作があって、前後編でやろうというのは決まっていますが、後編にこれをやりたいから前編はここまで、というつくりではないんです。まずは前編に全精力を傾けていいものをつくれば、それが後編へのいいバトンになるという想いでした。結果的にお客さんにとても喜んでいただけて、いいバトンが来ているなと思っています。その流れをくんで、今、一生懸命に台本をつくっていただいている最中です。
ー 梅花と星野さんご自身の共通点はありますか?
梅花は倭冦(わこう)という海賊の娘で、その父親が足利義輝という人物こそは日本だけではなく、私たちの王様になるべき人間だと惚れ込み、梅花に義輝のお供をさせます。義輝が小さなころからずっとそばにいて、まるで母のように命がけで義輝を守っているんです。私自身も実際に母親になったので、子を想う母の気持ちはリンクするところですね。
ー 全然違うところはありますか? 前編の上演前に、星野さんが義輝役の染谷俊之さんのインタビューを受ける動画があって、染谷さんに「星野さんには活発に動くイメージがない」なんて言われていましたが。
そう!「星野さんをなめてた」って言っていましたよね。
ー 言っていました(笑)。でも、マラソンをしたり、けっこう動いていますよね?
そうなんですよ。運動は好きで、小学生の頃から好きな授業は体育と言っていたり。そういうイメージはあまりないんでしょうけど。だからはじめて殺陣をやらせてもらえてすごく嬉しかったですし、ちゃんと動けるという一面を見せることができたかな、と思っています。
ー 「剣豪将軍義輝」全体としての見どころは?
前編では、義輝がいろいろな人たちの影響を受けて剣豪将軍に成長するまでを描きました。後編では、成長した義輝が将軍として日本を平和にするため動きはじめます。前編では義輝も殺陣のシーンが多く見どころがたくさんあったので、後編も期待できると思います。
「人って変われるんだ」
引っ込み思案だった過去の自分に言ってあげたいこと
ー 女優になられたのは、弟さんが劇団に所属していて、それを見て、星野さんも劇団に入ったのがきっかけのようですね。いつから女優が夢、目標になったんですか?
劇団に入ったのは小学1年生のときですが、それとは別に、学校のみんながお花屋さんになりたい、パイロットになりたい、というのと同じような感じで、私は女優さんになりたいって言っていましたね。
ー 女優に憧れるきっかけはあったんですか?
弟がテレビに出ているのを観たのが大きかったと思います。それまではただただテレビが好きだったのが、「その中に行けるんだ」というのが現実のものとして実感できて、「なら行きたい!」と。でもとても引っ込み思案な子どもだったので親はすごくびっくりしたみたいですが、そんなところも治ればいいと思って、応援してくれていました。
ー あがり症とも聞いたことがありますが、多くの人に見られる仕事ですよね。それはどういうふうに克服されたんでしょうか?
仕事のときは台本があるので、自分の言葉で話さなくてもいい、というところが強みというか、セリフを覚えて、練習して、それを発することが仕事なので。何かをしたから引っ込み思案が治ったわけではなく、20歳すぎまで現場でもほとんど会話をしない、言われたことに対して「はい」「いいえ」という短い返事だけの子どもでしたね。
ー 前編も最初からではなく少し遅れての参加で、なかなか輪に入れなさそうな感じでしたね。
男性がほとんどですし、年齢もみなさんよりちょっと上だったり、お互いにどう接したらいいだろう? というのはあったんですが(笑)、お芝居では義輝のお供としてそばにいる役なので、みんなで飲みに行ったときに義輝役の染谷さんと積極的に話をしたり、距離を縮めようと心がけていました。
ー 自然と仲良く、というよりも、やはり自分から話しかけたり、そういう努力はされているんですね。
やっと最近、そういうことをするようになりましたね。役だから、というのもありますが、この出会いは今しかないかもしれないし、せっかく一緒にお仕事をするんだから、いろいろと話をして、相手のことを知って楽しんだ方がいい。そう思いながら、現場に入っています。
ー 相手の方をよく知っていた方が、お芝居はスムーズにできますか?
と、思いますね。本当に仲が良くなければできないというわけではありませんが、わかっているからこそできることもあると思いますし、舞台上では何が起こるかわからないので、その時の信頼にもつながります。コミュニケーションは、私は必要だと思います。と、昔の私に言ってあげたいですよね(笑)。
ー 昔は頑に話さないというか‥‥。
もう、ホントに! ニューヨークにロケに行くことがあって、となりの席は俳優さんだったんですが、会話はキャビンアテンダントの方の「Beef or Chicken?」が聞き取れなくて、「なんて言っているんですか?」だけ。12時間のフライト中、たったそれだけだったんです。今考えれば、なんてもったいないことをしたんだろうって。当時の私には「話しかける」という選択肢がなかったですね。
ー そういう方でも、がんばればなんとかやっていけるお仕事、ということですか? もちろん他に必要なスキルはたくさんありますが。
仕事をやってきたからなのか、年齢を重ねたからなのかはよくわかりませんが、人って変わるんだよっていうのは、ものすごく実感しますね。
ー 変わるきっかけはあったんですか?
う〜ん‥‥、ちょっとのろけになっちゃいますけど(笑)、主人に会ったのはすごく大きいことだなと思います。それは本当に感謝していることで、私の話を聞いてくれる人がいるんだ、という。
私は5人兄妹の真ん中で、だから母親はすごく子育てに忙しかったんでしょうね。子どもとしては親と話したいけど、忙しいから、いろいろなことをしながら私の話を聞いていたんです。それが私から見ると、私の話には耳を傾けてくれないんだ、じゃあ話さないよ、というふうに思って。それからは学校であったことも話さなくなって、どうせ自分の言いたいことは人には伝わらないんだという思い込みになって。
主人には、そういう気持ちを少しずつ解きほぐしてもらいました。もともと私は話すのも好きだし、誰かと何かをわかり合いたいと思っていました。今、それが実際にできるようになって、やっぱり楽しいなと。それは家族だけじゃなくて、仕事場でしか会えない人とも、むしろそこでしか会えないんだから、話した方がおもしろいよね、というふうに考えが変わりましたね。
■ 次ページでは、不安の時期や女優としてのターニングポイント、子育て、夫婦、家族について!
【インタビュー】もっと歴史を深く知りたくなるシリーズ第5弾「桃山ビート・トライブ」出演、山本匠馬さんインタビュー!
【イベント紹介】2017年11月23日(木・祝)〜12月3日(日)に上演! もっと歴史を深く知りたくなるシリーズ 舞台第5弾「桃山ビート・トライブ」
【インタビュー】2017年7月27日(木)〜29日(土)に開催!「歴タメLive」第2弾出演! 石井智也さん、奥谷知弘さん
【体験レポート】もっと歴史を深く知りたくなるシリーズ「歴タメLive〜歴史好きのエンターテイナー大集合!〜」第2弾
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もっと歴史を深く知りたくなるシリーズ
舞台「剣豪将軍義輝 〜星を継ぎし者たちへ〜」
「もっと歴史を深く知りたくなるシリーズ」は、教科書には載らないような歴史上の出来事を興味深くおもしろくエンターテインメントとして表現するシリーズ企画。2014年9月に第1弾企画「マルガリータ〜戦国の天使たち〜」を、2015年10月に第2弾企画「幻の城〜戦国の美しき狂気〜」を上演。
「剣豪将軍義輝」はその第3弾企画となり、初の前後編2部作。前編は2016年12月8日(木)〜12月14日(水)に上演された。戦乱の世を、将軍でありながら無双の剣士として生きた若き足利義輝の爽快な生涯を描いた宮本昌孝氏の長編歴史小説「剣豪将軍義輝」の舞台化。2017年6月8日(木)〜18日(日)まで、EXシアター六本木で上演。
オフィシャルサイト:http://mottorekishi.com
星野真里(ほしの まり)
1981年7月27日生まれ。1995年NHK「春よ、来い」でデビュー。2005年初主演映画「さよならみどりちゃん」で第27回ナント三大陸映画祭で主演女優賞を受賞するなど映像、舞台、CMと多岐にわたり活動中。主な出演作品として上記の他にドラマ「3年B組金八先生」乙女役や、2014年東海テレビ昼帯「シンデレラデート」主演、舞台「リンダリンダ」「幻の城〜戦国の美しき狂気〜」等がある。また2012年から現在まで「セザンヌ化粧品」のイメージキャラクターを務めている。
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