子どもは大人の本音をすぐ見抜く
自分が真剣に “熱量” を持って楽しむ
ー 2023年3月に開催された『HEROs DREAM(ヒーローズドリーム)』を拝見させていただきました。子どもたちや親御さんがとても楽しそうにしていましたが、巻さんはじめアスリートの方も同じくらい楽しそうだったのがとても印象的でした。
参加した方に楽しんでいただけると嬉しいのはもちろんですが、まずは “自分が楽しむ” というスタンスで参加しています。子どもって大人の本音を見抜く感性がとても豊かなので、大人が楽しんでいなかったり、声がけを事務的な作業のようにやっていると、すごくつまらなそうにしたり、響かないことが多いと感じていて、だからこそまずは自分が真剣に、熱量を持って楽しむことを心がけているというか、自然とそうなっていますね。
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ー アスリートの方全員が楽しそうでしたが、特にそのような話はしなくても、みなさん同じような考えなんでしょうか?
同じように考えていると思いますね。それに『HEROs DREAM』にはトップアスリートがたくさん集まっていたので、そういう人たちと一緒にプレーできるのが純粋に楽しかったんじゃないかな。
ー『HEROs DREAM』には車いすキッズも参加していました。巻さんは「障害児向け放課後デイサービス」の運営もされているので、障がいのある子どもたちと一緒に楽しむことに不安はなかったと思いますが、どのようなことを心がけていますか?
障がいがあっても、お互いにできることがあれば平等ですよね。それに障がいがなくてもボールを上手に蹴れない子はいるし、うまく投げられない子もいます。困ったことがあれば助けてあげたりアドバイスするくらいでいいのかなって。でもそれは障がいの有無に関わらず、みんな同じですよね。
子どもってチャレンジするし、障がいに対してコンプレックスを持っていない子も多いんじゃないかなと思います。あったとしても、僕らがそれを気にするというよりも、一緒に楽しむことが大切だと思いますね。
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自分のためではなく誰かのためなら
自分の価値や力を最大限発揮できる
ー 現役のときから子ども向けサッカースクールの運営、引退後※は障害者向けの放課後デイサービスや就労支援などの社会貢献活動を行なっています。なぜ社会貢献活動に力を入れようと思われたのでしょうか?
※2019年1月 引退
現役時代の海外※での経験と、その後に起きた熊本地震(2016年4月14日)、この2つがきっかけですね。
※2010年7月「アムカル・ペルミ」(ロシア)入団/2011年3月「深圳紅鑽足球倶楽部」(中国)入団
ロシアと中国では僕のことを知っている人がほとんどいなかったので、すごく孤独を感じました。日本なら困ったことがあれば助けてくださったり、自分が何かを発信するとリアクションやウェーブなどで反応していただけますが海外ではまったくそういうことがなく、日本での “自分のことを知っていただけている価値” というのは、とても貴重なんだと感じました。
そしてその価値をどう使えばいいか、現役のときから飲食店をやってみたり、いろいろなことにチャレンジをして模索していたのですが、なかなかうまくいきませんでした。そんな中、熊本地震が起きました。
当時は熊本地震への支援について発信すると「売名行為だ」などと叩かれてしまうことが結構あり、それによって発信する人や報道される機会が少なくなっていました。人前で何かを発信するのは得意ではなかったんですが、やはり誰かが伝えないといけないと思って。だったら発信もし、支援活動もしようと決めて動きはじめました。
自分のことだと消極的なんですが、誰かのためにと思ったら自分でも驚くほど大胆に行動することができました。考えてみるとサッカーもそうなんですよね。自分のためではなく誰かのためにプレーするときの方が自分の力を発揮できたというのを思い出しました。
ということは、僕は誰かのためにエネルギーを使った方が、自分の価値や力を最大化できるんだと気がついたんです。であれば、社会的な意義のある活動にエネルギーを注ぎたいなという思いに至りました。
ー サッカーはじめフォワードというポジションは「俺が!」という自己主張の強い方という印象があるのですが、巻さんはそういうタイプではないんですね。
僕はできることも非常に少なかったし、技術的にそれほど長けていたわけでもないし、運動能力も特別秀でていたわけではありませんでした。でも試合には出たい、出続けたいという想いを実現するには、他の人にはないものを探すことになります。
フォワードはゴールを決めるなど少しエゴイスティックなところが必要ですが、逆にそうじゃない部分に着目して、それを強みにしました。自分をすごく客観的に見ることができていたんでしょうね。そういうところが、「泥臭い」と言われるプレースタイルにつながったんじゃないかなと思います。
すべての “熱量” をぶつける
それが “巻き込まれてくれる” 秘訣
ー プレーもそうですが、今の社会貢献活動にしても、多くの方が巻さんに協力しています。人に好かれる、人を巻き込む力がすごいと感じるのですが、どうすればそうなれるか、秘訣はありますか?
ひとつは、僕はひとりではプレーできないタイプだったので、人のためにプレーをしました。すると助けてもらえることも多かったんです。エゴイスティックにプレーする人は助けたくなくなるじゃないですか。でもチームのために一生懸命走っていたら、困ったときに助けてあげようと思いますよね。これはサッカーに限らず、学校や普段の生活でもそうですよね。
もうひとつは、サッカーは90分のスポーツなので、その90分を全力で戦うためのトレーニングをしています。でも晩年になると、90分間フルに試合に出られる機会は減り、残り20分とか10分とか、1分なんてときもあって、まったくボールに触れずに終わることもありました。それでも90分戦うために若い選手と競いながら熱量を持ってトレーニングをしていましたし、たとえ出番が1分だとしても、90分戦う熱量を1分に凝縮して注がないといけないと思っていて、僕は “熱量” というものをすごく大切にしていました。
普段からそういう想いでサッカーに取り組んでいたので、他の何かに取り組むときも、すべての熱量をぶつけることを心がけています。それが、みなさんが巻き込まれてくれる要因なのかな、と思います。
引退後どうするかはアスリートの課題
自分の可能性ってまだまだたくさんある
ー 引退後に社会貢献活動をするというのは、現役のときから考えていたのでしょうか?
現役中はプレーをすること、上をめざすことに必死でしたから、ほとんど考えていなかったですね。でも晩年になると次のキャリアを考えざるを得なくなるじゃないですか。給料もどんどん少なくなってくるし、出場時間も短くなってくる。「引退した後どうしよう?」というのは、多くのアスリートの課題ですよね。
僕もその課題を感じていたので、飲食店をはじめいろいろやりました。でも、いずれも熱量を持って取り組むことができなかった。たとえば飲食店なら、毎日売上の数字が出てきますよね。でも売上が上がっても下がっても、正直、全然興味がなかったんです。だったらもっと自分の興味あること、熱を発することができるものが正解なんだろうなと思いました。とは言え、社会貢献でご飯が食べられるわけではないので、そこのバランスは常に考えています。
ー 「NPO法人 YOUR ACTION(ユア アクション)」をはじめ、放課後デイサービスや障がいを持っている方の就労支援など、さまざまな社会貢献活動を行なっています。他に新しく始めたものはありますか?
現役中には放課後サービス、障がいを持っている方の就労支援だったり、障がいを持っている方の社会的地位を意識することが多かったので、そういうことをやっていました。
でも、もっと違うことをやりたいと思って、今は障がいを持っている方のアートに関する事業を行っています。障がいを持っている方が自立して納税できる仕組みづくりにチャレンジしていて、しっかりと収益を上げながら、支援や還元できるよう進めています。
ー テレビ番組「有吉ゼミ」で大食いにも挑戦し、“ライスモンスター” というキャッチフレーズで見事に何度も(6回)完食しています。巻さんが大食いとは驚きました。
自分でもびっくりしました。負けず嫌いもひとつの要因だと思いますが、今まであんなに食べることはありませんでした。自分が大食いだなんて思ったことなかったんですよ。
ー 大食いだからオファーが来たというわけではないんですか?
出演予定だった方が急に出られなくなったようで、「空いてますか?」と連絡が来たんです。空いてはいなかったんですがスケジュールを調整し、出るからには全部食べて帰らないともったいないなと。で、食べてみたら食べられた、という。料理が出てきたときには、絶対に食べられないと思いましたけどね(笑)。
今もそうですが、美味しく食べられる量は少ないんですよ。でも自分の未知なる部分、可能性ってたくさんあるんだなと気がつかせてもらいました。
「子育てした」と言うと怒られちゃう(笑)
良いところを探してめちゃめちゃ褒める
ー お子さんが3人、一番下のお子さんは小学5年生です。現役中は遠征なども多かったと思うのですが、子育てはどのようにされていたのでしょうか?
海外に行っていたこともあって、ほとんど家にいなかったんですよね。日本に帰ってきてからも、毎日、千葉から電車で2時間半くらいかけて東京ベルディ※に通っていたので、朝は4時30分くらいに起きて20時ごろに帰って寝るという生活で、あんまり子育てはしていないんですよね。
※2011年8月「東京ヴェルディ」入団
でも熊本※に帰ってからは一緒にいる時間も長くなって、良いところをいっぱい探して、めちゃめちゃ褒めています。
※2014年1月「ロアッソ熊本」入団
大事な決断はすべて自分で
それが「あきらめない精神」につながる
ー 巻家の教えは「あきらめない精神」と聞いたことがあります。
実は両親から「あきらめるな」と言われたことはほとんどないんです。でも、いろいろな決断は、すべて自分でやっていました。やっていたというか、やらせてもらっていた、かな。
小学生の頃にサッカーをはじめたのも、高校まで父が監督のアイスホッケーチームで選手をしていましたがサッカーに決めたのも、プロからのオファーがあったけど大学に行ったのも、節目節目の決断はすべて自分でしました。
自分で決めたのに途中であきらめる、投げ出すのは恥ずかしいので、苦しくても耐えられる。その先の楽しいことを想像しながらやってましたね。それが「あきらめない精神」につながっているのかな、とは思います。
でも現役中はずっと戦っていたのでサッカーを楽しいと思ってプレーしたことはほとんどありませんでした。ですが、しっかり自分と向きあって一生懸命プレーしているのは楽しかった。結果とした楽しかったので、辞めたいと思ったこともなかったんですよね。
自分のことを客観的に見ることの大切さ
小さな目標をクリアし続け大きな目標へ
ー プロではなく大学に行くと決めたのは大きな決断だったと思うのですが、なぜ大学に?
高校生のときに「自分のことを良く知る」ということを学んでいて、自分を客観的に見ることができていました。体の線も細かったし、技術も拙かった。自分に足りないもの、強み、どこを磨いたらいいかを考え「泥臭い、人のためのプレースタイル」にもつながるんですが、高校を卒業してプロに行ってもすぐにダメになると分析しました。おかげで大学時代に意思と目標に向き合いながら4年間プレーできたのは大きかったですね。
ー 目標を持ってそこに向かって努力をされていたんですね。
あんまり大きな目標を持てるタイプではないんですが、目標設定はけっこう大事だと思っています。僕は大きな目標だと現実味を感じられないので、W杯はもちろん日本代表すら目標にありませんでした。まずは試合に出るとか、小さな目標を立てるのは上手だったかもしれません。でもその積み重ねで、ひとつクリアしたら次の目標と、目の前の目標をどんどん潰していく。だからあきらめずに継続できたのかなと思います。
心に焼き付いたゴンさんのプレー
それが僕の本当の原点
ー 巻さんご自身は小学5年生からサッカーをはじめたそうですが、もっと早くからやっておけば良かったと思うことはありましたか?
そんなに考えたことはなかったですね。技術的には小さい頃からやっている選手の方が上手でしたが、時間は巻き戻せないし、そのあたりは小学生ながらもドライに考えて、できることをやろうと練習していました。
ー 他のスポーツをやっていたことは役に立ちましたか?
アイスホッケーでもフォワードをやっていたんですが、小さなパックを打つときに点であわせる感覚はサッカーに通じるものがあり、それがヘディングだったりワンタッチのシュートにすごく生きました。
それとアイスホッケーもボディコンタクトの多いスポーツなので、人に体を当てることが嫌じゃなかったのは役に立ちました。だからいろいろなスポーツをやるのは良いことかなと思います。かといってサッカーだけではダメということでもありませんけどね。
大事なのは、好きなことを楽しむ、嫌になることはやらないということと、ケガをしたらすぐにちゃんと休むこと。楽しいことをいっぱい考える、未来を想像するということは、子どもたちにやってもらいたいですね。
ちょうど中学校にあがるときにJリーグができて(1993年)、それまでは純粋にサッカーを楽しむということしかやってこなかったんですが、「こういう舞台でプレーしたい」と思いました。プロになれるとは思っていなかったけど、心の奥底にはなりたいという想いがあったと思いますね。日本代表とかはいっさいありませんでしたが(笑)。
1998年に熊本市の水前寺陸上競技場でゴン(中山雅史)さんのプレーを見たことがあったんです。ハットトリックの記録をつくった試合なんですがゴールの印象はほとんどなく、その代わり前線から戻ってめちゃくちゃ守備をしている、相手ボールになりそうなところを身体を張って自分たちのボールにしている姿が強烈に心に焼きつきました。
ゴールじゃなく、そういう地味なプレーで子どもの僕を惹きつけ、「明日もがんばろう」と思わせてくれるのってすごい、僕もそういうことをやりたいと、サッカーかどうかはどうでも良かったんですがサッカーの道に進むことができ、それが僕のプレースタイルにつながっています。
すごいプレーを観たらチャレンジを
日本の子どもたちも世界に肉薄
ー サッカーチーム「カベッサ熊本」で小中学生を教えています。今の子どもたちを見ていて感じることはありますか?
僕らが子どものときは海外の試合なんて簡単には観られなかったですし、Jリーグもなく日本リーグの時代で、テレビでは放送していないんですよね。特に熊本の田舎では。だからプロのサッカーの試合を観たことはありませんでした。
今はYouTubeで簡単に海外の試合も観られるし、すごいプレーもすぐに情報として入ってくる。でもそれを観て自分がやった気持ちになっている子と、自分には無理だと諦めちゃう子がいて、この2タイプがすごく多いかなと思います。知識を得られる環境が整っていることは素晴らしいことなので、すごいプレーを観たらチャレンジしてみるのが大切だと思います。
子どもたちに夢を叶えるアドバイス
短所はチャンス、伸びしろだ!
ー「夢を叶えるために」というテーマで講演もされています。子どもたちが夢を叶える方法について、ぜひアドバイスをお願いします。
目標設定や短所と長所の話など、講演では1時間くらい話しますからいろいろあるんですが、大切なことに絞りましょうか。
まず、お母さん、お父さんに。子どもは環境を整えてあげれば勝手に育ちます。大人が思っているよりもタフだし、可能性は無限大です。でも「うちの子はこれくらいしかできない」と、限界を決めてしまう方が多い。親御さんが上限を決めて言葉にしたり態度に出しちゃうと、それが基準になってしまいます。親御さんは基準を高く設定し、「自分の子どもには無限の可能性があるんだ」ということを信じてあげるのが、すごく大事かなと思っています。
次に子どもたちに。今の子はたくさんの情報があるから、コンプレックスを持っている子がすごく多いと感じます。でもコンプレックスとか短所って、僕は現役中そこにめちゃくちゃ着目していたんですが、“可能性” なんです。だから短所がたくさんある、できないことがたくさんあるって、それを克服することで夢に近づける、自分が成長できる可能性がたくさんあるんだよ、ということを覚えておいてほしい。
「短所はチャンス」。僕はできないことがあると「よし! 俺はまだ成長できる!」と思っていました。晩年は体力は落ちてきても、この部分はもっと成長できると、引退する直前まで本気でまだ自分は成長できるって思っていたし、そう思いながら引退しました。
ー 巻さんの短所は何だったんですか?
いっぱいありましたよ。小さな茶碗に1杯くらいしかご飯を食べられなかったから体の線が細くて、高校卒業するまで体重は64キロしかなくて(身長184センチ)、めちゃくちゃガリガリでした。ご飯が食べられないのがコンプレックスで、すぐにケガもしていました。
でも大学に入ってからは食べるようにして、筋力トレーニングもして1年間で10キロくらい体重を増やすことができました。苦手なことでもやり続けるとできるようになるし、筋肉がついて体が大きくなって当たり負けしなくなりました。効果を実感できると、もっとがんばろうと思えるようになりますよね。
短所ってダメなところじゃなくて “成長の種” なんだと気がついて、積極的に自分の短所を見つけるようになり、それを克服することがモチベーションになりました。
ワンチャンスに結果を残せるよう
出番がないときこそトレーニングに励む
ー 出番がない、結果が出ない、そんなときはどのようにして気持ちを整えていましたか?
東京ベルディに入って1年くらい試合に出られない時期を経験しました。そういうときこそ、しっかりとトレーニングに向き合いました。試合に出られないときは自分をアピールするチャンスも少ないんですが、運よく巡ってきた1回のチャンスに自分のすべて出す、そのために心も体も技術も研ぎ澄ませていました。
あとは、他人の意見や評価に流されないようにしていました。他人の目を気にすると、犯さなくていいリスクを犯して失敗するとか傷口を広げてしまうことが多いんです。うまくいけば良いですが、いかないことの方が多い。他人の評価を気にする方だったからこそ、気にしないように心がけていました。
オシム監督から学んだ
人の真似はせず、自分でいい
ー 他人の意見は気にしない巻さんでも、オシム監督は違ったんですか? 巻さんは「オシムさんはサッカーだけでなく、人生の師です」ともおっしゃっています。
オシムさんは誰に対しても平等で、W杯に出たような素晴らしい外国の選手にも、僕と同じミスをしたら同じように怒りました。そこに対してはとても平等を感じましたね。逆に言えば良いプレーをすればちゃんと評価してもらえたので、モチベーションになりました。
ー サッカーに限らず、オシム監督から学んで今も大切にしていることがあれば教えてください。
人の能力やパーソナリティは違って当たり前ということを教えてもらいました。自分ができることを全力で発揮してチームに還元できれば、それはとても素晴らしいこと。そしてそれが重なることでチームができているんです。だから “自分でいい、他の人の真似をしなくてもいいんだ” ということと、そこから自分にしかできないプレーを見つけるということを学びました。これは人生においても言えることですよね。
自分の可能性を誰よりも信じる
それが成長につながる
ー Jリーグが30周年です。昨年(2022年)のカタールW杯は日本でもとても盛り上がりました。現役時代には引退後はコーチや監督も考えたそうですが、今後、Jリーグに関わるお仕事は考えていますか?
僕は小学生の頃からずっとサッカーをやってきて、人としても成長することができました。サッカーで人間形成や交友関係、いろいろなスキルを学んだので、これから先もサッカーには携わっていきたいというのと、恩返しをしたい気持ちがあるので、Jリーグに限らず、地域の町クラブかもしれないし、どこかで僕が経験してきたことを還元できることをやりたいと思っています。
ー 最後に、サッカーが好きな子どもたちにメッセージをお願いします。
サッカーを楽しむこと、自分の可能性を誰よりも信じること。自分を信じることができない子どもが多くなっていると感じるので、自分を信じることはすごく大事なことですし、成長につながると思っています。
サッカーってプロになることだけがすべてではなく、将来にわたって長い時間楽しめたり、仲間ができたり、いろいろな形のサッカーがあるので、どんどん好きになって追求してもらえたらなと思います。そのための少年時代ですから。自分を信じて、サッカーを楽しんでください!
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巻誠一郎(まき せいいちろう)
1980年8月7日生まれ、熊本県出身。元日本代表プロサッカー選手。2003年、駒澤大卒業後に「ジェフユナイテッド市原(当時)」に入団しプロデビュー。ポジションはフォワード。2005年にジーコ監督率いる日本代表に選出、2006年のドイツW杯に出場。2010年ロシア、2011年中国への移籍を経て、2011年に「東京ヴェルディ」に移籍しJリーグへ復帰。2014年には熊本を本拠地とする「ロアッソ熊本」へ移籍し、2019年1月に現役引退。
2016年の熊本地震後に自ら立ち上げた「NPO法人YOUR ACTION(ユアアクション)」の代表として震災復興や子ども向けスポーツイベントの主催など社会貢献活動に尽力しているほか、現在は起業家としても活動。熊本県内でフットサル場やサッカースクールの経営、東京工業大学発のベンチャー企業「aiwell」社の社外取締役としてタンパク質の研究にも携わっている。ほかにも保育園経営、放課後デイサービス、農業の担い手不足や障害を持った方の就労支援など、関わっている事業は多岐に渡る。
NPO法人YOUR ACTION
https://youraction.or.jp
インタビュー後記
どんな質問にも丁寧に答えてくださった巻さん。インタビュー時間を少しオーバーしてしまいましたが、たくさんのことをお伺いできました。背が高く体も大きいのですが、とても穏やかで優しい空気をまとっていました。
お話をお伺いしていて、孫子の「彼を知り、己を知れば、百戦殆(あや)うからず」という言葉を思い出しました。「高校生のときに『自分のことを良く知る』ということを学んでいて」とおっしゃっていましたが、常に自分を客観的に見て何が強みで何が足りないかを分析し、どうすれば自分の目標を叶えられるかを考えていたんだなと感じました。
さらにとても印象的だったのがお話の随所に出てくる「熱量」。この熱が、自分自身を、そして他人をも焚き付け大きな目標を叶えていく、熱は伝わるんだ、自分ももっと熱をもたねばと、改めて感じました。
今後やりたいことをお伺いすると、「いっぱいあるんですよ。でも体はひとつですからね。人に話すとやりたくなっちゃうんで、あまり話さないようにしています(笑)」。ひとりで0から1をつくりあげるのが好きという、巻さんらしい言葉でした。これから巻さんがどんなことにチャレンジするか楽しみです。
巻さんのファンの方、そして今回のインタビューを読んで巻さんに会ってみたいと思った方、巻さんは日本財団の『HEROs』のイベントによく参加しているので、ぜひ公式サイトで今後のイベントをチェックしてみてください!
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