日本アニメーションの新たな幕開け!
映画『GAMBA ガンバと仲間たち』は日本が誇るアニメ!
ー 原作はもちろん、テレビアニメも人気の高かった作品ですが、今回の映画で主人公「ガンバ」役、ヒロイン「潮路(しおじ)」役のオファーがあったときは、どんな気持ちでしたか?
梶裕貴さん:「ガンバ」は誰からも愛されている歴史ある作品で、再び劇場アニメーションとして映像化されるのはとても嬉しかったです。さらにその中でガンバ役としてオファーをいただいたときは、嬉しいという気持ちとともに、みなさんの期待も感じましたし、他のメインキャラクターの声を大先輩方が演じられると伺い、緊張やプレッシャーも大きかったです。ですが先輩方の胸をお借りするつもりで、ありがたくガンバ役を演じさせていただきました。
神田沙也加さん:私も本当に驚きました。私でいいのかなと。そうそうたるメンバーのなか、本当に私が中に入れるんだろうかと思いました。でも潮路ちゃんを見たときに、本当にかわいくて、この子の声をやれるということを誇りに感じました。
ー 完成した映画を観てどう感じましたか?
梶裕貴さん:いやぁ、感動しましたね。改めて素敵な作品だと感じましたし、それに関われたことが光栄でした。日本のアニメーションの底力を思い知ったと言いますか‥‥新しい時代に入ったんだなと思いました。お子さんはもちろん、大人も、海外の方も含め、より多くの方にご覧いただけることを心から願っています。声優界を代表する先輩方がたくさん出演されていて、普段アニメをご覧にならない方も、今までにどこかで必ず聞いたことのあるお声とお芝居だと思うので、非常に馴染みやすい作品にもなっていると思います。
構想15年、制作に10年という、とてつもない思い入れと愛情でつくられており、役者の口の動きに合わせてプレスコ(台詞を先行して収録する手法)で映像がつくられているんです。なのでアフレコをするにあたっていただいた映像は、その時点でかなりの完成度で、表情ひとつとってもクオリティがものすごく高いんです。逆に言うと僕たち声優は、その完璧な日本語の口の動きに合わせなければならないという技術的な難しさもあったのですが、そういった部分も含めて本当に感動しました。同時に「日本のCGアニメーションはすごい!」ということを改めて感じる機会にもなりました。まだ劇場のスクリーンでは観ていないので、僕自身、早く大きなスクリーンで、3Dで観てみたいですね。
神田沙也加さん:私もまったく同じなんですけど、「これに声を入れてもらいます」と観せていただいた映像がかなりのクオリティで、ここに何をしたら、私にまかせていただいた意味を見い出せるかなということをすごく考えました。実は私が一番最初にアフレコをしたのですが、あとのみなさんがやりにくくなかったか、とても不安でした。
みなさんの声が入った完成版は、ブラッシュアップにブラッシュアップを重ね別物級の迫力に仕上がっていて、お客さんが観たらきっと鳥肌が立つでしょうね。改めて先輩方はすごいなと感じましたし、私ももっともっと勉強したいなと思いました。そして、この作品の一部になれて幸せでした。楽しいアフレコでもあったので、素敵な体験になりましたね。
ー「楽しいアフレコだった」ということですが、神田さんはどんなところが楽しかったですか?
神田沙也加さん:キャラクターの表情や流す涙、動くときの毛のなびき方などがとてもリアルに表現されていて、キャラクターが生き生きしている姿をいかに表現しようかなと、監督方とも相談しながらやらせていただきました。潮路はメインキャラクターの中では唯一の女の子なので、芯が強く母性を持っていて、男子を引っ張っていくようなしっかりした潮路を見せたいなと思い、地に足をつけて、みんなをしっかりと支えられるようにという気持ちで演じました。そこは課題でもあり、勉強にもなったところです。
ー「アナ雪」でドカン! とブレイクしたあとの作品なので、まわりの期待値が高いですよね。プレッシャーはありませんでしたか?
神田沙也加さん:キャラクターが本当に可愛くて、動いている様が魅力的だったので、スクリーン上に出ているのが彼らであれば、私はそこにどう魂を入れればいいかだけを考えればよかったので、今回はそんなにプレッシャーは感じませんでした。
友だちや仲間、常に支えられて今がある
ー 映画「ガンバと仲間たち」は友情や仲間の物語でもありますが、友だちや仲間に支えられているなと感じるのは、どんなときですか?
梶裕貴さん:常々そう思います。何事も、自分ひとりではできないことだらけなので。まずは、仕事のことが一番に浮かびますね。現場に入るのもマネージャーさんの手配のおかげですし、ひとつの作品をつくるのも‥‥もちろん「ガンバ」もそうですが、監督を中心に、その一人を支えるみなさんがいて、そのみなさんに支えられながら僕たちはお芝居をして。公開されたあとはお客様に観ていただいて、観ていただくことで僕たちはエネルギーをもらって、また新しい作品をつくって‥‥という、いい意味での輪が繋がっている。支え合いだなと感じています。
ー 野沢雅子さんなど、ベテラン声優のみなさんが脇を固めていらっしゃいますが、どのようなお気持ちですか?
梶裕貴さん:改めて、大先輩方の存在感やお力というものを強く感じました。僕らも小さい頃からお聴きしているお声、お芝居なので、そういう方々と同じ現場にいさせていただいたということ自体、非常に嬉しいことです。それに作品の中では、キャラクターたちが仲良く肩を並べて一緒に冒険しているというのが、個人的に、また夢のようなお話だと感動しています(笑)
ー 同じ質問ですが、神田さんは友だちや仲間に支えられているなと感じたことは?
神田沙也加さん:毎日どなたかと「はじめまして」がある職種です。実は梶裕貴さんとも今日が「はじめまして」なんです。オファーだったりオーディションだったり、いろいろな形がありますが作品に参加することが決まって仕事をし、終わりが来るわけですが、でも決してそれで終わりということではなく、ここで出会った方とはまた別の作品でお会いする機会があるかもしれません。時間を経てまた再会すると、最初にお会いしたときの自分とはまた違う視点が持てていたり、「今だったらどういうふうに演じたんだろう?」ということに思いを馳せたり、常に人との出会いがベースになっている仕事で、芸事ってそういうものなんじゃないのかなと思っています。だからひとつの仕事で出会うスタッフの方々や、舞台ならカンパニーだったり、そういうものひとつひとつの記憶が、確実に今の自分の人格というか、アイデンティティーをつくっているなと感じています。
頑張って“人見知り”を克服! 誰にでもできるその方法は!?
ー 「ガンバ」ということで、人生の中で頑張ったな、と思うことは何ですか? そしてそれが、今の活動につながっていたり、ターニングポイントになったことはありますか?
梶裕貴さん:中学生のころに「声優になりたい」という夢を持ちました。それまでは何かに夢中になるたびに、また他の夢が見つかって、これがやりたい、あれがやりたいと目移りしていたのですが、声優になりたいと思ってからは、その夢が変わらずに今に至っています。もちろん何度も何度も、数えきれないくらい壁にはぶつかっていますが‥‥(笑)。そのなかでも、やはり初めてアニメのオーディションに合格できたことは、自分にとって非常に大きな出来事だったと思います。
ー なぜ声優はあきらめずに続けて来られたのでしょうか?
梶裕貴さん:声優を目指しはじめたときに知った、「声優は、何を頑張っても全部自分の力になる、返ってくる職業」という言葉が大きかったと思います。おかげで、どこに行くのも、何かに挑戦するのも、たとえ失敗したとしても、何ひとつ無駄になることはないんだと思えたので。そしてそれ以来、今に至るまで、何に対しても全力で頑張っています。
神田沙也加さん:私はずっと自分が人見知りだと思っていたんです。何十人もいる大きなカンパニーで長期の稽古がある舞台に入ったとき、転校生じゃないですけど、やっぱり最初ってとても肝心で、あとになって緊張して辛い思いをするのは自分だから、早いうちに克服しようと、今日は何人って決めて全員に自分から何かしら話題を探して話しかけるということをやったんです。去年かな。で、そうすると、話しかける何かを探すために、その人をすっごく見るんですよ。「その稽古着のパンツ可愛いですね」とか、「ちょっと前髪切りました?」とか、そういうところを探していると人間観察もできたり、視線を感じて目が合うようになったり、だからそのときは本当に何十人にも話しかけて、最終的には話せない人がいなくなったので、そのときは頑張ったなと思います。かつ、人見知りを克服しました!
ー それはすごい! だって人見知りの人って、それやろうと思っても、なかなかできないわけですよ。それができるのはすごいですよ!
神田沙也加さん:けっこう毎日バタンキューでした(笑)。グッタリしちゃって。いやぁ、頑張りました。ホントに(笑)
ー 先ほどの「その稽古着のパンツ可愛いですね」とか、これは絶対に会話の糸口になるな、というものがあれば教えてください。
神田沙也加さん:その日その日で、その人の状態って違いますし、着ているものも、髪型も、女の子なら結んでるとか下ろしているとかいろいろあると思うので、その人をよく観察することかな。
私は人見知りでしたが、今はまったくないんです。それはあっけない結末で、メイクさんに「私、すごい人見知りだから緊張しちゃって」と話したら、「えっ! 沙也加ちゃん全然人見知りじゃないじゃん」と言われたんですよ。「自分から話かけられるし、インタビューもできるし」と。インタビューとか人と話をすることは好きなので、それを聞いて「隠れ人見知りだと思っていたのは自分だけだったんだ」って気がついたんです。そしたら脳ってすごく自己暗示がかかるもので、“行ける気がする!”と思ったら、行けるようになっちゃったんですよ。だから自己暗示だと思うんです。自分次第。そして、この人もきっと自分との会話の糸口を探してくれているに違いないっ! ていう、ちょっとうっとうしいくらいにポジティブシンキングがいいのかなと思います(笑)。グイグイいく感じ(笑)
ー 梶さんは人見知りは?
梶裕貴さん:あまりそう見えないと言われますけど、僕は自分で暗示をかけられないほど、自分の中では人見知りだと思っています(笑)。
ー お二人は今日が初対面ですよね? 大丈夫ですか(笑)
神田沙也加さん:すごい話かけてくれます。
梶裕貴さん:やっとヒロイン役の役者さんとお会いできたわけですからね。そこは座長として。‥‥でも僕からしたら神田沙也加さんはテレビの中の人なので、当然緊張もしています(笑)。でも、せっかく一緒に舞台にあがる機会なのに、何もお話しないというのも、もったいない! と思って、勇気を出してお話させていただきました!
■ 次ページは、今、子どもたちに人気のお仕事「声優」について、梶裕貴さん、神田沙也加さんから子どもたちへアドバイス!
梶裕貴(かじ ゆうき)
1985年9月3日生まれ。「進撃の巨人」(エレン・イェーガー役)、「ワールドトリガー」(三雲修役)、「七つの大罪」(メリオダス役)、『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』(フユニャン役)など。第7回、第8回声優アワード主演男優賞を受賞。
神田沙也加(かんだ さやか)
1986年10月1日生まれ。「レ・ミゼラブル」他、数多くのミュージカルに出演。透明感のある歌声と演技力に定評がある。国民的大ヒットを記録したディズニー映画『アナと雪の女王』日本語吹替版でアナ役を担当し、第9回声優アワード主演女優賞を受賞。
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