ハリウッド注目の“鬼才” ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が来日!
この新たな傑作は4,700万ドルという低予算ながら、全世界で1億9,800万ドル以上の大ヒットを記録。巨大な宇宙船の襲来と地球外の知的生命体とのコンタクトというSFの王道的な設定に、ヒロインの人生の物語というまったく異なる2つのストーリーを繊細に絡ませた感動のエンターテインメントとして世界中から絶賛! 日本では2017年5月19日(金)からTOHOシネマズ 六本木ヒルズ他全国ロードショーとなります。
2015年に第1子女児を出産した関根麻里さんがゲストとして登壇。SF映画とだけ聞いて映画を観たらヒューマンドラマでもあり、どんどんと引き込まれていった。同じ母親としてヒロインの母親としての決断には圧倒され、観終わったあとには心と頭に衝撃を受けたことを監督に伝えると、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督はそれと同じ気持ちを原作(テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」)を読んだときに感じたと告白。SFというカテゴリーでありながら美しい人間の物語を内包していたからこそ映画化したいと思ったと語りました。
学生から質問の嵐!
映画と学生に対する愛を感じる監督の回答は必読!
Q:SFに人間ドラマを組み合わせるのは大変だと思いますが、どのように考えましたか?
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督
若いときからSFというジャンルが好きで、30年間ずっとSFをつくりたいと思っていました。でもまずは、つくりたいと思う作品に巡り会わなければなりません。SFというジャンルでは、フレッシュなアプローチを持った物語にはなかなか巡り会えませんから、そんな作品で出会えるように心がけていました。
この原作を映画化しようと思ったのは、SFというカテゴリーでありながら人間の物語だったから。文化、コミュニケーション、そして言葉の持つ力というトピックスに惹かれましたし、自分にとっても重要なこれらのテーマを含んだ美しい物語として映画化したいと思いました。兵器やテクノロジーだけのSFではないというのも魅力でした。
Q:エイリアンをタコっぽくした理由は?
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督
原作にエイリアンは7本の足を持つとあったので、原作者の想いは大切にしつつ、最初は自分なりのエイリアンをデザインするのにワクワクしていました。でも実際に作業をはじめたら悪夢になりましたけど(笑)。
エイリアンは童話に出てくる、人が亡くなったときに命を刈るキャラクター「グリムリーパー」をイメージし、サブリミナルな形で死を感じさせるようなシルエットを考えました。大切だったのは、すごく強い存在感と知性を感じさせること。同時にちょっと怖く脅威を感じさせるもので、抽象的なところから立ち現れてくるようなエイリアン像にしました。プロデューサーから目が大きくて可愛いエイリアンにしてほしいとに言われなくてよかった(笑)。
関根麻里さん
確かにそういうものを感じました。そこにあえて「アボットとコステロ」という昔のお笑いコンビの名前をニックネームにつけたことで、親近感がわきましたね。近寄れそうな感じになりました。
Q:この映画を通して伝えたいメッセージを教えてください。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督
映画づくりというのは詩をつくるようなものだと考えているので、解釈は観る方にお任せしたいと思っていますが、生きるために死も包容していくということを感じていただければと思います。
Q:映画監督になりたいと思っています。自主制作をやっていて、撮影は楽しいけれど、その前の準備段階で精神的に追いつめられることが多く、投げ出したくなることがあります。監督は大きな作品を撮るなかで、追いつめられることはありますか? そのときはどうしていますか?
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督
私は準備ではなく、撮影のときに追いつめられてパニックになることがあります。ドアを開けるだけでもとても力を使うというか、ものすごい不安に襲われ、それと戦いながら現場にいることがあります。
それは答えがなかったり、見つからない状態のときなのですが、その状態をうまく自分の味方にすることで、パワーを得たり、むしろ居心地のいい状態になり、そこから素晴らしいものが生まれてくるんです。
たとえば花はだんだんと育っていきます。いきなり花を咲かせることはできません。アイデアも、そのアイデアなりに育つ時間が必要なんです。だから私はそれを受け入れることを学び、その時間を居心地のいいものと思えるようになりました。その状態に、スタッフはイライラすることもあるようですけどね(笑)。
映画はたったひとつの方法でつくるものではなく、何千ものやり方があるわけで、私はむしろプリプロ(プリプロダクション:撮影前の作業)が好きです。作品のことを夢見るように夢想できる時間でもあるからです。脚本を練り、絵コンテを描き、撮影に必要な要素をすべて用意していく。でも実際に撮影に入ると、準備したものは十分ではなく、時間はあっという間に過ぎてしまいます。だからやはり準備は万端にしておかなければなりません。
誰もが興味津々!『ブレードランナー 2049』
公開後30年以上経っても“SF映画史上最高傑作”と語り継がれる『ブレードランナー』(1982年)。その続編『ブレードランナー 2049』の監督も務めるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督。「詳しく話せないからつまらないよ」としながらも、編集もSFXもほぼ終わり、今は音を付けている段階と教えてくれました。
『メッセージ』と共通しているのは、ほとんどグリーンバックを使った撮影をしていないことで、なるべくカメラの前に物理的にセットを組み、必要なもの、たとえば車両を置いたり、実際に役者さんもその環境に身を置き、それに触れたり乗ったりしながら演技をしてもらい、撮影します。「超大作の2本を、どちらもこのように撮影できたことは自分の夢が叶った」と、喜びを語りました。
最後に監督は『メッセージ』を、誰かを悼む気持ち、生と死と我々との関係、そして生きるということの祝福を描いた美しい物語と紹介。新鋭な感動を感じてもらえれば嬉しいと、映画への想いを話してくれました。
【映画紹介】2017年5月19日(金)全国ロードショー! メッセージ
【映画紹介】2017年10月27日(金)全国ロードショー! ブレードランナー 2049
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