15年以上前のアイディアメモやラフスケッチなど
『くまのがっこう』誕生の裏側も展示!
あいはら ひろゆきさん(文)と、あだち なみさん(絵)のふたりによって2002年に誕生した『くまのがっこう』は、12ひき兄妹の末っ子、おてんばで泣き虫な女の子ジャッキーを中心にあたたかな日常の世界が描かれ、子どもたちはもちろん大人にも大人気の絵本。子どもが寝る前に読んでいる方、読んであげていた方も多いと思います。
記念すべき15周年を迎えて開催される「誕生15周年記念 くまのがっこう展」は、2002年に『くまのがっこう』が誕生する前の貴重なアイディアメモやラフスケッチが展示され、ジャッキーとお兄さんたちが今のデザインになる前の試行錯誤や、姿かたちが決まってからの名前や性格を決めるにあたっての作業なども、作者の直筆の線で見ることができ、大きなみどころのひとつとなっています。ジャッキーのお兄さんたちも、体格、顔、耳の形、そして性格もみんな違っているんです。

「15年の歩みを一堂に介し、今までほとんど出したことのない、絵本ができるまでのラフスケッチや打ち合わせメモなど、普段は読者の方の目に触れない、この絵本ができていく裏の部分を見られるはじめての機会です」と、お話を書くあいはら ひろゆきさん
2017年1月に発売された最新作『ジャッキーのしあわせ』を含むシリーズ全15作の原画は、とにかく色がきれいで、印刷物では見ることが難しい色の重なりの凹凸や線の凹みなどが見られます。子どもに読み聞かせをしているときにはすぐにページをめくってしまいがちですが、原画はじっくり、それらの線や色、配色、くまのこ一人ひとりの表情、背景の細かい描き込みなども見てほしい。絵本とは違う発見がいくつもあり、それによりいつも読んでいる絵本にも新たな魅力が加わりそうです。

絵を担当するあだち なみさんは、「今日、客観的に自分の絵を見て、がんばって上手に描いたなって思いました。でも好きなことだから大変と思ったことはありません。世の中にはきれいな色がたくさんあるので、きれいな色を見てもらいたいなと、それは大切に思って描いています」

展覧会の感想を聞かれた加藤綾子さんは「ジャッキーの世界観がぎゅっとつまっていて、15年間が一挙に見られる贅沢感があります。とにかく世界観がかわいくて、1枚1枚の絵を見てキュンキュンしてました」
ジャッキーの気持ちが伝わってくる
加藤綾子さんから作者へ質問
スペシャルゲストとして登場したフリーアナウンサーの加藤綾子さんは、15年の間にジャッキーの存在は変わってきていますか、と作者のふたりに質問。あいはら ひろゆきさんは「最初はただ泣いているだけだったのが、友だちの気持ちがわかったり、ちょっと恋心を学んだり、この15年で心が豊かになったと思う。背はなかなか伸びないけど(笑)」とジャッキーの成長を感じるとコメント。あだち なみさんは「最初はジャッキーのお母さんみたいな気持ちで描いていましたが、今は自分自身を描いている」と、15年描き続けることでジャッキーと一心同体のような気持ちである教えてくれました。
「誕生15周年記念 くまのがっこう展」は2017年4月19日(水)〜5月8日(月)まで、東京・銀座の松屋銀座で開催!『くまのがっこう』の15年の歩みと、その世界観を感じられることはもちろん、「15年以上前にはじまったものから15年目に描いたものまでが全部ここにあって、でもまだ続く途中というところも感じながら見てください」とあだち なみさん。これからもまだまだジャッキーの成長を楽しめることも感じられる、夢とかわいらしさに溢れた展覧会です。
【イベント情報】2017年4月19日(水)〜5月8日(月)開催! 誕生15周年記念 くまのがっこう展

姪っ子が2歳、一緒に遊んだりおしゃべりして一緒にいる時間が幸せと語る加藤綾子さんに、「加藤さんの声で絵本を読んであげて」とあいはらさん

「いつかはお母さんになりたいという思いはあるので、そうなったときには、いっぱい絵本を読んであげたいですし、世界観を共有できるものがあると、すごくいい思い出になると思う」と加藤綾子さん

会場入口。ちょっとしたフォトスポットになりそう

2002年の第一作『くまのがっこう』の原画。「誕生15周年記念 くまのがっこう展」では、ここにいたるまでの過程も展示しています

ジャッキーたちが誕生する前のいろいろなくまのスケッチ。なかにはけっこうリアルなくまも

くまのこたちの名前や大きさ、性格などが描かれたスケッチ

キッチンの場面のスケッチ。絵本誕生前の貴重なスケッチは必見!

絵本制作のためにつくったコンセプトブック

会場内にはくまのこたちがあちこちに。背景のついたてには名前と性格が書かれています。みんな顔が違いますよ

今にも動き出しそう。小さな子どもはちょうど目線が同じかな

2017年1月に発売された最新作『ジャッキーのしあわせ』の原画。「夜寝るときに、お母さんやお父さんが読んでくれる絵本という存在は、とても幸せを感じるもの」と、あいはら ひろゆきさんが15周年のテーマを「しあわせ」にした理由を教えてくれました

新しい命と出会い、その成長に立ち会うのが、今回のジャッキーの「しあわせ」。またひとつ成長し、そういう幸せをジャッキーに体験させたかったそう

最新作『ジャッキーのしあわせ』に出てくるミルクちゃんの姿かたちを決めるためのあだち なみさんのスケッチ

最新作『ジャッキーのしあわせ』のラフスケッチ。絵本にしたときに構図がわかります
記事が役に立ったという方はご支援くださいますと幸いです。上のボタンからOFUSE経由で寄付が可能です。コンテンツ充実のために活用させていただきます。