いもとようこさんのインタビューも!

「絵本原画展 いもとようこの世界」に行ってきた!

世代を超えて愛され続けている絵本作家いもとようこさんの本格的な展覧会「絵本原画展 いもとようこの世界」が、2017年5月19日(金)〜6月11日(日)まで上野の森美術館で開催! 開催前日に行なわれた内覧会では、いもとようこさんからお話をお伺いすることもできました! 貴重なインタビューも、どうぞ!
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いもとようこさんインタビュー!
大人にこそ読んでほしい、新たな気づきがいっぱい!

「絵本作家は描いた絵が想いを伝えてくれればいい」と、あまりインタビューは受けないという、いもとようこさん。今回、貴重な機会をいただくことができ、絵本についてや独自の技法、そして今後の作品について、いろいろとお話をお伺いしました。

ー 絵本は子ども向けに描いているわけではなく、大人にこそ読んでほしいそうですね。

私は絵本が子どものものとは思っていないんです。昔話だって本来は大人のもの。もちろん、子どもにもわかるように、わかりやすく、言葉もできるだけ短くを心がけていますが、大人と子どもはわけていないんです。いつから大人になるかなんて、わからないでしょう? だから絵本には “人として大切なこと” を描いていて、それは大人も子ども一緒。子どもも素晴らしい感覚を持っているし、子どもの心をなくさないで、大人の心も増やしていければいいんじゃない?

お母さんやお父さんだって、昔聞いた物語をちゃんと覚えてないことは多いでしょ。絵本を子どもに読んであげることで、物語の真意に気が付くこともあって、私も作品を描きあげるまでにいろいろ調べるけど、改めて、“そういう意味だったんだ!” とわかることがあります。それはとても楽しいこと。絵本は親子のコミュニケーションの媒体になるけれど、大人の方に、もう一度しっかり味わってほしい。だって、楽しいよ。私は今までずっと読んできたけれど、飽きたことがないんだもん。

大人も子供も大好き!絵本作家いもとようこさんのインタビューも!「絵本原画展 いもとようこの世界」に行ってきた!

子どもにとっては新しく、大人にとっては慣れ親しんだ「日本のむかし話」。改めて読むと、大人の方には新たな発見があるかもしれません

ー 古典作品のカバーと、オリジナル作品がありますが、オリジナル作品の発想はどこから?

古典は今までの資料を集めて勉強するんですが、オリジナルのものは、普段の生活のなかでの楽しいこと、悲しいこと、悔しいことなどの体験が、勝手に絵本になっちゃう。絵本になりそうだなって。人間、思うところは同じことが多いでしょう? すごい本ではなくて日常の絵日記みたいなものだけど、でも自分ひとりで読むものではないから、多くの人の心に重なるようにしようというのは心がけていて、内容は練っていますね。でも、これも楽しい。

大人も子供も大好き!絵本作家いもとようこさんのインタビューも!「絵本原画展 いもとようこの世界」に行ってきた!

会場内では「かぐやひめ」「おむすびころりん」「つるのおんがえし」「はだかの王さま」「青い鳥」など9作品を繰り返し上映。1作品5分〜13分

頭でイメージしていることの半分も表現できない
上達も、しておりません(笑)

ー 登場人物のキャラクターの姿を考えるときはどうしているんですか?

全然悩まない。お話を見たときに、頭の中にはイメージができあがっちゃってて、それを再現するのが私の仕事。でも頭の中にあるイメージを表現するのが難しくて、最高でも40%くらいしか表現できていません。毎回毎回、この頭の中のものをそのまま出せないかなと思うけど、でも、良くて40%くらい。

ー 描き続けているのは、絵が上達するという楽しみもあるのですか?

悲しいかな、上達してない。毎回とっても苦労しているというか、全然描けない。で、いろいろ試行錯誤しているうちに、だんだんと形ができてくるんだけど、スピードはあがらず、はじめて仕事をしたときからあまり変わっていないし、できるかできないか、最初はいつも不安。でも最後は「できたじゃない!」って。40%だけど。だから全然上達しておりません(笑)。

大人も子供も大好き!絵本作家いもとようこさんのインタビューも!「絵本原画展 いもとようこの世界」に行ってきた!

見るとそれだけで微笑んでしまう、いもとようこさんの絵。キャラクターの姿は悩まず描けるそうです

ー 本を描きはじめた頃と今で変わったことはありますか?

ない。飽きないし、今度こそ素敵な絵を描きたいって思っています。まだできていませんが。技法にしても、いろいろな発見があって、それが楽しいし、あの話も描きたい、この話も描きたいと、次から次へと描きたいものが出てくる。だから今まで、あまり行き詰まったこともないんです。

大人も子供も大好き!絵本作家いもとようこさんのインタビューも!「絵本原画展 いもとようこの世界」に行ってきた!

展示会場は1階と2階。ここから2階になります。「世界の名作」「日本の名作」「創作絵本」を展示

ちぎり絵の技法は “大根” がヒント!?
独自の技法の秘密がわかる展覧会

ー ちぎり絵の技法は最初から?

プロを目指してから。プロの方は絵の上手な方がたくさんいらっしゃるので。それと私の描きたいものは動物だったり、やさしさだったりで、今までの描き方では表現しきれない。ずっとアレコレやっていて、あるとき、ご飯の準備で大根を薄く薄く切っていたら、大根の繊維ってとてもきれいじゃない? キャベツでもなんでも自然の美しさがあるでしょう。「大根ってきれいだな」って見ていたら、「和紙を使ったらいいんじゃない」って思ったの。それで和紙をネコの形にちぎって。でもまったくうまくちぎれない。繊維も硬いし、色を付けても全部同じ色に染まってしまったり。縞ネコも、放っておいたら全部茶色のネコになっちゃう。それを縞々にするには、どうしたら色が止まるんだろうとか、いろいろ試して、発見があるんです。

使っているのは普通の白い和紙ですよ。こうしたいと思ったら、試行錯誤してやり方を自分で見つけていくんです。頭の中のイメージ通りにできるように。これは根気が必要だし、私は人一倍、その想いが強いのかもしれません。

技法を知りたい方にとって、今回の展覧会は、それがとてもよくわかると思います。よく見えるように展示してあるし、ぜんぶ教えてあげる。でも、イメージするのは自分。この技法だからこの絵が描けるというのは間違いです。油絵だって、みんな同じ絵ではないでしょう? イメージしたものを、どう表現するか。あまり技法にはこだわらないで鑑賞して欲しいですね。

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忠犬ハチ公の物語「いとしの犬 ハチ」。みんなが知っているお話でも、文章もいもとようこさんが書いています。絵本は絵と文が一体だから、自分で両方やるのがぴったりくるそう

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女の子は好きな子も多いでしょう。「にんぎょ ひめ」。名作をいもとようこさんの絵と文で楽しめます

ー これからはどういう作品を描かれていきますか?

10年かかってつくるものもあれば、思い付いて、すぐにできるものもあります。自分の中でやりたいと思うものに集中して、今燃えているものを描いちゃうのが、わたしにとっても、読者の方にとっても、一番いいかなと思っています。それが一番、想いが伝わると思うから。私は我がままですが、もっと、“我が、まま” にやっていきます(笑)。

作品づくりは「飽きたことがない」、そして作品づくりのさまざまな過程においても常に「楽しい」とおっしゃっていたのが印象的でした。常に次の作品、その次の作品と目標ができるのは、やはり “楽しい” からなのでしょうか。そのパワーの源も、お伺いしたかったですね。でもわかっていることは、これからもまだまだ、いもとようこさんの新作が出る、ということ。楽しみですね。

絵本原画展 いもとようこの世界」会期中の土・日曜日の14:00からは、当日会場で著作本をお買い上げの方、各回先着100名にサインをしてくれる「いもとようこサイン会」も開催します(整理券を配布、おひとり様1枚1冊分)。いもとようこさんに会える、またとない機会、ファンの方はお見逃しなく!

【イベント紹介】絵本原画展 いもとようこの世界(2017年5月19日(金)〜6月11日(日)まで、上野の森美術館で開催!)

大人も子供も大好き!絵本作家いもとようこさんのインタビューも!「絵本原画展 いもとようこの世界」に行ってきた!

「てぶくろをかいに」など、名作の原画を展示

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イスに座って一休み。いもとようこさんの原画に囲まれた贅沢な空間。混みそうなので、ゆっくり座ってはいられないかな‥‥

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いもとようこさんにメッセージを書けるコーナーも。想いを伝えてください

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1階にはいもとようこさんの絵本やDVDを購入できる物販コーナーも。著作本をお買い上げの方、各回先着100名には、いもとようこさんがサインをしてくれます!

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