ストームは僕そのもの、栄光と挫折を知った僕にしかできない!
ー ストームはどういう気持ちを込めて演じましたか?
ストームの登場の仕方は、デビュー当時の「オリエンタルラジオ」を思い出させてくれました。勢いがあってちょっと調子に乗っていて、愛されづらい感じは “似てるな〜” って思いましたね。そして声をやっているうちに、「そのままではダメだよ」「無理だよ」「絶対にうまくいかなくなるよ」って、声をかけてあげたくなりました。
でもストームの気持ちもわかるんですよ。ああいう状況になったら誰でも一度は有頂天になりますし、まわりが見えなくなって、自分は最強なんじゃないかって思ってしまうんですけど、やっぱりそんなことはないんですよね。
ー 落ちないと、その状況にはなかなか気が付かないですか?
そうですね。仕事がなくなるっていうのは、やっぱりわかりやすいですよね。そしてそこから、改めて自分の身の回りの人ともう一回ちゃんと向き合ってみようかなって思いはじめる。
ストームはいま、たぶん、まわりに本当に信頼できる仲間とか、慕ってくれる人、自分が慕う人もいなくて、一匹狼ですよね。そういう状況ではクリアしていけない問題が出てくる、というのは、いずれストームも気が付くと思います。まさに僕らがそうだったんで。仕事もなくなり、きれいに鼻を折られましたから。でもそういうときに出会う人というのは、その後の人生においてかけがえのない人だったりします。だから、いいと思います。調子に乗っちゃうような経験も大事だし、その先に待っている失敗や挫折から学ぶことも必要なんです。
ー ストームにはそういう藤森さんの想いを込めているんですか?
そうですね。当時の感覚を思い出して、調子こいてテレビ局に入って行く感じで声を出しました。腹立つなー、みたいな(笑)。
うまくいかないときは、大きく飛躍するための “ため”の時期
大事なのは “めげない” ってこと
ー 藤森さんがマックィーンのように追いつめられたことはありますか?
まぁ何度も追いつめられてますよね。でも自分で言うのもなんですが、そのたびに復活できているという自負があるので、追いつめられるのは “ため” かな、と思っています。またポーンとジャンプするための “ため” ですね。だから僕は “落ちる” というよりも “しゃがむ“ と思っています。今まで高いところの景色を見ていたけど、そこに同じくらいの人たちが集まってくれば景色は見えなくなってきますし、そのときに一回しゃがんで、今までとは違った景色を見て、ビョーンと伸び上がる、そういうことかなと思っています。
きっとまた落ち込む時期があると思うんですよね。いろいろな仕事をいただいて忙しくなると、ひとりで考える時間とか、人とコミュニケーションをとる時間が少なくなって、そうすると大事なものが欠落していって “あれ?”ってなる。でもそうなると時間ができて、次の作戦を考えて、というのが、この仕事の楽しいところでもあると思っています。
大事なのは “めげない” ってことですよね。毎回落ち込んで「もうダメかも、もう仕事は来ないかも」って思っていたら精神的にまいっちゃう。何かしらもがいてればきっとまたいい景色も見えてくるし、日の目を見ることもできるはず。そう信じてやっているのが大事ですよね。
まわりにすごい方がたくさんいらっしゃって、そういう方が24時間お笑いのことを考えている。僕には芸人としてそこまでの才能がないぶん、柔軟に、いろいろな幅を持ってやれることをやっていきたいなと思っています。自分にハードルを設けず、歌もやります、声優もやります、お芝居も必要とあらばやりますと、自分でやることを決めない。こだわりがないのが、僕のこだわりですね。
誰もがマックィーンやストームに共感できる
果たしてマックィーンの選択は!?
ー 「カーズ/クロスロード」はシリーズ3作目ですが、「カーズ」の印象は?
最初の「カーズ」が公開されたのはデビュー1年目のときで、先輩に頼まれてお子さんを連れて観に行きました。お子さんが楽しめるかと思って観に行ったんですが、僕が夢中になっちゃって。「カーズ 2」も観ましたよ。スパイもので前作とはちょっとテイストが違っておもしろかったですね。
僕はクルマが好きなので、「カーズ 2」ではアストンマーチンをモデルにしたジェームズ・ボンドのスパイカーのようなフィン・マックミサイルのフォルムは好きでしたね。今回のストームも最新のスーパーカーみたいで気に入ってます。でもかっこいいだけではなくて、「カーズ」はレース中のエンジン音にもこだわったり、忠実に精密につくっているなと感じています。だからレースシーンも迫力がありますよね。
ー 今回の「カーズ/クロスロード」は、子どもと大人で楽しめるポイントがちょっと違いそうです。子どもと大人、それそれにとっての見どころはどこですか?
「カーズ」はお子さんが夢中になって観ちゃう仕掛けが満載ですよね。かわいらしいキャラクターにポップな配色、絵は本当にきれいだし、ストーリーもわかりやすく、今回は絶対的なスターだったマックィーンがピンチに陥って、その悔しい思いをどう晴らしていくか、ドキドキしながら観られると思います。
大人の方にとっては、今作はお子さんより大人の方が楽しめるんじゃないかと思いますね。年をとると若い力に圧倒されたり、脅かされたり、自らの衰えを実感したりして、これからどうするか悩んだ経験があると思います。だから誰もが自分をマックィーンやストームに置き換えて観られる話なんですよね。戦国時代の下克上で時代が代わるような熱さがある一方、見方によってはとっても身近な話でもあり、感情が入りやすく、共感できるポイントがたくさんあると思います。そして奥田民生さんの歌がいいタイミングで流れて来て、カッコ良すぎ。気が付いたら口ずさんでますよ。
お子さんにとっても大人にとっても、マックィーンがどんな選択をするのかは大きな楽しめるポイントのひとつだし、ストームの強さと弱さも、人間っぽいなぁと思っていただけるはずです。
そして改めて、ストームは僕だなって思いますね。自信もなかったし、恐れ多かったけど、いま思うと栄光と挫折を知った僕にしかできない役。だから絶対に観てほしい! めちゃめちゃかっこよくて、めちゃめちゃおもしろい映画です!
【映画紹介】2017年7月15日(土)全国公開! ディズニー/ピクサー最新作! カーズ/クロスロード
【インタビュー】「カーズ/クロスロード」プロデューサー アンドレア・ウォーレンさんインタビュー!
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