ディズニー/ピクサー最新作! 2017年7月15日(土)全国公開!
ディズニー/ピクサー最新作「カーズ/クロスロード」プロデューサー アンドレア・ウォーレンさんインタビュー!
彼はいま、何を考えているのか?
ー 今回はマックィーンにかなり大きな試練を与えましたね。もう少し先でもいいかと思いましたが、このテーマを選んだのはなぜですか?
3作目をつくるにあたって、マックィーンがいま、人生のどこに立っているのか、というところに立ち戻りたいと思いました。つまり、よりマックィーンの物語にしたいなと思ったんです。
私たちからすると彼はアスリートで、アスリートというのは肉体を使うだけに、他のキャリアと比べて、どうしてもピーク(限界)が早く来てしまいます。他の方よりも早く、人生の次のステージを考えるというクロスロード(岐路)に立たされるんです。そこを掘り下げながら、マックィーンがどういうことを考えているのか、ということを描いていこうと考えました。
夢を追う “怖さ”は
それだけ自分にとって意味のあることだから
ー マックィーンをサポートする相棒はクルーズという女性のキャラクターです。彼女のキャラクターはどのように考えられたんですか?
物語のなかで主人公以外のキャラクターというのは、メインストーリーをサポートする存在です。そういった意味ではクルーズは、マックィーンに「トレーナーが必要」というところから生まれてきました。
マックィーンは長年自分を指導してくれていたドック・ハドソンのようなトレーナーを望んでいるんですが、クルーズはドック・ハドソンとは真逆の性質です。若くて、女性で、技術に明るく、そのためレースへのアプローチもドック・ハドソンとは全然違います。そこから彼女自身の物語を掘り下げていくことにもとてもワクワクしましたが、結果的に彼女は、この作品のなかで “夢を追う” ということを象徴しているキャラクターになっています。しかも2つの側面の “夢を追う” を表しているんです。
ひとつは夢を追えなくなって、つまり挫折してしまうことの辛さ。もうひとつは「怖いな」と思っていることでも、それを乗り越えたからこそ感じられるワクワクさや、報われる気持ちを描いています。夢に挑戦するときに感じる “怖さ” は、それだけ自分にとって意味があるものだからなんです。子どもたちにも、そういう姿を見てほしいと思いました。
クルーズの性格は今の子どもたちがヒント!?
ー クルーズは知識も才能もあり、トレーナーとして人のモチベーションをあげるのは上手ですが、自分には少し自信がないキャラクターです。クルーズにはモデルがいるんですか?
特定のモデルはいませんが、監督のブライアン・フィー、私自身、そしてピクサーで働いている多くのアーティストは親でもあるんです。そして親として子どもたちを見るときに、「自分で限界をつくってしまっているな」と思うことがあるんです。クルーズの性格は、そこから考えられてもいます。
監督が自分のお嬢さんに「ギターをやってみる?」と聞いたら、「それは男子がすることでしょ、やらない」と言われたそうです。つまり、そういう思い込みがあったり、自分自身でできないと限界を決めてしまっていた。それが思い込みからくるのか、恐れからくるのかに限らず、どうしても子どもたち、これは親もだと思いますが、自分で勝手に限界を決めてしまっていることがあるんです。親としては子どもにはそうあってほしくないですよね。「自分はなんでもできるんだ」と信じていてほしい。子どもというのは、可能性という概念を美しく象徴している存在ですから。子どもたちのそういった思い込み、自分で限界をつくってしまっていることを取り除きたいと思いました。
またクルーズは、英語版でクルーズの声をあてているクリステラ・アロンツォさんの影響も受けています。彼女はスタンドアップコメディアンを目指していたのですが、彼女の出身、ルックスでその仕事に就く方はほとんどいないからか、誰もが無理だよと応援してくれなかったそうです。でも彼女はそれにもめげず、いろいろなものを乗り越えて夢を実現しました。そんな彼女のバックストーリーからも大いにインスピレーションを受けています。
ー 子どもが自分で勝手に限界をつくらないために、親ができることはどんなことだと思いますか?
壁が立ちはだかったとしても、それは夢を叶えるために必要なプロセスのひとつなんだということを子どもに「思い出させること」と、「励ますこと」だと思います。
親自身もそうであるべきで、常に自覚していることは難しいことですが、困難に歩みを止められることなく、自分自身を前に進めるように言わなければなりません。子どもたちには、価値あるものだからこそ、努力はたくさん必要になるんだということを思い出してもらうことは必要ですね。
また親は、仕事でも趣味でも、自分が何に情熱を感じているかを子どもに見せたり、理由を話したりすることは必要だと思います。子どもは、親の姿からも物事への取り組み方を学びますから。
子どもも、子どもなりの岐路を感じている
ー 「カーズ/クロスロード」は子どもと大人で楽しめるポイントが少し違うかと思うのですが、それぞれにとっての見どころを教えてください。
これは子どもも大人もどちらにも言えることですが、「カーズ/クロスロード」はとにかく観ていて楽しいし、レースのシーンはとてもダイナミックです。私も見入ってしまいました。マックィーンのレース中のアクションはぜひ観てほしいシーンのひとつです。そして、とてもハートが込められた映画だと思っています。大人にとっては、キャラクターの置かれた状況やそれぞれの決断に共感してもらえると思っています。
しかし子どもたちも、私たちが思っているよりもはるかにいろいろなことを理解してくれると思っています。大人は「カーズ/クロスロード」から今までの人生で訪れたいろいろな変化を思い出し、共感すると思いますが、実は子どもたちだって、子どもたちの人生なりにいろいろな変化に相対していて、共感するところがあるんじゃないかと思っています。
そして、やっぱり “夢” について、親子でいろいろと考えたり、話していただけたら嬉しいですね。
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アンドレア・ウォーレン
ストーリーテリング芸術が大好きな彼女が、それに興味を持つきっかけは、幼い頃に読んだ「ババール」書籍シリーズ、マペット、そして映画「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」(1977年)だった。サンタバーバラのリベラルアーツの大学であるウェストモント大学に学ぶ。『バグズ・ライフ』(1998年)のマーケティング・プロダクション・アシスタントとしてピクサー・アニメーション・スタジオに加入。その後、『モンスターズ・インク』(2001年)でアート部門コーディネーターを、『ファインディング・ニモ』(2003年)ではデジタル・ペインターを、『カーズ』(2006年)ではアート部門マネージャーを務める。『ウォーリー』(2008年)と『メリダとおそろしの森』(2012年)ではプロダクション・マネージャーを担当。短編映画『南の島のラブソング』(2014年)でプロデューサー・デビューを果たす。
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