2017年12月1日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷他 全国順次ロードショー!
パーティで女の子に話しかけるには
2017年/イギリス、アメリカ/カラー/103分
配給:ギャガ
© COLONY FILMS LIMITED 2016
鑑賞日:2017年9月上旬
TEXT:キッズイベント 高木秀明
ファン待望の最新作!
70年代パンクと初恋に浸れる大人の映画
好きな映画を聞かれて必ず答えるのが、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』。1997年よりオフ・ブロードウェイで上演され大ヒット、トニー賞名誉賞を受賞したミュージカルで、2001年には舞台同様、ジョン・キャメロン・ミッチェルによる脚本・監督・主演で映画化、数々の賞を受賞した。日本でも2004年と2005年に三上博史、2007年〜2009年に山本耕史、2012年には森山未來主演で舞台が行なわれている。
性転換手術のミスで股間に「怒りの1インチ」が残ってしまったヘドウィグの、真実の愛とロックシンガーとしての名声を追い求める数奇な半生を、至極のロックにのせて描いた物語だ。
その監督の待望の最新作が、2017年12月1日(金)に公開される『パーティで女の子に話しかけるには(原題:How to Talk to Girls at Parties)』。期待しすぎてはいけない、と頭では理解しつつも、胸が高まってしまう。
舞台は1977年のロンドン郊外。パンクなのに内気な少年エン(アレックス・シャープ)は、偶然もぐりこんだパーティで反抗的な瞳が美しい少女ザン(エル・ファニング)と出会い、たちまち恋におちる。しかし、ふたりに許された時間は48時間。彼女は遠い惑星へと帰らなければならない。大人たちが決めたルールに反発したふたりは、危険で大胆な逃避行に出るが‥‥。
“パンク” は当時イギリスで流行した音楽、ファッション、精神などのサブカルチャーで、攻撃的で強烈な音楽、服装、髪型、諸説あるが「既成概念にとらわれない反骨精神」が特徴。不況の真っ只中、抗うことをストレートに表現したシンプルなロック “パンク” が、不満を抱えた若者たちの心を捉えた。
エンもザンも、窮屈な大人の決め事のなかで生きている。特にザンは一族の将来を決める大きな決断を下さなければならない。このままでは先がない、いまこそ “パンク” の精神で新しい一歩を踏み出さなければ、というのは、いまの世に対するメッセージとも受け取れる。
「斬新なのに懐かしい<ボーイ・ミーツ・ガール>」との謳い文句で、確かにエンとザンのピュアな恋からは、はるか昔に体験した甘酸っぱさを思い出す。しかし、想像を上回るブッ飛んだ内容と展開に面食らい、なんとか理解しようと、甘酸っぱさを感じるよりもそちらに必死だった。何回か観ると、もっと核心に触れられるようになるのかもしれない。
しかし、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』、その後の『ショートバス』(2006年)もだか、ジョン・キャメロン・ミッチェルの映画は音楽がとにかく素晴らしい。いずれもサントラを購入し、いまでも聴いている。今回も劇中でエンとザンが歌った「Eat Me Alive」は、鳥肌が立ちっぱなし、何度もザワついた。セックス・ピストルズやザ・クラッシュ、ヴィヴィアン・ウエストウッドなどの当時のヒット曲も使われているが、あまり有名ではない隠れた逸品、さらにはこの映画のために新たにつくった楽曲も多く、「Eat Me Alive」もそのひとつだ。
出演は美少女ザン役に『マレフィセント』でオーロラ姫を演じた人気女優エル・ファニング、少年エンには史上最年少でトニー賞主演男優賞受賞のアレックス・シャープ、そしてオスカー女優ニコール・キッドマンも、地元のパンク・クラブの風変わりなオーナー役で出演している。
好き嫌いの別れる映画だと思うが、ジョン・キャメロン・ミッチェルのファン、1970年代のパンクを愛する方々にはおすすめ。ジョン・キャメロン・ミッチェルの作品を観たことがない人は、公開までに時間があるので、まずは『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』を観てから決めてもいいかもしれない。いずれにしてもFワードや性的な表現も多いので、大人が楽しむ映画だ。
なお、ジョン・キャメロン・ミッチェル主演の舞台『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』が、2017年10月13日(金)〜15日(日)に日本初上演! これは観たい!
【映画紹介・予告編】パーティで女の子に話しかけるには 2017年12月1日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷他 全国順次ロードショー!
この映画、子どもと一緒に楽しめる?
最新映画をネタバレなしで紹介!
映画レビュー トップページへ
記事が役に立ったという方はご支援くださいますと幸いです。上のボタンからOFUSE経由で寄付が可能です。コンテンツ充実のために活用させていただきます。