2018年3月30日(金)全国ロードショー!
ヴァレリアン 千の惑星の救世主
2017年/フランス/カラー/137分
配給:キノフィルムズ/木下グループ
© 2017 VALERIAN S.A.S. – TF1 FILMS PRODUCTION
鑑賞日:2017年12月13日(水)
TEXT:キッズイベント 高木秀明
『スター・ウォーズ』にも影響を与えた
フランスの伝説のコミックが映画化!
宇宙に進出した人類はさまざまな宇宙人と遭遇し、小さかった宇宙ステーションは長い年月を経て、あらゆる種族が共存する “千の星々の都” と呼ばれる宇宙都市「アルファ」へと変貌を遂げた。
そして西暦2740年。アルファの最深部で謎の放射線汚染が発見される。調査のため何人もの兵士が派遣されたが誰ひとり帰ってくる者はいなかった。汚染は少しずつ広がり、このままではアルファが存続の危機に陥る。
宇宙の平和を守る連邦捜査官のヴァレリアン(デイン・デハーン)とパートナーのロールリーヌ(カーラ・デルヴィーニュ)は、この事件を調査するよう命じられる。しかし、この騒動の裏には邪悪な陰謀による、宇宙の歴史から抹殺されようとしていた “秘密” があった‥‥。
原作は『スター・ウォーズ』にも多大な影響を与えた、1967年から愛され続けているフランスの伝説のコミック『ヴァレリアン』。銀河をパトロールする美男美女のコンビが全宇宙の存亡を揺るがす陰謀に立ち向かう。
宇宙を舞台にしたワクワクする冒険物語
子どもたちに伝えたい大切なメッセージも
壮大な宇宙を舞台に少年少女とも思わせる2人が、奇妙奇天烈な姿の宇宙人たちのいる世界で活躍する冒険活劇に、子どもたちはきっと心を掴まれるはずだ。このような未来に想いを馳せるかもしれないし、少なくとも宇宙を自分たちが活躍できる場として、より身近に、魅力的に感じることだろう。メインの異星人が『アバター』を彷彿とさせるキャラクターデザインだったことが残念ではあったが、ストーリーの奥深さとその世界観をリアルな映像に落とし込んでいるのは素晴らしかった。
映画を観ていたら、小学生の頃に読んだ漫画『21エモン』を思い出した。1968年から1969年にかけて『週刊少年サンデー』に連載された藤子不二雄(現在は藤子・F・不二雄)のSF漫画※で、宇宙人が観光で地球に訪れるようになった未来を舞台に、江戸時代から続く老舗ホテル「つづれ屋」の21代目となる21エモンが、宇宙パイロットになる夢を見ながらも家業を手伝い、さまざまな異星人観光客が引き起こす騒動を描いた話だ。
※1981年に映画化、1991年にテレビアニメ化
内容は映画とまったく異なるが、住む世界によって姿形が異なれば、食も文化も、そして何を大切にするか、価値観さえもまったく違ってくるということに驚かされた。ヴァレリアンは、まさにそういう世界に住んでいる。いまの子どもたちは『ヴァレリアン』から、それと似た衝撃を受けるだろうか。そして私たちは進化を続けながら、地球という環境に適した姿をしているのだ。
ヴァレリアンが想いを寄せるローレリーヌを口説くのは、ルパン三世と峰不二子の関係を思えば、子どもたちが観ても違和感はないかもしれない。ラブシーンもほとんどないので子どもとも安心して観られるが、話としてはいくらでも続編ができそうな題材、最初は仕事のパートナーとしての信頼関係ではダメだったのだろうか。それとも、デイン・デハーンは声がとても魅力的。あの声で口説かれたい、という多くの願望に応えたものだったのだろうか。だとしたら、ありか。
監督は、『レオン』『フィフス・エレメント』『LUCY/ルーシー』など、数々の名作を世に送り出してきた世界的巨匠リュック・ベッソン。(曲が)ベタ過ぎるオープニングのみ少々長く感じられたが、予想もできない展開が次々と起こり、137分間ずっと楽しめた。
また、しっかりとしたメッセージがあったのもよかった。争いの絶えない我々(大人)が実現することはもう不可能だが、子どもたちなら可能性があるかもしれない。理想論ではあるが、多くの子どもたちに覚えておいてほしいメッセージが込められた、子どもはもちろん、大人も十分楽しめる映画だ。
【映画紹介・予告編】2018年3月30日(金)全国ロードショー! ヴァレリアン 千の惑星の救世主
この映画、子どもと一緒に楽しめる?
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