2018年4月20日(金)全国公開!
レディ・プレイヤー1
2018年/アメリカ/カラー
配給:ワーナー・ブラザース映画
© 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED
鑑賞日:2018年3月13日(火)
TEXT:キッズイベント 高木秀明
まるで映画が “VR(仮想現実)” そのもの!
近未来を体感! 親子で楽しめるSFアドベンチャー!
スティーブン・スピルバーグ監督のSF代表作と言えば、『E.T』『未知との遭遇』『ジュラシック・パーク』など。たくさんの子どもたちに、夢や未来への希望を見せてくれた。本作『レディ・プレイヤー1』は、そんな一連のSF作品と似た、懐かしい匂いのする、とてもスピルバーグ監督らしい作品だった。“原点回帰” とも言えるだろうか。
物語の舞台は世界経済が停滞し、厳しい格差社会となった西暦2045年。多くの持たざる者たちは夢も希望もないこの世界から逃れるため、ジェームス・ハリデーが開発した誰もがなりたいものになれる夢の場所「OASIS(オアシス)」というVR(バーチャル・
ある日ハリデーは「オアシス内に隠した3つのイースターエッグを1番早く見つけた者に、全資産とオアシスのすべてを譲る」という遺言を残して死去。総額56兆円もの遺産を巡り、世界中の人、企業が、バーチャルの世界と現実の世界を行き来しながらオアシス内で壮大な争奪戦を繰り広げる。
圧巻なのは、VRの世界のリアリティを追求するため、誰もが知っているさまざまなキャラクターが出てくることだ。キングコングやアイアン・ジャイアント、ガンダム、さらに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンや『AKIRA』のバイクまで。誰だってデロリアンやAKIRAバイク、ガンダムを操縦してみたい。そんな夢を叶えてくれるのが「オアシス」で、実際に目の前のスクリーンでそれらが共演し大暴れしている様は、信じがたくも素晴らしい光景だった。
だからこそ、映画やアニメ、ゲームをたくさん知っている人ほど、本作内に散りばめられたギミックやさまざまな作品へのオマージュには興奮すること間違いない。もちろん、それを知らない世代の子どもたちも、さまざまな魅力的なキャラクターや繰り広げられる冒険、バトルは見応え十分。親子で一緒に楽しめる、とても贅沢な映画になっている。
子どもたちに知っておいてほしいことを
極上のエンタメに包み込む
Appleのティム・クックCEOは「これからのAI時代の教育で大事なのは何か」という質問に対して「 “AI(人工知能)” に加えて “AR(拡張現実)” も重要だと付け加えた上で、今こそ “倫理” を学ぶことが大事だ」※と答えている。
コンピュータが人間の能力を超えるという2045年のシンギュラリティなど、AIの進歩は影響力も大きく広まるのも早い。つまり、神の領域と思われていたことに手が届いたとき、人としての正しい判断、“倫理” は、このうえなく重要なものになる。映画「レディ・プレイヤー1」は、近未来に確実に起こる問題を、極上のエンターテインメントにして警鐘を鳴らしているようにも感じた。人間が人間としてあるにはどうしたらいいのか、そんなことも問いかけている。
VRには、得ることのできない体験を人間に与え、新たな能力を引き出してくれる可能性がある。さまざまなテクノロジーとともに、人間の能力も向上する。しかし大切なのは、やはりその “使い方”。映画ではスピルバーグ監督の考える、その答えも描かれている。
しかしオアシスレベルにまで発展した仮想現実の世界は、ある意味もうひとつの現実になっているとも思える。オアシス内でのみ活躍したり、利益を得たり、職場はオアシス内です、のような。その意味でも、これから訪れる未来を描いているように思う。
とはいえ難しいことは考えず、目の前に広がる映像に身を委ねれば、今までに観たこともない夢の世界に一歩足を踏み入れたかのような、まさにVR体験を味わえる。
『E.T』や『ジュラシック・パーク』が多くの人たちの心に残る常に新鮮な映画であり続けているように、「レディ・プレイヤー1」も、子どもたちにとって忘れられない映画になるだろう。
【映画紹介・予告編】2018年4月20日(金)全国公開! スピルバーグ監督最新作!『レディ・プレイヤー1』
※ 出典:Appleが考えるこれからの教育 ー ティム・クックCEO単独インタビュー
(日本時間2018年3月28日(水)開催のAppleのスペシャルイベント「Let’s take a field trip.(遠足に行きましょう)」に関連したインタビュー)
※ AR(Augmented Reality/拡張現実):実在する風景や感覚などにバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、目の前にある世界を “仮想的に拡張する” というもの。
※ 倫理:人として守るべきこと。変わることのない人としての善悪・正邪の普遍的な判断基準。モラル。
この映画、子どもと一緒に楽しめる?
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