2018年6月14日(木)〜24日(日)EXシアター六本木で上演!
もっと歴史を深く知りたくなるシリーズ 舞台「ジョン万次郎」溝口琢矢さん、石原壮馬さん、山崎樹範さんキャストインタビュー!
いまの日本の礎を築いたジョン万次郎に
クローズアップ、激動の人生を描く!
ー もっと歴史を深く知りたくなるシリーズ 第6弾の舞台「ジョン万次郎」が、2018年6月14日(木)から上演されます。今回はどんな舞台を考えていますか?
座間隆司さん(「もっと歴史を深く知りたくなるシリーズ」プロデューサー)
今までは戦国時代が中心だったので、このシリーズでははじめて幕末を描く作品になります。江戸時代から明治に変わるとき、日本が世界に向けて動く開国のきっかけをつくり、いまにつながる日本の基礎を築いたのがジョン万次郎(中浜万次郎)です。その一番の立役者というのをクローズアップしたいと思っています。
いまの私たちの生活のルーツはジョン万次郎だと思っています。万次郎は偶然が重なってアメリカに行き、そして日本に帰ってきて、今の日本をつくるために活躍しました。教科書にも必ず名前は出てきますが、あまり説明されていません。そこをしっかり描きたいと思っています。
ー ジョン万次郎の人生は「波瀾万丈」「激動」「壮絶」という言葉がピッタリです。でも不思議と万次郎が主役のドラマはないですね。
座間隆司さん
大河ドラマ「西郷どん」でもちょっと出ましたし、ちょこちょこ出ているんですが、メインでのドラマはないですね。でも大河ドラマで取り上げて欲しい人物には必ず名前があがります。ものすごい人生なので、1年50話くらいいけますよ。
万次郎の “生” への執着を表現
いまだからわかる当時の “違和感”も
ー 溝口さんはそんなジョン万次郎の主演です。いまはどう感じていますか?
溝口琢矢さん
じゃあ、“大河” を狙います!(笑)
万次郎のことはあまりよく知らなくて、まだ原案を読んだくらいなのですが、まさしく “激動” という言葉がふさわしい人生だと感じました。彼が生きていられたのは、原作にも書いてありますが数々の幸運に恵まれたところが大きく、遭難した彼らを助けてくれたジョン・ハラウンド号のホイット・フィールド船長も、アメリカのいいところを全部集めたような素晴らしい人でした。
でも、その奇跡的な幸運ばかりをクローズアップすると不自然ですし、運がいいだけの人になってしまいます。だから万次郎の “生” にしがみつく感じ、いまの僕らは万次郎ほど激しく “生きたい” と感じた経験はないと思うので、そういう “生” への飢餓感や渇望、執着をしっかり肉付けしてリアルに伝えていかなければいけないなと思っています。
ー 山崎樹範さんは勝海舟の役ですが、原作では万次郎と勝海舟にはそれほど絡みはありません。舞台ではオリジナルの要素も入ってくるのでしょうか?
座間隆司さん
今回は今までと違い原作の小説の舞台化ではなく、原案としてエッセンスを取り入れながら、オリジナル要素を半分くらい入れて舞台をつくります。だから勝海舟はじめ、幕末で活躍した人たちが出てきます。
ー どんな勝海舟を考えていますか?
山崎樹範さん
勝海舟は好きな歴史上の人物のひとりです。もともと坂本龍馬が好きなので、勝海舟は龍馬の師匠みたいな人ですよね。そもそも龍馬は勝海舟を斬るはずだったのに、龍馬の心や考え方を変え、弟子にしてしまうんです。そんな人間的な魅力や大きな器の人ってどんな人だろうと、そこに自分がどれだけ近づけるかですね。殺しにきた人が、この人のためなら死んでもいいと思う。どんな人なんでしょうね。
ー 石原さんは、万次郎と一緒に遭難する漁師の役になるそうですね。候補は3人いますが、誰がいいですか?
石原壮馬さん
誰の役になっても、しっかりと向き合ってその役をやりたいなと思っています。万次郎は4人の漁師仲間とともに遭難しますが、万次郎だけはみんなとは考え方が違っています。いまなら “先進的” と言えますが、当時としてはあまり “変” で “常識知らず” でした。
でも、いまの僕たちにしてみれば、ほかの漁師たちが固定観念に捕らわれてしまっているのがよくわかります。「いまならその考えは変だよね」と、そういう違和感を伝えたいですね。ちゃんと勉強をして、その時代に生きていた人を表現することで、万次郎の先進性が際立つと思っています。
出演者の方々の
こんな苦難を乗り越えました!
ー ジョン万次郎は14歳のときに出た漁で遭難し、運よく助けられますが、その後もさまざまな苦難に遭遇します。しかしそれを乗り越え人生が大きく変わります。万次郎のように苦難を乗り越え成長したという経験があったら教えてください。
溝口琢矢さん
ジョン万次郎が遭難したのと同じ14歳のとき、ひどいニキビで悩んでいました。思春期なのでしょうがないのかもしれませんが顔中真っ赤になっちゃって、事務所からもこのままだと仕事を続けられないと言われるくらいひどかったんです。
そこで生活スタイルや食生活を見直して、野菜を多くとったり、青汁を飲んだり、体質改善することでニキビを減らすことができました。仕事ができなくなるかもしれないところまで追いつめられていたので、かなりの苦難を乗り越えた瞬間でした。それ以来、青汁は今でもずっと飲んでいます。
山崎樹範さん
今も所属している劇団カムカムミニキーナに19歳で入団したんですが、8年間くらいはずっと怒られっぱなしだったんです。一回も褒められたことがなかった。ダメ出しが続くと人間性を否定されるようなこともあったり、最終的には「おまえにはキツネの霊がついている」とか(笑)。そうなるともうお芝居をどうしようじゃなくて、除霊、お祓いの世界ですよね(笑)。
でも、そういう理不尽なダメ出しにも耐えて乗り越えた経験が、いまに繋がっていますし、あれ以上しんどいことはないだろうと思えるので、あの時期があってよかったなと思っています。
こう言うと劇団が理不尽っぽく聞こえますが、そうじゃなくて、怒られていた期間、僕はずっと逃げていたんですよね。そういう姿勢だから当然怒られるんですけど、そのことに気が付かなかった。一番ひどいときは演出家と自分との間に必ず誰かを挟んで、なるべく演出家から見えないところにいました。そうすると今日1日は怒られない。でもあるとき、「これって意味ないよな」って‥‥。そういう時期がありましたね。そこから挽回できてよかったです。今は演出家ともちゃんと話せますし(笑)。
ー それはどのようにして乗り越えたんですか? 何かきっかけはあったんでしょうか?
山崎樹範さん
劇団内での評価がすぐに変わることは難しいので、なるべく外にも目を向けようと、別のところでもお芝居をしました。そうすると評価してもらえることもあったんです。そこで、劇団でやっていることは通用するんだ、今までやってきたことは間違えていないんだということに気が付いたんですね。
劇団に戻ると相変わらず怒られるんですけど、通用するんだ、大丈夫なんだ、間違えていないんだと。外でも芝居をし、劇団に戻り、それを繰り返していたら劇団の中でも少しずつ評価が変わってきたんです。そういう積み重ねで、自分に自信がついたんだと思います。
溝口琢矢さん
でも怒られるというか注意してもらえるのは嬉しいですよね。今はあまり怒ってくれる人っていませんから。経験を積んでいないことは自分が一番よくわかっているので、本当はあまりよくないのに「OKです」と言われちゃうのは怖い。ダメなところはちゃんと言われたいです。まわりから「OK」と言われると、自分自身でダメなところに気がつくことも難しいですから。
ー 石原さんの苦難を乗り越え成長した経験はいかがですか?
石原壮馬さん
山崎さんの後にしょうもない話になってしまいますが、僕は本当に虫がダメで‥‥。触るのはもちろん、見るのも無理。でもこの前、はじめて部屋にゴキブリが出てしまい‥‥ それこそ最大の苦難でした。
一人暮らしだから誰もいないし、こういうことがないように部屋はキレイにしているので殺虫剤もない。とりあえずヘアスプレーでゴキちゃんを固めて、掃除道具の棒の先に乗せて外に出そうとしたらベランダに落としちゃって。幸いヘアスプレーで固まって動かなくなっていたので、なんとかティッシュにくるんで捨てられたんですけど、あのときは焦りましたね。最大の苦難でした。
ー その苦難を乗り越えて虫に対する苦手意識はなくなりましたか?
石原壮馬さん
虫を克服したかと聞かれると、何の進歩もありませんでした。でもこれからは絶対に窓は開けないようにしようと、防衛にさらに力を入れることにしました。洗濯物も部屋干しにしています(笑)。
「もっと歴史」シリーズで描きたいこと
そして万次郎から得られることは?
ー 山崎さんは今まで、すべての「もっと歴史を深く知りたくなるシリーズ」に出演しています。このシリーズはどんな舞台ですか?
山崎樹範さん
歴史物なので有名な人たちも出てきますが、ざっくり言うと、“若者が死に物狂いで生きている様を見せる舞台” だと思っています。僕くらいの年になるともうできませんが、10代、20代だからこそできることってあるじゃないですか。それに対して、汗をかいて、つまづきながらも前を見ている姿は本当に美しいし、人の心を動かします。そういうのを観ていただく舞台だと思っています。
ー 子どもたちにもそういうところを観て欲しいですか?
山崎樹範さん
何かを成し遂げた過去の人たちの物語なんですが、その人にとって当時はまだ成し遂げる前ですよね。人生は選択の連続で、正解がわかっていれば誰もがそれを選びますが、正解は事前にはわかりません。だから選んだ方を正解にするために努力するんです。誰もが失敗することはあると思いますが、後悔はしない人生の生き方、それを子どもたちに伝えたいですねって、まだ早いかな(笑)。
溝口琢矢さん
ちょっと早いかもしれないですね(笑)。いま僕が、これから頑張っていかなきゃって思いましたから。「失敗を恐れずに選択していこうよ」くらいでしょうか。
山崎樹範さん
そうだね。万次郎なんていくつもの選択をことごとく正解にしてきたよね。舞台の「ジョン万次郎」は冒険物語でもあるので、子どもたちもワクワクしながら楽しめると思います。華やかだし、アクションもあります。
ー 最後に今回の舞台「ジョン万次郎」、どこを見て欲しいですか?
溝口琢矢さん
名前くらいしか知らなかった人物を今回舞台で演じることで初めていろいろと調べ始めたところなのですが、思っていた以上に奇跡の連続の中にいた人なんだな、と。そしてその奇跡をきっかけに起きたことを残らず自分の血肉にして成長していきました。それがすごいなと思っています。
保守的な人が多いこの時代に、万次郎はなぜそうではなかったのか。初めて触れるものを恐れず外に目を向けた万次郎に対して、他の漁師はそっちに染まってはダメだと言うけど、本当に南蛮人は怖いのか? とか、万次郎は常識というものを無条件に信じることなく、常に自問自答しています。
この時代、これを行なう人の “異質さ” を舞台でみなさんにお見せできるよう、僕自身も上演までの間、たくさん自問自答しながらいろいろなことに向き合わなければと思っています。でも、だからこそ万次郎は、たくさんの奇跡を生み出し、大きなことを成し遂げられたんだと思っています。
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溝口琢矢(みぞぐち たくや)
1995年、東京都生まれ。2007年に映画『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(三池崇史監督)で子役として俳優デビュー。その後、2015年に『仮面ライダーゴースト』でレギュラー出演を果たし、5次元プロジェクト「ドリフェス!」『DearDream』の及川慎役として活躍。
石原壮馬(いしはら そうま)
1996年、熊本県生まれ。2015年に劇団プレステージ 第9回公演『WORLD’S ENDのGIRLFRIEND』で舞台デビュー。その後、主演を務めた劇団プレステージ本公演「『ゼツボー荘』より愛を込めてぶち壊す!!!!!」などの舞台をはじめ、アニメ『ドリフェス!』『DearDream』で天宮奏の声を担当、ドラマ『ウチの夫は仕事ができない』(日本テレビ)、映画『斉木楠雄のΨ難』(2017/福田雄一監督)の話題作に出演するなど活躍の場を広げている。
山崎樹範(やまざき しげのり)
1974年、東京都生まれ。俳優、声優、タレント。劇団カムカムミニキーナ所属。2002年、28歳のときにフジテレビのドラマ「天体観測」にメインキャストとして出演してブレイク。現在は俳優として舞台、テレビドラマ、映画をはじめ、声優としてテレビアニメやCMナレーションとしても活躍中。
EXシアター六本木で上演!
もっと歴史を深く知りたくなるシリーズ 第6弾
ジョン万次郎
幕末に初めてアメリカの地を踏んだ日本人と言われ、その後の開国に大きな影響を与えた人物として有名なジョン万次郎(中浜万次郎)。言葉も習慣も異なる地で、いじめや差別にくじけることなく、強く生き抜いてた秘訣は何だったのだろう? アメリカに残された記録や資料をもとに、ジョン万次郎の青春時代を鮮やかに描いた、2011年ニューベリー賞オナー受賞を果たした物語「ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂 」を原案に舞台化!
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