特別展「昆虫」が国立科学博物館で開催中! 2018年10月8日(月・祝)まで。写真は高さ2メートルもある「巨大模型」
昆虫の魅力がたっぷり!
この夏おすすめの展覧会!
特別展「昆虫」は、国立科学博物館が満を持して開催した、国立科学博物館 “初” の “昆虫” をテーマとした大規模展覧会。それだけに期待して見に行きましたが、その期待を見事に上回る素晴らしさでした。昆虫好きの子どもたちには、ぜひ見てほしい!
特別展「昆虫」の監修を務めた、写真左からアリと共生する昆虫とツノゼミが専門の丸山宗利先生、ハチが専門の井出竜也先生、チョウとガの仲間が専門の神保宇嗣先生、甲虫の分類が専門の野村周平先生
感動したのは、とにかく昆虫がとてもキレイなこと。そしてその分類がとてもわかりやすいこと。専門的すぎると子どもには難しすぎますが、たくさんの標本以外に高さ2メートルの「巨大模型」もあり、メリハリがあって、とにかく展覧会全体から “子どもたちにも楽しんでほしい” “昆虫の魅力をもっと知ってほしい”、という想いが伝わってきました。
「美しい昆虫」を展示したコーナー。“美しさ” は人間の基準ですが、鮮やかな色彩と模様、貴金属のような輝きのある昆虫を集めて展示。もちろん、世界にはほかにもたくさんの美しい昆虫がいる
わかりやすい分類で
昆虫の多様性、能力を紹介!
もちろん、キレイなだけではありません。昆虫の多様性、昆虫の能力、魅力などがよくわかる仕掛けや展示もたくさんあります。
たとえば「昆虫の多様性」というコーナーでは、家の近くの「人家周辺」から、家と林との狭間にある林の周辺部「林縁」、そして林の中となる「林内」と、家から自然の奥へと向かうなかで、それぞれにどんな昆虫が住んでいるかを標本で見せてくれています。
家の近くにいる昆虫から林の中まで、どんな昆虫がどんなところにいるかを見せてくれる「昆虫の多様性」というコーナー
家の周辺や林縁にいる昆虫はとても身近な存在ですが、奥へ行けば行くほど、知らない昆虫が増えるでしょう。さらに沖縄やアマゾン地域も同様の分類で見せてくれていて、比較すると地域によって昆虫の種類が異なるということが一目瞭然。大きさの違いにも驚くことでしょう。昆虫は地域や環境によって大きく異なるのです。
食べるものや食べ方「なめる」「吸う」「かむ」によって昆虫をわけ、口の形を見せてくれたり、身を隠す擬態や警告などの身の守り方、匂いや音などによる昆虫のコミュニケーションと、人間とはまったく異なる、生きるための昆虫の能力もわかりやすく紹介しています。
食べ物によって昆虫の口にはそれぞれ特徴があります。それがよくわかるコーナー。イラストの下には、実際の昆虫の標本が、口がよく見えるように展示されています
まだまだ昆虫は謎だらけ
とは言え、わかっていないこともたくさんあります。たとえばチョウとガには本質的な違いはないそうです。チョウとガの仲間が専門の神保宇嗣先生も「チョウとガの違いはよく聞かれる質問ですが、非常に答えづらい。ほとんど区別ができないからです」とおっしゃっていました。チョウが、どのようなガの仲間から進化したのかは諸説あり、今後の研究の大きな課題になっています。
頭にツノがあるユニークな形をしたツノゼミも、そのツノの形態の意味はわからないそう。しかもこのツノゼミ、「こんなに小さいの?」と、誰もが思うほど小さい。写真で見ると昆虫の実際の大きさはわかりません。本物を見る意味は、ここにもあるでしょう。そして、こんな小さな昆虫を研究している人もいるんだと、そういうことも感じられるかもしれません。
ユニークすぎる姿をしたツノゼミなどを紹介しているコーナー。CTスキャンや、35倍に拡大した「マルヨツコブツノゼミ」の模型と実物を展示。大きさや、不思議すぎる形にはきっと驚くはず
虫が苦手な人も楽しめる、かも
この夏おすすめの展覧会!
ネーミングに遊び心も感じる「G(ゴキブリ)の部屋」など、とにかく “楽しんでもらいたい” ということをひしひしと感じる展覧会でした。
そして「Gの部屋」は例外として、特別展「昆虫」は、虫が苦手な人でも昆虫のキレイさやユニークさを実感し、楽しめるのではないかと感じました。
CTスキャンを使って昆虫の内部も見せてくれたり、3Dで好きな角度から拡大して昆虫を見られたり、標本の展示以外の見せ方もたくさん。昆虫好きの子どもたち、そして大人も必見の展覧会です!
特別展「昆虫」は、東京・上野の国立科学博物館で、2018年10月8日(月・祝)まで開催!
【インタビュー】特別展「昆虫」監修・野村周平先生に特別展「昆虫」の見どころをインタビュー!
【プレゼント】2018年10月8日(月・祝)まで国立科学博物館で開催中! 特別展「昆虫」ご招待券プレゼント!
【イベント概要】2018年10月8日(月・祝)まで国立科学博物館で開催中! 特別展「昆虫」
会場入るとすぐに、ハチ、蚊、セミ、チョウ、そしてクワガタの高さ2メートルもある「巨大模型」が! 圧巻です
巨大模型の下には鏡があり、裏側もじっくり観察できます。実際の標本も展示されています
小さな子どもなら乗れる大きさのチョウの巨大模型。耳を澄ませると会場内には虫の鳴き声が響いています
琥珀に閉じ込められた、絶滅目の昆虫も日本初公開! 人類よりはるか昔に存在した昆虫の姿を見ることができます。映画『ジュラシック・パーク』は、このように琥珀に閉じ込められた、恐竜の血液を吸った蚊から恐竜のDNAを復元しました
世界最大級のもっとも大きなチョウの一種として知られるパプアニューギニア東部の一部地域のみに分布する「アレクサンドラトリバネアゲハ」をはじめ「デイダミアモルフォ」など美しいチョウを展示。このような見せ方もキレイ
子どもたちに大人気の「カブトムシ」も。たくさんの種類がいるのがわかる。どれだけ知っているかな?
こちらも子どもたちに人気の「クワガタ」。日本にも40種もいるそう(世界には1,500種)
日本で見るクワガタは黒か茶色がほとんど。しかし世界にはこんな色や模様のあるクワガタも
「美しい昆虫」を展示したコーナーで展示されているチョウの標本。この色彩、模様にはどんな意味があるかを考えながら見るのも楽しい。正解は研究者にもわからない
ユニークな姿と相まって、まるで宝石のようには見えませんか? 実物はもっとキレイです
まるで貴金属のブローチのような「アシグロキンコガネ」と「キンギンコガネ」。いずれも主な生息地はコスタリカ。日本にもいるといいのに
「Gの部屋」。何の部屋だかわかりますか? そう、ゴキブリです。しかしゴキブリの99%は人間とは関係のない森の中に住み、実は生態系にとって非常に重要な役割を担っているそう。ここでは世界各地のキレイなゴキブリ、変わったゴキブリ、かっこいいゴキブリを展示。担当した監修者のひとり丸山宗利先生は、「ゴキブリの奥深さを感じてほしい」
柄があったり、「これがゴキブリ?」という、想像とはちょっとイメージが異なるものも。しかし、この子たちのお母さんは「そのケースは私には見られない」と言っていました。見覚えのある形に似たのもいるようです
食べ物による昆虫の口の違いを、実際の標本で見せてくれる
昆虫が身を守るための隠れ方や擬態、警告などを紹介
4コママンガで、アリの巣に共生するアリヅカムシなどを紹介。子どもにもわかりやすくて、楽しい
超スロー映像やシルエットで、昆虫たちの特殊能力を紹介してくれる「インセクトワンダーランド」
昆虫採集のテクニックや、昆虫研究者の仕事について教えてくれるコーナー。野村周平先生が考案した「ノムラホイホイ」も紹介
昆虫の採集家、コレクターのコレクションを展示している「昆虫回廊」のコーナー。標本の数は、なんと5万点もあるのだとか。たくさんの人が昆虫に魅了され、研究していたことがわかる
集めた人が違うので、それぞれの方の集め方の方針、どのような姿勢で昆虫に向き合っていたかというキャラクターもコレクションからにじみ出ている、と、ちょっとマニア向けな見どころを、監修を務めた野村周平先生が紹介
監修を務めた野村周平先生の専門「アリヅカムシ」の標本も
世界に1点しかない、「ヤンバルテナガコガネ」のホロタイプ標本の展示コーナー。「ヤンバルテナガコガネ」は、1984年に新種として記載された、日本最大の甲虫。沖縄本島北端部の「山原(やんばる)」と呼ばれる森林地帯のみに生息している
国立科学博物館の管理担当者が最後まで公開をためらった貴重な「ヤンバルテナガコガネ」のホロタイプ標本。これまで公開されたことがない
本展での展示を目指してインド洋マダガスカルで発見した未記載種。世界にはまだ発見されていない種が多数存在し、そこには大きなロマンがある
体長数mm以下の小さな昆虫たちを、特殊カメラで撮影し、360度回転して見ることができる3Dに。拡大して見ると、驚きの体の構造がわかる
特別展「昆虫」の昆活マイスター香川照之さんのコーナー企画では、香川さんが考える昆虫野球やサッカーのベストメンバー発表など、香川さんの昆虫愛が爆発!