2018年10月12日(金)新宿ピカデリー他 ロードショー!
スモールフット
2018年/アメリカ/カラー
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
鑑賞日:2018年9月28日(金)
TEXT:キッズイベント 高木秀明
『ミニオンズ』スタッフが贈る
歌って笑えて癒されるミュージック・ファンタジー!
『ミニオンズ』のスタッフが制作しているだけあって、たっぷり笑えることは間違いない。さらに想像を上回る展開は、意外性はもちろん、一本芯の通ったメッセージもあり、子どもをはじめ大人も楽しめるミュージック・ファンタジー・コメディとなっている。
日本語吹替版では人気・実力ともにトップクラスの声優、それぞれ歌手や俳優など異なるジャンルでも活躍している木村昴さん、早見沙織さん、宮野真守さん、立木文彦さんらが劇中歌も務め、ノリノリでキャラクターの心情、物語をわかりやすく伝えてくれる。“もじゃかわ” のキャラクターもすぐに子どもたちの心をつかみ、物語の世界観が、歌とともにスッと入ってくるだろう。
イエティ目線、人間目線
視点が変わると、世界が変わる
主人公は人里離れた雪深い山頂に住む、大きな体で心優しきイエティのミーゴ。おっちょこちょいで臆病な彼は、ある日、偶然にも小さな足の伝説の生物 “スモールフット(=人間)” と出会う。しかし、誰も信じてくれないばかりか、嘘つきだと村の掟を守る最長老ストーンキーパーから追放を言い渡されてしまう。スモールフットの存在を証明しようと、ミーゴの旅がはじまるのだが‥‥。
我々にとってイエティは “伝説” の生き物というか、いわゆるUMAと呼ばれる「未確認動物」だ。全身が毛に覆われ直立歩行し、ヒマラヤ山脈に住むといわれている。
映画「スモールフット」のおもしろい点はいくつかあるが、まずはこのイエティと人間の立ち位置を変え、人間が彼らにとっての “伝説” の生き物となっていることだ。
子どもたちはおそらく今まで考えたこともないだろう。自分たちが他の生物からどんなふうに見えているかなんて。私たちが他の生物の姿や形、生態を奇妙だとかおもしろいと感じるように、他の生物も我々人間をそんなふうに見ているのかもしれない。
多くはお伝えできないが、映画「スモールフット」では全編を通して、この異なる視点を持つこと、固定観念に縛られないことを訴えている。
世界は大きな亀と4頭の象が支えている!?
今、信じていることは真実なのか?
5世紀ごろのインド人が考えていた世界は、大きな亀の上に乗った4頭の象が、おわん状になった世界を支えているというもの。また西欧でも14世紀ごろは、海の先は滝になっていて、すべては堕ちてしまうと信じられていた。
2世紀にクラウディオス・プトレマイオスによって体系化された「天動説」は15世紀まで信じられ、16世紀にコペルニクスが「地動説」を説き、17世紀のガリレオがはじめて望遠鏡による観測を行ない実証的に裏づけたが、彼が宗教裁判にかけられたのはご存知の通り。結局、地動説が一般に受け入れられるには、コペルニクスが地動説を提唱してから100年ほどの歳月を要した。そして、その間に起こったことは “世代交代”。古い考えを持つ人たちが新しいことを受け入れたのではなく、亡くなることで地動説が受け入れられるようになった。刷り込まれてしまった古い人の考えは容易には変わらない。それは、今のこの世の中を見ても感じることだ。
実は、ミーゴがいるのはそういう世界。文化、しきたり、習わし、常識。固定観念や無条件に信じさせられていることは多いが、そんなことには疑問すら抱かない。抱いても深く考えずにスルーしてしまうよう教えられている。
疑問を持つこと、そこから知識を得ることがいかに大切か。そして、とりあえずその場をまとめるために真実を歪めることは正しいことなのか。これは、いまの世の中への警鐘にも感じられる。
子どもだって自分を取り巻く仕組みの中でおかしいなと疑問に思うことはあるはずだ。それに対してどういう姿勢をとっていくのがいいのか、映画を楽しみながら、自然と学べるのではないだろうか。
無知は幸せ? 考えないことは楽?
この秋、親子で観るのにおすすめの1本!
知らないことは幸せなのか? それとも正面から向き合い、知ることで恐怖を克服するのか? 無条件に信じ込ませられることの怖さ。しかし一方で、信じこませている方は、みんなの幸せを願ってのことでもあったりする。果たして、正しいのはどちらなのだろう?
深く考えさせられる、伝えたいテーマがありつつも、それを誰もが楽しめるエンターテインメントにしっかりと仕上げているのはさすが。このページの上部に掲載している劇中歌の動画もぜひ観てほしい。この映画の魅力の一端を感じられるはずだ。この秋、子どもと一緒にぜひ観てほしいおすすめの1本! そして、お母さん、お父さんは、字幕版で英語の歌も聴きたくなるはず。
【映画紹介・予告編】2018年10月12日(金)新宿ピカデリー他 ロードショー! スモールフット
この映画、子どもと一緒に楽しめる?
最新映画をネタバレなしで紹介!
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