2019年8月23日(金)全国ロードショー!
ロケットマン
2019年/カラー
監督:デクスター・フレッチャー(『ボヘミアン・ラプソディ』製作総指揮、監督)
キャスト:タロン・エガ-トン、ジェイミー・ベル、ブライス・ダラス・ハワード、リチャード・マッデン
配給:東和ピクチャーズ
©2018 Paramount Pictures. All rights reserved.
鑑賞日:2019年8月25日(日)
TEXT:キッズイベント 高木秀明
エルトン・ジョンの
名曲誕生の瞬間に立ち会える!
『ライオン・キング』(1994年)の主題歌「愛を感じて」は、たくさんの子どもたちも聴いたことがある曲だろう。そんな誰もが一度は耳にしたことのある数々の世界的大ヒット曲を生み出した伝説的ミュージシャン “エルトン・ジョン” の半生を、圧倒的なイマジネーションで描いたのが、この『ロケットマン』だ。
エルトン・ジョン自身も製作総指揮として関わり、美化しない “ありのままのエルトン・ジョン” を描いたというだけあり、ドラッグやアルコール、セクシャリティーに関することなど、子どもには刺激の強いところもある。
監督は、ノンクレジットながら2018年の大ヒット作『ボヘミアン・ラプソディ』の最終監督※を務めたデクスター・フレッチャー。エルトン・ジョンのクレイジーとも言えるようなファンタジックで、ジェットコースターのようなスピード感と浮き沈みのある人生を表現するのに一部ミュージカルの手法を使った。
※当初は製作総指揮だったが、監督のブライアン・シンガーが撮影中に降板したため監督を代行、作品を完成させた。
そしてエルトン・ジョンを演じるのは、イルミネーション・エンタテインメントの大ヒットアニメーション『SING/シング』(2016年)でエルトン・ジョンの「アイム・スティル・スタンディング(I’m Still Standing)」を歌い上げたタロン・エガ-トン。今作では過酷なボイストレーニングを経て、劇中でのエルトン・ジョンの楽曲を吹き替えなしで歌いきった。
エルトン・ジョンの楽曲はもちろん、タロン・エガ-トンの歌声もいいが、何よりこの作品が素晴らしいのは、名曲が誕生する瞬間に立ち会えることだ。生涯の友となるバーニー・トーピンの歌詞からインスピレーションを受け、ピアノで一音一音探りながら徐々に美しい旋律が紡がれいくその様は、一生のうち何度体験できるかわからないほど貴重な瞬間だ。
両親の愛情、そして
人との出会いの大切さを実感
両親から愛情を注がれることなく育ったエルトン・ジョンだが、その音楽的才能により若くして成功する。しかし恋人には裏切られ、愛されたい人からは愛されないという孤独から酒やドラッグに溺れていくその姿は、『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ・マーキュリーにも通じる。
確かに両親から満足な愛を得ることはできなかったが、幼少時にその才能を表現できる機会が身近にあったこと、気がついてくれる人がいたこと、才能を伸ばせる環境に身を置けたことなど、恵まれた環境でもあったと思う。さらに数々の名曲の作詞を手がけたバーニー・トーピンとの出会いなど、幸運にも多々恵まれていたと感じる。
映画を観ると、エルトン・ジョンでいるのは確かに大変そうだ。圧倒的な才能や成功はさまざまな人を引き寄せる。人に恵まれることがいかに奇跡的なことかがよくわかる。
大ヒットした音楽映画と観比べると
さらにおもしろい!
盛り上がりを見せる今の音楽映画の先駆けとなる『ボヘミアン・ラプソディ』は、同じ監督ということもあり、ぜひ観比べていただきたい。また『ボヘミアン・ラプソディ』と同じく2018年に公開された、レディー・ガガ主演の『アリー/スター誕生』も観てほしい。『アリー/スター誕生』はフィクションだが、レディー・ガガの半生と重なる部分が多い。物語にあわせてつくられた楽曲も秀逸だ。
いずれも音楽の世界でスターダムにのし上がっていく話で、それぞれに違いはあるものの、本質は同じように感じる。どの映画も、人生において何が大切かを教えてくれる。それは誰もが一度は見失い、しかしすぐそばにあるもののようだ。近すぎるがゆえ、見えなくなってしまう。
そしてもしよかったら、ジョン・キャメロン・ミッチェル監督の『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』も観てみてほしい。ドラァグクイーンの自分探しの話で、すべてオリジナルの楽曲も素晴らしい! 上記3本とは少し趣が異なるが、音楽映画好きにはおすすめの1本だ。
ワールドツアーを展開中、日本での公演も!
2017年に活動50周年を迎え、72歳の今なお現役で活躍中のエルトン・ジョン。しかし現在、最後のワールドツアーとなる「Farewell Yellow Brick Road」を展開中だ。2021年にかけて300ものコンサートの開催を予定し、日本での公演もありそう。エルトン・ジョンの生の歌声を聴ける最後のチャンスになるかもしれない。
『ロケットマン』では、エルトン・ジョンの人生の序盤15年しか描いていない。今のような穏やかな表情になるまでには、まだまだ知られざるエルトン・ジョンがたくさんいそうだ。
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