びっくりしたけど、すごく嬉しい!
自分の女の子の部分を思い出した
ー『映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて』の主題歌、声優のお話をいただいたときの気持ちは?
びっくりしました。「プリキュア」は長年、子どもたちを魅了し続けている作品なので、参加できると聞いてすっごく嬉しかったです。長男が小さかったときに「プリキュア」を一緒に観ていて、それこそエンディングでは一緒に踊っていた思い出もあります。
「プリキュア」って可愛いくて、今回の作品に関わらせていただいて、自分の女の子の部分をちょっと思い出させてもらいました。映画館に来るお母さんたちも、そういう楽しみ方もできるかなと思いました。
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声を務めたメリー・アン、主題歌に込めた “想い”
大人の胸にも刺さる、せつなく温かい物語
ー 声を務めたメリー・アンはそのキャラクターとして、主題歌はご自身として表現されていると思いますが、それぞれにどのような想いを込めていますか?
アフレコはすっごく難しかったんですが(笑)、とにかく子どもたちが注目してくれるようなメリー・アンになるといいなと思ってやりました。
メリー・アンはちょっとおもしろいキャラクターなんです。おっちょこちょいでチャーミングで、とても正義感があるんだけれどドジみたいな。だから監督に「たくさん要求をください!」と言って、「もっとおもしろく」「もっとテンション高く」、セリフのキメのところは「もっと長くロングトーンで」と、たくさんリクエストをいただいて、何回も録り直しながらキャラクターをつくっていきました。
「〇〇でありま〜す」という言葉遣いが口ぐせになっているので、同じ言い方にならないようにバリエーション豊かに、頑張りましたね。
ー 主題歌にはどんな想いを込めましたか?
アニメの主題歌なのでテンション高めで、キャラクターっぽい感じの歌い方を求められるかと思っていたのですが、あまりそういうことではなく、歌詞もメロディもとても素晴らしくて、ただただ私を通って聴いてもらうようなイメージで、歌詞に共感しながら歌わせていただきました。
本編でも同じ歌をプリキュアたちが歌っているのですが、キラキラとしたポップ調で、私が歌うエンディングはバラード調になっています。アレンジであれだけ変わるというのもすごく魅力的ですし、レコーディングでは映画を観終わった方が主題歌を聴きながら回想するので、監督からは「包み込むような歌声で」とだけ言われました。
歌詞にはまっすぐな想いが綴られていて、そのなかに「わたしたちは星 一所懸命 一瞬に 一生に 生命を燃やす」という言葉があって、この歌詞は最初に見たときからすごく好きなんです。自分自身そうありたいし、子どもたちにこの言葉を伝えてあげられるのってすごく素敵なことだなって思いました。なのでとにかくまっすぐ、私の余計な想いを込めるとかではなく、書かれているこの言葉がちゃんと聴こえるように、ていねいに歌おうと思いました。
ー はじめて台本を読んだときの率直な気持ちはいかがでしたか?
キュンキュンしました。せつないなって。大人の胸にも刺さる、親子で観ても楽しめるなって思いました。
子育てという視点から見てもアドバイスをもらえる気がします。「スタプリ」って “他者を受け入れよう” とか “多様性” というものがテーマにあって、自分と違うものを否定するのではなく受け入れよう、自分とは異なるところに幸せがあっても、それを認めようと伝えています。
これって大人にも必要ですよね。こんなに深いテーマがたくさん入っているものが、この年齢の子どもたちへのアニメーションとしてつくられるというのは、 “日本すごいな!” って思います(笑)。
歌手、ミュージカル俳優、親
それぞれの場面で歌を通じて “絆” を紡ぐ
ー 本映画は歌を通じて絆を紡ぐ物語です。歌手として、ミュージカル俳優として、たくさんの歌を歌っていますが、歌から絆が生まれたり、絆が強くなったことはありますか?
ミュージカルでは革命のお話が多いですし、何ヵ月も50〜60名のカンパニーの仲間たちと一緒に舞台をつくっているので、やはりそこに絆は生まれますね。
また私自身が歌手として歌うときは、昔から応援してくれているファンの方たちは、いまだに当時の曲を愛してくれていて、歌を通して、そういうファンとの絆もありますね。
私と “真逆”、テンションの高さにびっくり!
子どもたちが反応したら嬉しい
ー アフレコ現場でのエピソードはありますか?
最初はひとりだったんですが、途中から怪盗ブルーキャット(キュアコスモ)の声優を務める上坂すみれさんと一緒に収録をさせていただきました。上坂さんはお人形みたいに可愛くて、でも自分の出番になったら「すごい! プロなんだ!」って実感しました。休憩のときにちょっと教えてもらったりして、楽しかったです。
ー メリー・アンと知念さんの似ているところはありますか?
アンはとにかくテンションが高くて、私とは “真逆” です(笑)。私、そんなにテンション高くないですし、でも自分が想定していたよりもずっと高いテンションが必要だったので、気持ちをあげて、最後の方は自分の声が遠くに飛んで行ってしまうような、このまま気を失ってしまうんじゃないかというくらい頑張りました。私もホントに、どういう風になっているか映画を観たくてしょうがないです(笑)。
ー 自分とは真逆のキャラだったんですね。
子どもと遊んでいるときのテンションの100倍必要みたいな、そんなイメージです(笑)。
ー アニメのアフレコは他のお芝居とはかなり違うんですね。
違いますね。上坂すみれさんもそうですが、技術がないとできないなって感じました。だって台本に書いてあれば「…」や「!」にも声が必要で、私は3回くらい素通りしちゃって、「知念さんここも声を…」って言われて、「あっ、そうか」って。
表情で表現できないので、私にとってはすごい挑戦でしたし、おもしろかったです。「走る」とかキックを「受ける」にも声が必要で、でもそれは台本には書いてないですし、頭の中でアニメーションを想像する必要があって、難しかったですね。
ー 台本を読んだときにイメージしたことと、実際のアフレコ現場とではどんな違いがありましたか?
やっぱり想像以上のテンション! ですね。1歳の子どもでもテレビからプリキュアの声が聞こえると反応するんです。だからそのテンションは、アンにも絶対に必要だなって思っていました。アンの声に子どもたちが反応したり、クスッて笑ってもらえたりしたら、嬉しいですね。
ー 今後もアニメのお仕事は続けますか?
挑戦好きなんで、声をかけていただければ100%、テンション高めで体当たりします!
ー 本映画で一番観てほしいところ、見どころは?
プリキュアたちとユーマとの関係ですね。アフレコをしているときに、ユーマって赤ちゃんみたいだなって思ったんです。言葉も通じない、まわりからの影響を受けて変わっちゃうというのも、うちの1歳児みたい。その子をめぐってのキュアスターとキュアミルキーの葛藤は、本当に胸が痛いんだけど、すごく大事なシーンで、子どもたちもこれから同じような経験をいっぱいすると思うので、そこはぜひ観てほしいですね。とても印象に残っています。
子どもたちはもちろん、一緒に行くお父さん、お母さんも本当に楽しんで観てもらえる作品になっているので、キラキラした夢を思い出しながら観てもらえたらなと思っています。
人前で緊張しちゃう、俳優になるのが夢
子どもたちへ夢を叶えるアドバイス!
ー 人前で歌を歌ったり、舞台など、大事な場面に向かうときに緊張しない方法、心構えはどうしていますか?
舞台の本番はすごく緊張しますが、一番の解消法は、どれだけ練習したか、どれだけやってきたか、自分で納得できるかどうかですね。「あれだけやったんだから悔いはない」「100%やったから自分は絶対にできる」って思えないと、できない。どれだけ準備ができたかです。やっぱり、それがすごく大きいかな。
ー「十分やった!」と思えるときはあるんですか?
ないですないです、ないんです。ないけど(笑)、それでもベストを尽くしたって思えるところまで持ってこられるかですね。でもそれって子どもたちには難しいですよね。まだあまり先のことまで計画を立てて考えることができないですからね。
ー でもどれだけ練習したかは、自信につながるんですね。
大きいですね。
ー ミュージカルや舞台など、演じることをめざすお子さんもたくさんいます。小学生くらいのときにやっておくといいことはありますか?
やりたいことは全部やるといいと思います。そう言うとお母さんに怒られちゃうかな(笑)。でも、興味あること、やりたいと思ったことには飛び込んで、やってみてほしいですね。
私はけっこう引っ込み思案だったんですよね。でも自分が両親に愛されているということはよくわかっていて、失敗しても助けてもらえる、安心できる場所があるって思えたことは、すごく大きかったと思います。今、お芝居をしていてもそれは感じていて、大事なことだなって思います。
両親が私のことを「あきらめずにいてくれた」と思っていて、だからこそ何かにつまづいたり、立ち止まってしまったときも、やっぱり前に進もうと思えることにつながっています。両親の存在は大きいです。最初は反対されましたが、頑張るって決めてからは、ずっと応援してくれています。
ー テレビや舞台など、人前に出るお仕事をされているのに、引っ込み思案、人見知りという方がけっこういらっしゃるのですが、どのように克服されたんですか?
私はこの仕事をしはじめてからも押しが弱いというか(笑)、「なんでそんなに後ろにいるんだ」と言われていましたね。でも人の根本は変わらないと思うので、そんな自分を受け入れてからの方がのびのびやれているような気がします。
ー 最初の頃はミュージカルの歌い方ができなくて悩んでいた、という記事も見ましたが、どのように乗り越えたんですか?
誰かにアドバイスをいただいたときに、その声に耳を傾けられる自分でいれば絶対に変われると思っています。視野が狭くなって、それができなくなるとすごく辛いけど、心を開くというか、素直な気持ちを持っていることが大事ですね。まわりの方にもたくさん助けていただきましたが、でもこればっかりは、大変だけど、最終的には自分でなんとかしないとね。
ー 2人の男の子のお母さんですが、子育てで大切にしていることは?
私が “笑顔” でいることですね。叱ることもありますが、それが終わったら “笑顔” です!
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知念里奈
1981年2月9日生まれ。沖縄県出身。1996年にシングル「DO-DO FOR ME」で歌手デビュー。以後、映画やドラマ、舞台への出演など女優としても幅広く活躍している。10年以上にわたりミュージカル『レ・ミゼラブル』に出演し、日本で唯一、コゼット、エポニーヌ、ファンデーヌとヒロイン3役を演じた。ほかにも『ジキル & ハイド』のエマ役、『ミス・サイゴン』のキム、エレンなどの大役を次々と演じ、今やミュージカルシーンに欠かせない存在となっている。現在、2児の母としてますます活躍の場を広げている。
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