最新作を引っさげて再来日!
日本のアニメからインスピレーション
ー『ヒックとドラゴン』1作目以来の来日ですが、今はどんなお気持ちですか?
1作目で来日したときは日本のさまざまな地に足を運んでプロモーションをした覚えがあります。今回また最新作を持って日本に戻ってくることができて、すごく嬉しいです。『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』を観た方にこの作品を愛してもらえたらと思っています。
SNSを通して日本のファンのみなさんの声も聞いています。素晴らしいコミュニティーがあって、特に日本と言えばアニメ作品への愛も強くて、日本の作品から何年にもわたってインスピレーションを受けているので、そんな日本で公開されるのを嬉しく思っています。
【映画紹介・予告動画】『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』2019年12月20日(金)全国ロードショー!
【映画レビュー】ヒックとドラゴン 聖地への冒険(2D 字幕版)
ー 以前の来日で、監督は宮崎駿監督の大ファンで、ジブリアニメを参考にした点もあるとのことでしたが、本作でも何か参考にされた作品などはありますか?
具体的な作品というよりは、全体的な感触のようなものとしてインスピレーションを受けていることが多いです。宮崎駿監督なら、共感できるキャラクターや、ハッと感嘆するような要素、困難な挑戦、人の “善” のような部分が作品を通して伝わってくるところにインスピレーションを受けています。
また、宮崎駿監督の世界観の構築はとても素晴らしく、手で触れられるような、自分も本当にそこにいるような気持ちにさせられます。『紅の豚』の飛行の風景、『風立ちぬ』で草地が風でさらさらと吹かれていく様子、そういった活き活きとした画が脳裏に残っていて、そのなかで自分の作品をつくっているので、要素としてインスピレーションを受けていることは確かにあると思います。
自然に対するリスペクトと、それを痛めつけ傷つけるテーマを描かれることが多くて、それは「ヒックとドラゴン」の世界にも通ずるテーマです。この物語のなかでもヒックたちは自分たちの生活を守ろうとしますが、ドラゴンたちの自由な生活についても改めて考えるようになります。
前回の来日では宮崎駿監督とジブリのアトリエで1時間ほどお話することができました。僕にとって彼は本当に偉大で「ヒーローに会えた!」と思いました。
ー ほかに好きな日本のアニメ監督や作品はありますか?
高畑勲監督の『火垂るの墓』はアニメーションのテーマとしては深遠で勇敢で、凄いと感じました。また今敏監督の大ファンなので、『東京ゴッドファーザーズ』『パプリカ』が好きです。『パプリカ』は “夢” をテーマにした作品で、あれほど想像力あふれるものはなかったと思います。
あと10代のときに観た大友克洋監督の『AKIRA』は、芸術性と技術のレベルが本当に素晴らしく、初めて観た長編のアニメーション作品だったと記憶しています。
3作で1本の映画
10年制作してきて誇らしい思い
ー『ヒックとドラゴン』は約10年続くシリーズとなりましたが、振り返ってみていかがでしょうか? 思い悩んだことや印象深いエピソードなどあれば教えてください。
10年作品を制作してきて、誇らしい思いとホッとして満足した気持ちであふれています。描こうとしたエンディングを迎えられたと感じています。
10年の間にスタジオも、会社のトップの方々も変わったので、計画通りにならないのでは、それこそシリーズがエンドレスに続いてしまったらどうしようと思ったりもしたけれど、誰もが僕たちのしようとしていること、たとえば3作ものでありながら1本の映画として独立したものにしたいという気持ちを理解しリスペクトしてくれました。
悩んだことは、実は2作目の悪役だったドラゴンが最新作に再び登場する予定でした。悪役のドラゴンは2作目のバトルのあと島に流されて、険悪な関係のドラゴンとふたりになってしまうのです。しかし、島から脱出するために、ふたりは信頼を得て友情を築かなければならない。それを見事達成した彼らは今作で仲間として登場する予定でしたが、カットしなければなりませんでした。
松重豊さんが悪役の声優
見た目もそっくり!
ー 本作に登場する最凶のドラゴンハンター “グリメル” 役の声優を松重豊さんという俳優が務めています。見た目もそっくりだと思うのですが、彼の声の演技はいかがでしたか?
いま初めて写真を拝見しましたが、髪型だったり、お顔の造形含めて、ほんとにハッとするほど似ていますね! キャラクターの絵をとなりに並べて声の演技を見させてもらったときに、完璧なマッチングだなと思いました。演じられていたグリメルは自信にあふれ、ユーモアのセンスもあり、スタイルも自分なりのものを持っていました。
迫力ある映像とストーリー
ファンの期待に応えられれば
ー 前作よりさらに迫力ある映像になっていますが、最新作の制作にあたって、新たな技術「ムーンレイ」を開発したと伺いました。その技術を活用したとっておきのシーンを、魅力とともに教えてください。
カルデラの中で、たくさんのドラゴンたちがナイト・フューリー(トゥース)のもとに集まってくるシーンがいい例だと思います。あれだけのキャラクターを登場させることは今まで無理でしたし、奥行きのある背景をつくり込むこともできませんでした。
「ムーンレイ」によってレンダリングがもの凄いスピードでできるようになり、自然により近い光を表現でき、しかも光源を好きなところに設置できるので、とても洗練された絵になるとともに、好きなだけキャラクターを登場させることができるようになりました。
ー 『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』の日本公開を待ちわびている、日本のファンに向けて一言お願いします。
最終章を日本のみなさんにお届けすることができてワクワクしています。日本はアニメーションを心から愛しているし、豊かなアニメーション文化から世界にインスピレーションを与えてきた国だけに、私たちの作品をみなさんにお見せできることは、とても特別な思いです。
何か心に響くものがあったり、楽しい思いをしていただけたらと思っています。あと、ファンの方々には期待に応えられていれば嬉しいです。
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