ピンチを楽しむソニックを見習いたい
共通点は、“負けず嫌い” なところ
ー 子どもの頃には「ソニック」のゲームで遊んでいたそうですが、映画化についてはどう思いましたか?
ソニックがハリウッドで実写映画化するというのはニュースで知ったんですが、やっぱりすごく嬉しかったですし、あのスピードを実写でどのように表現するんだろうとか、とても楽しみでした。
まさか自分のところにソニックの声優の話が来るとは想像もしていなかったので、話を聞いたときは本当にびっくりしましたね。
【映画紹介・予告動画】ソニック・ザ・ムービー 2020年6月26日(金)全国ロードショー!
ー 中川さんの思う「ソニック」の魅力は? 自分と似ていると思うところはありますか?
ソニックの魅力は、何事にも動じず、いつもひょうひょうとして、余裕のあるところですね。僕は緊張してビビってしまうこともあるので、どんなピンチも楽しもうとするソニックはかっこいい。そこは見習いたいですね。
共通点は “負けず嫌い” なところ。今回の映画でソニックは、地球でやりたいことをリストアップするんです。「バケツリスト」と言ってToDoリストのようなものですが、僕も叶えたいこと、手に入れたいこと、行きたいところはなんとしてでも実現しようと思うタイプなので、そこは同じだと思います。
携帯のメモに、やりたいことだけじゃなくて、やらなきゃいけないこと、行かなきゃいけないところ、いつまでにやらなきゃいけないとか、つい忘れてしまうので、そういうものを全部リストアップして、できたら消しています。
ー 最近は、どんなことを叶えて消しましたか?
毎月定期的にやらなければならない整体や美容室、歯医者さんとか、自分のメンテナンスですね。作品の収録がはじまるとなかなか休みがとれないので、リストアップしておいて、休みがとれたら1日で一気にやってしまいます。中長期的に叶えたいことは、オーロラを見に行くこと。これはいつか実現したいですね。
今まで観たことのないソニックも
細かな心の機微をていねいに表現
ー 今までにもソニックの声はたくさんの方が演じていますが、中川さんはどのように演じようと思いましたか?
映画でしか観られないソニックにしたいと思いました。映画では、多くの人たちが抱いている “かっこよくてクール” なイメージのソニックが大活躍しますが、一方で、ピュアで真っ直ぐで優しい、今まで観たことのないソニックも描かれています。ソニックの細かな心の機微や内面の部分も、ていねいに演じようと思いました。
ー 演じたうえで楽しかったこと、または難しかったところはありますか?
難しいことだらけでした。ソニックは常にテンションが高いし、1日にかなりの長さの収録をしたので、技術的にも体力的にも大変でした。でも楽しかったです。
ー 一人ぼっちのソニックが、一人何役もやる野球のシーンもありますよね。
声を変えないといけないですし、変な音を出したり、ものまねもあって、そこも難しかったですね。
ソニックならではのスピード感ある話し方
でも実は、早口ではないんです
ー ソニックは圧倒的な速さが自慢ですが、中川さんは、この速さ(早さ)なら誰にも負けない、というものはありますか?
う〜ん…何かなぁ。基本、僕は遅いんですよね…。あっ、水を飲むのは早いですね。ペットボトル1本をけっこうなスピードで飲みます。
ー ソニックは走るスピードはもちろん、動きも速いですが、声を入れるにあたって難しかったところ、工夫されたところはありますか?
ソニックのスピード感は話し方にも出ているんですが、ただ単に早口にすればいいということではなくて、というか、すごく早口で話してるように聞こえるんですが、実は意外と早口ではないんです。
ー 確かに、聞き取りづらいとか、聞き取れなかったということはありませんでした。
スピード感を出すには、話し方のリズムが大切なんです。緩急とか抑揚ですね。日本語は英語に比べてリズムが付けづらいんですが、強弱をつけてリズミカルに話すことで、小気味よさというか、爽快感のあるソニックらしい話し方になるんです。軽さにも気をつけました。指導してくださった声優の先生と練習し、演出の方と一緒に、お客さんが気持ちよくソニックのセリフを聴けることを常に意識してつくっていきました。
孤独を感じたとき、友だちがほしいとき
ソニックは、中川大志さんはどうする?
ー 『ソニック・ザ・ムービー』は、子どもと一緒に、親子で観に行って欲しい映画だと思っています。どんなところに注目してほしいですか?
子どもたちには、まずは純粋にソニックを好きになってもらいたいですね。映画のソニックのキャラクターをつくるうえで大切にしているのは、“近所にいそうな、子どもたちが憧れるお兄ちゃん” なんです。なので、子どもたちにかっこいいと思ってもらいたいし、足が速くなりたいと憧れて、真似してほしいですね。
また映画は、ひとりぼっちのソニックに親友ができる話でもあります。ソニックが地球で叶えたいバケツリストの1つは、1人ではなく親友と一緒にやりたいこと、というのもあるんです。親友と一緒だからこそ、その時間がまた別の意味を持つようになるとか、友だちと一緒だからできること、友だちと一緒にやるから変わることもあるということを、子どもたちに感じてもらえたらいいですね。
ー 地球に来たソニックは孤独で、友だちが欲しいと思っていますが、中川さんにはそういう経験はありますか?
自分だけ遊びに誘われなくて、「もしかしたら俺、嫌われているのかな」とか、「仲間外れにされちゃったのかな」とか、今思えばそうではないんだけど、そういうふうに自分が思ってしまった瞬間というのは、子どものときにはありましたね。
ー そのときはどのようにして気持ちの整理をしたり、仲間に入れてもらったりしましたか?
あまり執着しないようにしました。1人なら1人でいいじゃんって。仮に仲間外れにされていたとしても、そこに対しては何も思わない。もちろん最初は寂しいなと思ったり、なんでだろうと思う瞬間もあったと思うけど、新たにまた、友だちや仲間を増やせばいいと考えていました。
ー けっこう達観しているんですね。何かきっかけがあってそういう考えになったんですか?
“負けず嫌い” なので、執着しすぎると負けを認めたことになるような気がして、「勝手にやってればいいじゃん」と思っていたタイプです。実際に仲間外れにされたことはありませんでしたが、小学生、中学生ってやっぱり “つるみたがる” ので、派閥やグループがあったりしますが、そういうのは好きじゃなかったですね。
どのグループに属しているという思いもなかったし、そもそも属したくないタイプです。いっぱいいる中の1人にはなりたくない、小さいときから唯一無二になりたかったんです。それに、いろいろな “ふるい” にかかって、最後に残っているのが1番気があう友だちという考え方でしたね。本当に仲のよい友だちは、自然と残っていくんだと思います。
誰と行っても楽しめる映画
ソニックは裏切らない!
ー 中川さんは10歳のときのスカウトがきっかけで、いま俳優をされています。役者やタレントなど、芸能界で働くことを夢見ているお子さんは、今、どんなことをしたら、その仕事の役に立ちますか?
子どもとして、ちゃんと遊ぶってことですね。自分がおもしろかったこととか、楽しかったこと、人との出会いとか、そういう経験や、そのときの気持ちを覚えておくことが大切で、それがお芝居に生きてくると思います。だから子どものときにしかできないことを、ちゃんとやっておく。特別何かをやる必要はないと思います。
ー 最後に、本作の上映を楽しみにしているファンの方にメッセージをお願いします。
観てください(笑)! 子どもも大人も、どの世代でも、誰と行っても楽しめる映画だと思います。ソニックは裏切りません。楽しみにしていて下さい!
映画『ソニック・ザ・ムービー』は2020年6月26日(金)全国ロードショー!
中川大志(なかがわ たいし)
1998年6月14日生まれ。俳優。2009年にスカウトされ、同年ドラマデビュー。2011年『家政婦のミタ』(日本テレビ系)で注目を集める。数多くのドラマ・映画に出演し、2018年3月公開の映画「坂道のアポロン」、2018年10月公開の主演映画「覚悟はいいかそこの女子。」の演技が高く評価され、第42回日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞。2019年にはNHK連続テレビ小説『なつぞら』、『G線上のあなたと私』(TBS)に出演。今後の活躍が期待されている。
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