2021年6月11日(金)新宿バルト9ほか全国公開!
「映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ」声優・島袋美由利さん、若山詩音さんキャストインタビュー!
本当の試合を観ているかのような臨場感
サッカーを楽しんでいるような感覚にも
ー「映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ」の試写を拝見させていただきました。子どもたちはもちろんですが、自分の努力ではなかなか乗り越えられないことで悩みを抱えている大人も共感できると感じました。完成した映画はご覧になりましたか? どのように感じましたか?
島袋美由利さん(恩田希役)
アニメとはサッカーの描き方が少し違っていると言うか、アニメはカットとカットをつないで組み立てられていますが、映画はワンカット的な感じで、俯瞰で全員の動きがわかるようになっていて、本当に試合を観ているような感覚になりました。
かと思えばそこに恩田希の視点も入ってきて、自分が試合に参加し、実際にサッカーを楽しんでいるような気分にもなりました。
恩田希という女の子の夢、向こう見ずな感じ、猪突猛進だからこそまわりを引っ張っていけるということも感じられて、恩田の良さがとてもよく出ている作品だと思いました。
サッカーをやったことがない方も、こういう感じに見えているんだなという追体験ができるので、そこもおもしろいと思います。
若山詩音さん(越前佐和役)
私はまだ観れていないので、とても気になります。早く観たい!
【映画紹介】映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ 2021年6月11日(金)新宿バルト9ほか全国公開!
中学時代は「何をしていたんだろう?」(島袋)
テスト勉強をとにかくがんばった(若山)
ー 映画は中学時代を舞台にサッカーに情熱を注ぐ熱い物語ですが、中学時代に熱くなったことはありますか?
島袋美由利さん
何かに一生懸命になるってことを全然してこなかったので、いま振り返ると、本当に何をしていたんだろうって(笑)。いまがとても楽しいから忘れちゃっているのかもしれないけど、部活にも入っていなかったし。でも、部活に入って一生懸命に練習しているみんなの姿を見て、かっこいいな、眩しいなって思っていました。だから誰かに勝手に想いを託しているだけの中学時代だったのかもしれないですね。
ー 応援するのが好きな人もいますから、そういう熱中の仕方もありますよね。
島袋美由利さん
運動音痴でスポーツ自体ができないので、みんなに対する憧れというか。いま思うと、がんばれば何かが見えたり、つかめたのかなっていう後悔はありますが、当時は「みんながんばれ!」って思って見ていました。で、ようやく今、好きなことを見つけられたという感じです。
若山詩音さん
私はテスト勉強をがんばった思い出が‥‥(笑)
一同
すご〜い!
若山詩音さん
テスト勉強をとにかくがんばっていて、中学時代のイメージは勉強くらいしか‥‥。
ー 得意科目は何だったんですか?
若山詩音さん
歴史と英語が得意でした。でも他の教科も点数を落としちゃいけないって、そういうのを気にしていたので、通知表のためにも70点以上は全部とらなきゃって思っていました。だからとにかく勉強していたという思い出ですね。ちょっと切羽詰まって苦しかったかな。
‥‥でもいま思うと自分のアイデンティティでもあって、支えられているところもあったから、あながち苦しいだけでもなかったかなって(笑)
声優における男女差
そして、めざすポジション
ー 中学生になった恩田希はサッカーにおいて男性とのフィジカルの差で悩みます。声優というお仕事で、そのような悩みや壁にぶつかったことはありますか?
若山詩音さん
男性との差みたいなものはあまり感じたことはありませんが、他の声優さんを見ていて、越えられていないなと思う部分はあります。
島袋美由利さん
声優というお仕事のフィジカルって “体力” もありますが、各々が持っている “声” だったりもするので、どこのポジションがあうかですよね。
以前は男の子の役は女性がやることが多かったんですが、今は素敵な少年の声の男性もいらっしゃいますし、いろいろな選択肢があって、それは素敵なことだなって思います。だから「クソッ、男のフィジカルがあれば!」みたいなことは感じたことはないですね(笑)。このポジションに行きたい、というのはありますが。
ー めざすポジションはどこですか?
若山詩音さん
ちょっと恥ずかしいですね。でも、ナチュラルなお芝居ならこの人、という代名詞みたいな存在になれたらいいなと思っています。だからどんどん新しいことをやっていかないといけないですね。
島袋美由利さん
私は作品に溶け込めたらいいなって思っていて、最後のエンドロールとかで「この人だったんだ」ってわかっていただけるとか。「作品を楽しんでいたから誰が声をやっているとか気にならなかった」と思っていただけるようになれたらいいなと思っています。
誰にも言わず上京の準備、用意周到な人間なんです(笑)
何かにつながる保証はないけど、自分の精一杯で準備
ー 恩田希は我慢の期間が続きます。お二人にも我慢の期間というものがあったと思いますが、どのように乗り越えましたか?
島袋美由利さん
キッズにはふさわしくない話なんですが、高校を卒業して沖縄から東京に行くことを親にも誰にも相談せずに勝手に決めて、家も探して、すべて整えて後に引けない状態にしてから話したんです。東京で暮らすにはお金も必要だからアルバイトをしてお金も貯めて、その期間がけっこう苦しかったですね。でも地元に留まっていてもいいことはないと思っていたので、それが糧になって、巡り巡ってこうやって今、お仕事につけているので、がんばってよかったのかもしれないなと思っています。
ー 上京まではどれくらいの期間だったんですか?
島袋美由利さん
東京に行こうと決めてからは3ヵ月くらいですね。上京1週間前に、母親に「家出しま〜す」って伝えました。
若山詩音さん
すごい決断力と実行力ですね!?
島袋美由利さん
勢いだけでやっちゃったんです。
若山詩音さん
でも、ちゃんと準備ができるのがすごい!
島袋美由利さん
よく、2万円だけ持ってとか、キャリーバックひとつだけとか、カッコいいなとは思ったんですが、そこまで強くはなれなくて慎重に組み立てました。用意周到な人間なんです(笑)
ー そこまで準備されたら親も反対しづらいですね。
島袋美由利さん
「おお〜」みたいな感じになってました。
ー 若山さんの我慢の期間はどうですか?
若山詩音さん
私はやっぱりオーディションに受からないとき。何につながるかはまったくわからないんですが、とにかく自分の精一杯のことを我慢してやり続けるしかなくて。何かにつながると信じてがんばることで、ひとつお仕事をいただけて、そしてまたひとつ、というふうにつながっていくんじゃないかなと思っています。
ー 精一杯のことって、どのようなことをやるんですか?
最初に立ち返って、発声、滑舌の練習、ボイスサンプルを送る機会をいただけたら、その役についてすごく誠実にひとつひとつ掘り下げて詰めていって、こういう感じだと固めてから、納得いくものがつくれるまで一生懸命考えて、何度でも録音します。
ー 今回のキャラクターを演じるうえでは、どのように役を詰めていきましたか?
若山詩音さん
越前佐和が実際にプレーをしないのは「自信がないから」とお伺いしたのと、佐和は育ちがいいから暴言は吐かないので、それを柱に、「どうしてこんなに人に優しくできるのかな?」「何でこんなにノンちゃん(希)のことを応援できるのかな?」って考えたときに、優しくできるのは彼女の性格で、それこそ育ちがいいから。人に恵まれて育ってきたから人に優しくできるんだろうなって思いました。ノンちゃんに対しては、もう理屈じゃなくて、とにかくノンちゃんのサッカーに惚れ込んだからだろうなって考えました。
島袋美由利さん
恩田希って子は佐和とは逆で、猪突猛進、好きだからやるっていうところがあって、収録前に監督さんが「恩田は天才なんだよ」っておっしゃっていて、“天才” ってどういうところが天才なんだろうって思ったときに、もちろんテクニックもありますが、“好きだから” だけで全力でサッカーにぶつかっていく力、後先考えていないからこそまわりを引きつける力があって、そこも含めて天才って言われる所以なんだろうなって。
中学時代の話は恩田が悶々としている時期なので、その雰囲気を出せればと思って収録に挑んだところ少しウェットになりすぎて、監督に「もっとバカでいい」って言われたので、「何で私はダメなんだろう‥‥」っていう悲観的な感じじゃなくて、「私はできるんだから、(試合に)使ってよ!」という方向で行けばいいのかなって、単細胞的な、勢いで行動するように気をつけていました。
“運” で、今この場所にいる
マイナスでも誰かに記憶される方がいい
ー 声優は小中学生のなりたい職業の3位という結果もあります。子どもたちの憧れのお仕事をされていますが、お二人はどのようにして、その夢を叶えましたか?
島袋美由利さん
私は “運” だと‥‥。温かい方々に恵まれて、運でようやくここに座っているみたいな感覚なんですよね。どう、ですか?
若山詩音さん
私も本当に同じ意見で、ここにいさせていただくのは本当に運だと思っています。ただ運をつかむにも、たぶん下準備が必要なんですよね。ちゃんとそこまで誠実でいて、努力を続けていたり、目標を持ってがんばったりとか、そういうことをしてはじめて運をつかめるんだと思います。
ー 島袋さんは上京されるときには、もう声優をめざしていたんですか?
島袋美由利さん
そのときは、とにかく沖縄を出ることしか考えていなかったですね。東京に来てから「私がやってみたいのはお芝居だ」と思ってお芝居をやってみて、「あっ、声優やってみたい」と思って。そうしたらいろいろな方がオーディションがあるよって教えてくださって。見つけてくれた人がいたから、今があるという感じです。
ちょっと話がそれるかもしれませんが、自分が弱点だと思っていることを、誰かが “おもしろい” って思ってくれることが往々にしてあるので、いま持っているものを大切にしていたら、何かしらチャンスが巡ってくるのかなと思うんですけど、どうかな?
ー 弱点ってどこですか?
島袋美由利さん
挙動がおかしい‥‥というか、まわりをキョロキョロとうかがってしまうクセがあって、オーディションに行ったとき、まわりのみんなのお芝居がすごくておもしろくて、お芝居を楽しもうと思ってキョロキョロしながら「すごい!」って思っていたら、それをおもしろいって注目してくれた方がいて。だから、誰の目にも止まらないよりは、マイナスでも誰かに記憶される方がいいかなって。
青春、仲間、少年漫画的な一直線の良さも!
サッカー好きは必見!
やったことのない人は興味を持つきっかけに!
ー 恩田希は鮫島監督の言葉から自分の目標を見つけます。背中を押してくれた一言はありますか?
若山詩音さん
私はとにかく自信がなくて、今もそうですが、自分には何ができるのか、何もできないんじゃないかって思っていました。でもあるお仕事でご一緒させていただいた演出の方に「技術はまだまだだけど、いいもの持っているよ。磨けば良くなるよ」って言っていただいて。それで「私はこれでいいんだ。私の良さは今この状態のことなんだ」って思えるようになったので、その言葉にはすごく、今も助けてもらっています。
島袋美由利さん
「5年以内にまた会えなかったら、そのときは向いてないから辞めた方がいいと思うよ」っておしゃってくださった方がいて、いま思うと、それかもしれません。また会えたらいいなって、会えるまでがんばろうって思えたのかもしれません。
若山詩音さん
結構強烈な言葉ですね。
島袋美由利さん
愛のある方だとは知っていたので、普段はネガティブに捉えてしまうんですが、この人の言うことならプラスに受け取ってみようと思った言葉だったので、記憶に残っています。
ー それぞれの役から、この映画の見どころを教えてください。
若山詩音さん
佐和の視点は、映画を観ている方に一番近いかなって思っています。希が悶々としている隣で応援することしかできなくて、がんばれと言いつつも、やっぱりちょっと難しいなというのはわかっている立場です。でも最終的には「ノンちゃんはノンちゃんらしくいることが大事!」って気づく。佐和を通して、一緒にノンちゃんを応援してほしいと思います。
島袋美由利さん
男の子の中にひとり女の子が混ざり、フィジカルの差という現実を前に力を発揮させてくれる場所がない。でも恩田は「そんなこと全部どうでもいい!」って跳ねのけていく。「いまこいつらとサッカーがしたい、こいつと戦いたい!」というある種、少年漫画的な一直線の良さもあるし、恩田ががんばっているから試合に出してあげたいと支えてくれる仲間、そしてみんなで何かを成し遂げようとします。
サッカーの映像もめちゃめちゃ臨場感があって本当の試合みたいで、サッカーに興味がある方は絶対に楽しいですし、サッカーってどんなものだろうと思っている人は、サッカーがうまい人の視点で試合を味わえるので、“サッカーってこういうところが楽しいんだ”って、興味を持つきっかけになってくれるかなって思っています。だから、ぜひ観てください!
【映画紹介】映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ 2021年6月11日(金)新宿バルト9ほか全国公開!
島袋美由利さん(恩田希役)
18歳で沖縄から上京後、2017年にアニメ「キラキラ☆プリキュアアラモード」で声優デビュー。主な出演作は「ゆらぎ荘の幽奈さん」(湯ノ花幽奈役)、「はねバド!」(荒垣なぎさ役)、「音楽少女」(具志堅シュープ役)、「はるかなレシーブ」(遠井成美役)など。2021年4月にスタートした恩田希の高校時代を描くテレビアニメ『さよなら私のクラマー』でも恩田希役を務める。
若山詩音さん(越前佐和役)
子役から女優・声優として活動。声優としての主な出演作は「空の青さを知る人よ」(相生あおい役)、「ガンダムビルドダイバーズ Re:RISE」(ムカイ・ヒナタ役)、「SSSS.DYNAZENON」(南夢芽役)など。2021年4月にスタートした恩田希の高校時代を描くテレビアニメ『さよなら私のクラマー』でも越前佐和役を務める。
2021年6月11日(金)新宿バルト9ほか全国公開!
映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ
アニメ、映画、舞台化もされた大人気コミック『四月は君の嘘』の新川直司が描く、新たな “部活” ストーリー。そのフィールドは、女子サッカー! 2021年4月4日(日)よりテレビアニメ『さよなら私のクラマー』がスタートし、主人公・恩田希の高校生編を描く。そして中学生編を描く『映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ』が、2021年6月11日(金)新宿バルト9ほか全国公開!
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