「水木しげるの妖怪百鬼夜行展~お化けたちはこうして生まれた~」が2022年9月4日(日)まで東京シティビューで開催! エントランスは水木しげる氏の妖怪世界を壮大な景色とともに楽しめます
妖怪たちを生み出し、描いた水木しげる氏
妖怪にこだわり続けた理由を探る!
水木しげる生誕100周年を記念した「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展~お化けたちはこうして生まれた~」が、2022年7月8日(金)より東京シティビューで開催! 前日に開催された内覧会に行ってきました!
【イベント紹介】2022年9月4日(日)まで東京シティビューで開催!「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展~お化けたちはこうして生まれた~」
エントランスには「天空の水木しげるロード」が設けられ、水木しげる氏の出身地である鳥取県境港市に並ぶブロンズ像と同じ妖怪たちがお出迎え。写真は砂かけ婆
同展は、水木しげる氏がどのように日本の妖怪たちを生み出し、描いてきたかを、水木しげる氏自身が所蔵する貴重な妖怪関係資料を展示し、水木しげる氏の絵と資料とを見比べながら鑑賞できるほか、「百鬼夜行展」の名にふさわしく、妖怪画を100点以上にわたって一挙公開しています。
スマートフォンにアプリ「ストリートミュージアム」をダウンロードして入れておくと、エントランス内に隠れている妖怪を見つけることができる。正面の大きな垂れ幕にスマホを向けると巨大がしゃどくろが出現! 会場内に隠れている妖怪5体と記念写真が撮れる!
晩年までに1,000点近くの日本の妖怪を描いた水木しげる氏は、『ゲゲゲの鬼太郎』『河童の三平』『悪魔くん』など日本を代表する漫画家である一方、妖怪絵師であり妖怪研究家でもありました。
妖怪について書かれている古い書物や絵巻物、浮世絵などの資料を集め、読み解き、昔の絵師が描いた形ある妖怪はそのデザインを尊重し、民間伝承など文字だけで形のない妖怪は、さまざまなものからヒントをえて姿を与えました。水木しげる氏はそれぞれの妖怪を定義し、日本に “妖怪” という文化を根付かせたのでした。
水木しげる氏の長女である水木プロダクションの原口尚子氏。「水木の妖怪画の原画を展示する展覧会は数多く開かれてきましたが、今回は水木がどのようにして妖怪画を生み出してきたか、どんな流れで仕事をしてきたのかを見られる展覧会で、このようなコンセプトの展覧会ははじめてです」
「水木さんの妖怪画のおもしろいところは、いろいろなものを寄せ集めているところなんです。古い時代の資料や民芸品、お祭りなどで使われていたお面、そして自らの実体験など、研究者の言葉では器用仕事(ブリコラージュ)と言い、神話もそのようにつくられていることが多い」と、本展の監修を務める国際日本文化研究センター名誉教授で妖怪学の第一人者として知られる小松和彦氏。
水木しげる氏とは1984年に初めて会ったという、本展の監修を務める国際日本文化研究センター名誉教授で妖怪学の第一人者として知られる小松和彦氏。「作品を楽しめることはもちろん、妖怪が日本文化にどれだけ大きな役割を果たしてきたか、この展覧会で少しでも表現できていれば嬉しく思います」
水木しげる氏は、なぜこれほどまで妖怪にこだわり続けたのか、幼少期、従軍時代、漫画家時代を通してその理由を探るとともに、水木しげる氏の妖怪世界を、東京シティビューの壮大な景色とともにたっぷりと楽しめます。
内覧会は昼間でしたが、夜になると、よりその世界を楽しめそうです。
「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展~お化けたちはこうして生まれた~」は2022年9月4日(日)まで東京シティビューで開催!
東京シティビューから東京を一望する窓には、日本を代表する妖怪の名前が書かれた72個の提灯が掲げられている。夜になると提灯が灯り怪しげな雰囲気もアップ!
第1章では、幼少期、水木家の近所に住んでいた「のんのんばあ」にお化けや不思議な話を聞いた境港時代、生死を彷徨った従軍時代、貧困の貸本漫画家から一躍人気漫画家となった時代を通して、水木氏が妖怪にこだわり続けた理由の片鱗を探ります
撮影スポットの「塗壁」。水木しげる氏は太平洋戦争でパプアニューギニアのニューブリテン島ラバウルへと送られ、そこで「塗壁」と出会う。日本の妖怪とよく似た不思議な現象を体験するとともに、現地人との交流から大自然に生きる人々の信仰と精霊の世界を知ることになる
鬼太郎の味方、敵になった妖怪について、そのネタについても紹介
第2章では、古書店で購入した鳥山石燕の『百鬼夜行』や柳田國男の『妖怪談義』をはじめとする、水木しげる所蔵の妖怪関連書籍を展示。古書店街を頻繁に訪れていた水木しげるは、そこで民俗学や妖怪に関する書籍を探し、妖怪を描くことにつなげていた。写真は鳥山石燕の『百鬼夜行』
民俗学の柳田國男の『妖怪談義』。水木氏が絵を描いたものには、妖怪名の上に丸印がつけられている
妖怪画には使われていないが、江戸時代の怪談本も所蔵していた。非常に貴重な本だという
水木しげる氏は晩年までに1,000点近くの日本の妖怪を描いた。第3章の「妖怪工房」では、水木しげる氏の妖怪画の創作方法を「絵師たちから継承」「様々な資料から創作」「文字情報から創作」の3つに分けて紹介
水木しげる氏は昔の絵師が描いた妖怪はそのデザインを尊重しており(絵師たちから継承)、昔のものと水木氏の描いた妖怪が見比べられるようになっている。また「水木しげる氏の妖怪画の大きな特徴は、妖怪だけを描いているのではなく、ノスタルジーを感じる農山村の雰囲気のわかる背景をとても細かく描いていること。そこに妖怪を入れることで物語を感じるようになっている。背景がとても大事」と小松和彦氏
「様々な資料から創作」では、民芸品やお祭りなどで使われていたお面などを参考にしていることもある。たとえば鳥取地方の山びこを「呼子(よぶこ)」と言うが、山梨県で妖怪の民芸品を製作・販売していた「みちかた工房」の山びこの人形に拠っている
文字だけで形のない妖怪は、水木しげる氏が工夫してつくっている。水木しげる氏曰く、「祖霊たちが “それでよろしい” という形にした。祖霊たちがイエスかノーかは、イエスの場合は心静かであり、ノーの場合はなんとなくドキドキして落ち着かない」
NHK Eテレ「てれび絵本」より展覧会用に特別に編集された「水木しげるの妖怪えほん」の映像を観られるシアター
第4章は「水木しげるの百鬼夜行」。妖怪画の原画を存分に味わえる
「山」「水」「里」「家」それぞれに棲む妖怪を展示
日本から妖怪がいなくなっていることに憂いていた水木しげる氏。確かに妖怪よりも恐ろしいことがたくさん起きている
グッズも充実。写真は限定10点の「IRIYA ETCHING」。細かな砂をガラス面に吹き付け、手作業で模様を彫り込んでいく「サンドブラストエッチング」で制作
コラボカフェ「妖怪の森 Cafe」もオープン!