史上最大のTARO展「展覧会 岡本太郎」が、2022年10月18日(火)〜12月28日(水)東京都美術館で開催!
岡本太郎の全貌を紹介する
史上最大のTARO展が東京都美術館で開催!
誰もが知る『太陽の塔』を制作した芸術家・岡本太郎(1911年〜96年)の全貌を紹介する史上最大のTARO展「展覧会 岡本太郎」東京展が、2022年10月18日(火)〜12月28日(水)まで東京都美術館で開催! 開催前日に行われたプレス内覧会に行ってきました。
【イベント紹介】2022年10月18日(火)〜12月28日(水)東京都美術館で開催!展覧会 岡本太郎
「展覧会 岡本太郎」は大阪、東京、名古屋を巡回する展覧会で、東京展は、この夏開催され若い方を中心に大いに盛り上がった大阪展に続いての開催。各館の学芸員で構成を変えているためまったく異なる展覧会になっており、大阪展を訪れた方も楽しめるようになっているそう。
岡本太郎作品に自由に出会える場を創出
東京都美術館学芸員の藪前知子氏は東京展について「岡本太郎は常に『現在に自分の作品をどのようにぶつけるか』『現在とどう対峙するか』を考えていた人物のため、基本的に回顧展(特定のアーティストの生涯において制作された作品や活動を総覧する展覧会)がそぐわない。そのため東京展では会場の一番最初(B1フロア)に、初期から晩年までの代表作を、作品の時系列や順路を取り払って展示することで、来場者が岡本太郎の作品に生でぶつかる空間を創出。自分の感性に任せて作品に歩み寄り、作品と出会える場としました」と紹介。
会場入ってすぐのところでは「若い夢」という可愛らしいオブジェがお出迎え。このB1スペースは、来場者が岡本太郎の作品に生でぶつかる空間になっている
手前は1950年の「森の掟」。異質なものを画面に混在させた「対極主義」の代表作。左奥は1978年の「にらめっこ」。創作年は考えずに代表作を展示している
観覧の順路もなく、興味の赴くままに岡本太郎の作品と出会える
両掌をこちら側に向け拒否のポーズをとっている「ノン」(1970年)。フランス語で「ノー」を意味している
東京オリンピックをテーマに、開催された1964年の前年に描かれた作品「飛ぶ」。スポーツをイメージさせる “跳躍” が主題となっている
最近パリで発見された “推定” 岡本太郎作品
「太陽の塔」「明日の神話」のドローイングも展示
B1フロアを岡本太郎作品に自由に出会える場とした一方、1階、2階では第1章から6章という時系列の構成で、パリへ渡った18歳から晩年までを貴重な資料、東京だけの資料を展示しながら、芸術だけでなく、戦後の文化全体に大きな影響を与えた岡本太郎を紹介。特に戦争で消失してしまったパリ時代の作品、最近パリのとあるアトリエで発見された1930年代の岡本太郎の作品と考えられている作品も展示している。
さらに誰もが知る「太陽の塔」、2003年に発見され修復を経て2008年に渋谷駅に設置された「明日の神話」の下絵やドローイングを展示。この2作品は同時進行で制作されており、いずれも当時の制作や修復の様子の映像も観ることができる。
パリで発見された、岡本太郎の作品と考えられている作品3点
パリ時代に描かれた4作品を展示。約40年ぶりにニューヨークから初里帰りした作品も
大阪万博のテーマ館として建てられた高さ70メートルの「太陽の塔」の1/50のサイズの立体作品。大阪万博は「人類の調和と進歩」がテーマ。丹下健三が設計した近代的な大屋根を、岡本太郎は「太陽の塔」で突き破った。科学進歩を象徴するような大屋根に対して、それを突き破る像を建造することで、人間の科学や進歩に対する盲目的な信仰に対してアンチテーゼを突きつけた。万博のテーマに対して自らが一番批評的な立場をとり、岡本太郎の「常に挑み続ける姿勢」を象徴する作品
「太陽の塔」の構想スケッチ
「明日の神話」は、メキシコのホテルのために制作された幅30メートルもある作品。長らく所在不明になっていたが2003年に発見され、修復を経て2008年に渋谷駅のコンコースに設置された。展示されているものは幅11メートルの下絵。「明日の神話」は原爆や水爆、第五福竜丸の事件など、岡本太郎の作品の中で繰り返し描かれてきた人間の進歩に対する警鐘が描かれている。しかしその悲劇を超えて生まれ変わる、人類が新しい力を得るというメッセージも込められている
「明日の神話」のドローイング。「明日の神話」は原爆が炸裂する瞬間を描いている。モノクロのドローイングからもその悲劇が伝わってくる
最後の作品「雷人」、墓碑「午後の日」
岡本太郎を体感できる展覧会
絵画、立体、パブリックアート、そして生活用品まで、強烈なインパクトあるさまざまな作品を生み出した岡本太郎。晩年は特にパブリックアートがメインとなり、亡くなる直前まで絵を描いていたそう。
どの作品にも社会や人間に対する岡本太郎らしいアンチテーゼやメッセージが込められているとともに、すべてに通底する「対極主義」、世の中に存在する対立や矛盾を強調し、その不協和音の中から新たな創造を生み出すという岡本太郎の考え方を、さまざまな作品を通して体感できる展覧会です。
「展覧会 岡本太郎」東京展は2022年12月28日(水)まで東京都美術館で開催!
岡本太郎が最後に取り組んだとされる作品「雷人」(1995年 未完)。晩年になっても衰えない力や激しさを感じられる
多摩霊園に眠る岡本太郎の墓碑になっている「午後の日」。子どもの笑顔に見える一方、真ん中から自らを2つに引き裂いているようにも見える。また仮面と考えると、背後にある本当の顔を隠しているようにも捉えることができ、複合的なイメージを持つ岡本太郎の自画像のような作品
1954年のビキニ環礁の水爆実験で第五福竜丸が被爆した事件をもとに描かれた「燃える人」(1995年)
「燃える人」のドローイング
岡本太郎唯一と思われる自画像。1950年前後の頃と思われる作品。人に見せるつもりはなく書かれたものと考えられている
1951年に東京国立博物館で縄文土器と出会った岡本太郎は、その造形に侘び寂びだけではない、人間の根源的かつ土着的な欲求に出会う。写真は「縄文人」(1982年)
「ウルトラマン」よりも10年ほど早い1956年、岡本太郎は怪獣やロボットのデザインを行なっていたが、実現しなかったのであまり知られていない。写真は空想科学映画『宇宙人地球に現る』の脚本。岡本太郎は色彩指導と宇宙船、宇宙人「パイラ人」のデザインを担当した。東京展だけの展示
読売新聞1957年元旦号のための描き下ろしイラストレーション
「怪人ラプラス出現」の脚本とロボットのデザインのドローイング
イスやスカーフなどを展示。どの作品にも岡本太郎らしいメッセージが込められている