『ブラック・ジャック』のすべてが集結!
ブラック・ジャック史上最大規模の展覧会!
手塚治虫先生の代表作のひとつ『ブラック・ジャック』の連載50周年を記念した「手塚治虫 ブラック・ジャック展」が、2023年10月6日(金)から東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)で開催! 小学生の頃から読み続けている『ブラック・ジャック』の展覧会、はやる気持ちを抑え、開催前日に行われた内覧会に行ってきました!
【イベント情報】手塚治虫 ブラック・ジャック展 2023年10月6日(金)〜11月6日(月)東京シティビューで開催!
200以上のエピソードの直筆原稿を展示
ピノコのエピソードもたくさん!
「手塚治虫 ブラック・ジャック展」では500点以上の原稿に加え、連載当時の『週刊少年チャンピオン』や1970年代に発表された200以上のエピソードの直筆原稿が展示され『ブラック・ジャック』史上最大規模の展覧会となっています。
メインとなる「B・J 曼荼羅」のコーナーでは、「命 vs 金」「人でないものの命」「スターシステムの中の名演技」「人体の神秘」「私が愛した医師」「ピノコがいっぱい」など、『ブラック・ジャック』の作品をさまざまなテーマにわけて展示。同じテーマの作品でも多種多様でひとつとして似たエピソードがないどころか、今でも、何度読んでも新しさを感じさせ、改めて手塚治虫先生の発想の豊さ、奥深さに驚かされます。
ファンならどのエピソードもすでに何度も読んでいると思いますが、それを手塚治虫先生の原画で読めるのはなんとも贅沢。先生直筆であろう文字、修正液の跡などなど、原画にしかない痕跡からは、真摯に原稿に向かっていた手塚先生の息吹さえ感じられます。
そして、もし手塚治虫先生がご存命だったら、どのような『ブラック・ジャック』を、どのような未来を描くのか、先生がマンガを通して伝えてきた問題提起の多くは今だ残ったまま、叶わぬ夢ですが、読みたいと思わずにいられませんでした。
ブラック・ジャックは “命のマンガ”
子どもたちにはぜひ一度読んでほしい
『ブラック・ジャック』は医師免許を持っていた手塚治虫先生が真剣に命と向きあい、命とは何か、人間とは何かを問うた作品。小学生のときに『ブラック・ジャック』という作品に出会い、ブラック・ジャックでさえ救えない命があること、自然を前にしたときの人間の無力さ、そして人間の汚い部分や愚かさに触れ、子ども心にも切なさややりきれなさを感じました。しかし、子どもの頃に感じたからこそ、心の奥にずっと残っているのだと思います。“優しさ” や “粋なお金の使い方” も、ブラック・ジャックから学んだ気がします。お金の使い方は、なかなか真似できませんが。
『ブラック・ジャック』を読んだことがないというお子さんはアニメから入ってもいいかもしれません。手塚プロダクション公式チャンネル(YouTube)で観られます。
手塚プロダクション公式チャンネル
https://www.youtube.com/@tezukaproductions
そしてアニメがおもしろかったらマンガを読み、ぜひ「手塚治虫 ブラック・ジャック展」で原画も見てみてください。手塚治虫先生とブラック・ジャックの生き様からは、きっと得るものがあると思いますし、やはり何よりおもしろい!
会場最後の「カミカイ(神回)」コーナーでは、3本の作品を紹介しています。そのうちのひとつは手塚治虫先生のお気に入りの作品。どれかわかりますか?
「手塚治虫 ブラック・ジャック展」は2023年11月6日(月)まで東京シティビューで開催!
なお「手塚治虫 ブラック・ジャック展」の隣では「北斗の拳40周年大原画展 ~愛をとりもどせ!! ~」を開催! ジャンル、絵のタッチなどはまったく異なりますが、どちらも長い間多くの方に愛され続けている作品。この機会に、ぜひどちらも楽しんでください!
【関連ページ】手塚治虫が漫画を通して、子どもたちへ伝え続けたメッセージ(株式会社手塚プロダクション代表取締役社長 松谷孝征さんインタビュー)
【関連映画】火の鳥 エデンの花 2023年11月3日(祝・金)全国ロードショー!
トークイベントに手塚眞氏が登場!
子どもたちにおすすめの手塚漫画は?
内覧会当日はゲストに手塚治虫先生の長男でヴィジュアリストの手塚眞さん、アーティスト・デザイナーの長谷川愛さんを迎え、ファシリテーターを宮田裕章さんが務めるトークイベントが開催。
手塚眞さんは「『ブラック・ジャック』で印象的なエピソードは?」という宮田裕章さんの質問に、240話以上あるのでひとつには絞れないとしながらも、本展で原画を展示している「浦島太郎」をあげてくれました。50年以上植物状態の男性を手術して意識が回復するも急速に肉体が衰え老衰で亡くなり、ブラック・ジャック、ドクター・キリコとも落ち込むというお話。手塚眞さんは「手塚漫画に通底しているのは “自然”。自然の上に人間なり命があるという考えで、自然には逆らえないんです」。
アーティスト・デザイナーの長谷川愛さんは、どちらも動物が出てくる「シャチの唄」と「ナダレ」。「特に『ナダレ』は人間によって改造されてしまった鹿のお話で、まさに “スペキュラティヴデザイン”※だなと思っていて、こういうことができたらどうなるか、たくさん議論ができると感じています」。
※スペキュラティヴデザイン:未来について考えるきっかけを提供することを目的とした “問題を提起するデザイン”。
「『ブラック・ジャック』は連載開始から50年も経っているので、現実世界ですでに克服された病気はありますが、生命倫理、動物倫理、ジェンダーなど、手塚先生が突きつけた課題は今なお残っていますね」と宮田裕章さん。
子どもたちにおすすめの手塚作品については、「おすすめは『火の鳥』だけど、これからますますAIの世界になるので『鉄腕アトム』を読むのもいいですね。100話以上ありますし、子どもの視点に寄り添って描いています」と手塚眞さん。「『ブラック・ジャック』も50年を機にもう一度読んでほしい。その時代時代、そして読む人の年齢で異なるものが見えてきます。そして答えは、その都度、みなさんの中に生まれると思います」。
※手塚治虫の塚は旧字体が正式表記です。
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