「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」が、2025年4月6日(日)まで森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ)で開催!
さまざまな視点からエジプトをわかりやすく紹介
三千年の謎を掘り起こし、エジプトの文明を体感!
米国でも指折りのクオリティと点数を誇る「ブルックリン博物館」の古代エジプトコレクションから選りすぐりの名品群約150点が東京・六本木に集結!「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」が、2025年1月25日(土)~4月6日(日)まで森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ)で開催! 開催前日に行われた内覧会に行ってきました!
エジプトと言えばピラミッドやツタンカーメンなどファラオの偉業に焦点があてられますが、「特別展 古代エジプト」では、古代エジプト人の「日常生活」、クフ王などの「ファラオの偉業」、そしてミイラなどの「葬送文化」の3つにステージにわけ、さまざまな視点からエジプトをわかりやすく説明しています。
【イベント紹介】2025年1月25日(土)~4月6日(日)森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ)で開催! ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト
「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」を監修したエジプト考古学者/名古屋大学 デジタル人文社会科学研究推進センター教授 河江肖剰(かわえゆきのり)先生が登場! いま注目を集める気鋭のエジプト考古学者です。第1ステージの最初の大きなスクリーンで河江肖剰先生が古代エジプトについて説明をしているので、それを観てから先に進もう!
会場入口には『ジュニアガイド 古代エジプト展のサバイバル』という冊子が置いてあります。「科学漫画サバイバル」シリーズでお馴染みの3人が古代エジプトの秘密に迫るというもので、これを読めば子どもたちも「特別展 古代エジプト」をより楽しめそう!
今と変わらぬところも多い
古代エジプト文明の日常生活
最初のステージでは古代エジプト人の日常生活が垣間見える作品の数々を展示。そこから彼らの居住環境、食生活、仕事事情、身だしなみ、出産や子育てに関する考え方を知ることができます。
化粧や服装でおしゃれをしたり、出産や子育ての不安・心配は当時も今も同じだということがよくわかります。当時の平均寿命は29歳〜33歳だったそうだが、女性は出産によりさらに短かったそう。河江肖剰(かわえゆきのり)先生も「1番目のステージで古代エジプト人に対する親近感を感じていただきつつ、2番目のステージのファラオの偉業を体感していただきたいと思います」とおっしゃっていたように、現在を生きる私たちと日常生活における考えなどは大きくは変わらないんだなと、古代エジプト人を身近に感じるはずです。
「動物文の壺」(先王朝時代)。ワニやヘビが描かれ、これらは古代エジプト人が目にした中でもっとも危険な存在を象徴する動物。動物の危険から身を守るため、もしくはその力を壺に宿すために描かれたのかもしれない
「貴族の男性のレリーフ」(新王朝時代)。名前も職業も不明だが、新王朝時代のエリート層の墓から出土し、高貴な衣装をまとっていることから貴族と考えられている。アクエンアテン王が主導した優美で写実的な芸術様式が見てとれる
「歩く男性の小像」(古王国時代・第6王朝後期)
作品の解説には、河江肖剰先生の「河江Point!」が付けられているものがあります。「歩く男性の小像」の説明にも「河江Point!」がありました
古代エジプト人の日常がわかるさまざまな作品、テーブルや木の枕、魔除けの護符などが展示。古代エジプト人は地面にしゃがんで食事をしていたことから、テーブルは余剰の食べ物が置かれていた、もしくは祭壇として使われてのかもしれない。木の枕には守護神が彫られ眠っている人を守っている
「授乳をする女性の像」(中王朝時代・第12〜13王朝初期)。母乳がよく出るよう神にお願いした奉納品だったのかもしれない
「出産の神タウェレトの護符」(新王朝時代・第18王朝初期)。タウェレトはカバの頭と胴体、ライオンの脚を持ち、様式化されたワニが背に垂れ下がって姿をした女神。このような恐ろしい姿には、か弱いものを脅かす邪悪な力を退ける意味がある。女性や赤ん坊の出産中や出産直後の安全を願った。高さ3.2センチととても小さい
「沼地の光景のレリーフ」(古王国時代・第5〜6王朝)。古代エジプト人にとっての沼地は肥沃、豊かさ、創造と結びつく象徴的な存在で、墓の装飾のモチーフにもなった。この作品には多くの魚に囲まれた小舟により “豊かな恵み” を表すとともに、カバの脅威も描かれている
古代エジプトについてみんながちょっと疑問に思っていることについて「トリビア」のパネルで紹介。「へぇ〜」と感じものがたくさんあっておもしろい
河江肖剰先生の発掘七つ道具を公開!
宇宙線でピラミッドを透視!?
なお1番目と2番目のステージの間には、河江肖剰先生が20年以上にわたって調査をしてきたピラミッドの最新の調査結果をまとめたコーナーがあり、河江先生の発掘七つ道具や、「ワールドスキャンプロジェクト」という名古屋大学との共同研究により普段は見ることのできないピラミッド内部の貴重な映像、リアルな3Dデータと最新の解析によって明らかになった新発見や謎を紹介しています。
さらに最近ではさまざまな新しい技術を用いた研究・調査が行われており、それらも紹介されています。たとえば名古屋大学の森島邦博先生は宇宙から降り注ぐ素粒子「ミューオン」を用いてピラミッド内部を透視することで “未知の空間” を発見してます。
“未知の空間” については多くの研究者が存在すると考えていましたが、それが科学的に検出され、また誰も想像していなかった場所で大きさであったことが大きな驚きをもたらしました。この空間の目的は今のところ謎ですが、今後の研究でさらに驚く大発見があるかもしれません。
河江肖剰先生が発掘現場で使う七つ道具を紹介。「(記録用の)野帳」「コテ・刷毛」「方位矢印とスケール」「コンベックス(測量用の巻尺)」「レザーマン(万能ナイフ)」「カメラ」、そしてそれらを収納する「カバン」
河江肖剰先生が実際に記録を付けた野帳も展示!
名古屋大学との共同調査「ワールドスキャンプロジェクト」にてエジプトで測量した精巧な解析データと実写映像を織り交ぜた大迫力のピラミッド調査映像を観ることができる
大ピラミッドの東の北東の角の下にある石の実物大の写真。「これがひとつの石の大きさなので(高さ1.5メートル)、実際のピラミッドの大きさを感じられると思います。クフ王の大ピラミッドは137メートルほどですが、この石が上まで積みあがっている形になります」と河江肖剰先生
2人の王にまつわる作品を紹介
クフ王の彫像も展示!?
2番目のステージでは、クフ王やラメセス2世など、先王朝時代からプトレマイオス朝時代まで、3000年の王朝史を通じて活躍した12人の王にまつわる作品を紹介しながら王の姿と王朝の変遷を辿っています。また最新研究をもとに、巨大ピラミッドの建築方法や建てられた当時の姿を解き明かしています。
特に河江肖剰先生も「一番楽しみにしていた」という、クフ王ではないかと考えらている『王の頭部』は必見! クフ王の彫像は極めて少なく、現在のところアビュドス出土の象牙製の7.5センチほどの小さなものしかないのです。
2番目のステージでは、3000年の王朝史を通じて活躍した12人の王にまつわる作品を紹介
「私自身一番楽しみにしていたのが、この古代エジプトの「王の頭部」。この人物はギザの大ピラミッドをつくったクフ王ではないかと言われています。あるいは、クフ王のおじいさんにあたるフニと呼ばれる王ではないかと考えられています。40年ほど前に日本に来たことがあり、実に約半世紀ぶりに戻ってきました」と河江肖剰先生
「王の頭部」(古王国時代・第3王朝後期〜第4王朝初期)。クフ王の彫像はアビュドス出土の象牙製の7.5センチほどの小さなもののみ。クフ王だと考えられているものは、ドイツとスペインにある数センチの頭部と、ブルックリン博物館収蔵の、この作品の2点
「クフ王の名前が彫られた指輪」(末期王朝時代・第26〜27王朝)。ギザの大ピラミッドを建造した第4王朝クフ王の名前が刻まれていることから、当初はクフ王が着けていたと考えられていたが、銘文にはこの指輪の主が神官のネフィルイブラーと記されていた。ネフィルイブラーが生きていた時代はクフ王の2000年後、クフ王とその建造物の影響がいかに長続きしたかがうかがえる
古代エジプト人の死生観に迫る!
会場には古代エジプト語の音声が流れる
最後のステージはミイラのステージ、古代エジプト人の死生観に迫っています。古代エジプトでは、人は死後、来世で復活し永遠の命を得ることができると信じられ、そのためにミイラをつくり、来世での生活に困らないようさまざまな副葬品とともに埋葬しました。葬送文化がどういったものなのかを説明しています。
また、おそらく世界初になると思われますが、ヒエログリフという古代エジプト語がどのように発音されていたのか、現存最古の葬送文書「ピラミッド・テキスト」を古代エジプト語で読み上げる音声が会場に流れています。ヒエログリフは基本的には子音しか表記されず、発音についてはベールに包まれていました。
「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」では、エジプトの全時代を通して、さまざまな視点でエジプトをわかりやすく説明、三千年の謎を掘り起こし、知への探求心を呼び覚ましてくれます。そしてそれらを通して、エジプトの文明を感じることができます。
「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」は、2025年1月25日(土)~4月6日(日)まで森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ)で開催!
【イベント紹介】2025年1月25日(土)~4月6日(日)森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ)で開催! ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト
アニメーションでミイラの作り方をわかりやすく紹介
「カノプス壺と蓋」(末期王朝時代・第26王朝)。「カノプス壺」はミイラを作る際に死者から取り出した臓器を入れる容器で、伝統的なミイラ作りでは、もっとも重要とされる4つの臓器を防腐処理してカノプス壺に入れた。壺の蓋は4柱の神の頭部を形どり、ジャッカルは胃を守るドゥアムトエフ、ヒヒは肺を守るハピ、人間は肝臓を守るイムセティ、ハヤブサは腸を守るケベフセヌエフを象徴している
「冥界の神々のレリーフ」(新王国時代・第18王朝後期〜第19王朝初期)。『死者の書』の第145章にある、冥界の第4の門と第6の門の前に死者がいる場面を表し、死者が門に近づく際に唱えなければならない呪文が刻まれている
最後のステージは古代エジプト人の死生観に迫る「ミイラのステージ」
「<家の女主人>ウェレトワハセトの棺と内部のカルトナージュ」(新王国時代・第19王朝)。ウェレトワハセトが生前に着ていた衣服をまとった姿の棺。来世で再生するには一度男性化が必要とされていたため、棺蓋は死者を男性のオリシス神として表現するのが一般的だったため、女性の姿で描かれたこの棺は珍しい
「トトイルディスの木棺」(末期王朝時代・第26王朝)。この木棺はミイラを保護するとともに、死後の願いを図表に表している
「神官ホル(ホルス)のカルトナージュとミイラ」(第3中間期・第25王朝後期)。「カルトナージュ」とは亜麻布やパピルスを漆喰で固めて何層にも重ねた素材で、ミイラを納めるもの。墓の面積が限られ、木製の棺の再利用が日常化した混乱の時代に普及した。このカルトナージュ棺には、ミイラとなった試写を守り、霊魂の復活を助ける神々が大勢描かれている
「パディアンプウの石棺の蓋」(プトレマイオス朝時代)。来世での永続的な保護を確実にしたいという願いから、棺は木製から石製へと変化した。この棺の蓋の主であるパディアンプウは、ギリシャではアヌビスとして知られるアンプウ神の信仰に携わる書記で、ハトホル女神の祭祀の神官も務めていた
筑波大学准教授/エジプト学・コプト学博士(ゲッティンゲン大学)の宮川創先生が、現存最古の葬送文書とも言われる『ピラミッド・テキスト』を、当時の人々が話していたであろう古代エジプト語の発音によって再現した音声が会場に流れています。まるでお経を唱えているような音声。おそらくファラオもこのような言葉を聞きながら葬儀をしていたのでしょう
会期中にはコラボカフェ「特別展 古代エジプトカフェ」もオープン!
スコップ型のスプーンで、砂漠からスフィンクスを発掘できるパフェも!