
本展の目玉、ラムセス大王(ラムセス2世)のミイラが入っていた棺
太陽神アメン・ラーとならぶ
エジプト史上 “最強のファラオ” の展覧会
エジプト史上 “最強のファラオ” と称されるラムセス大王(ラムセス2世)と、その時代にまつわるエジプトの至宝を展示する特別展「ACN ラムセス大王展 ファラオたちの黄金」(以下、「ラムセス大王展」)が、2025年3月8日(土)から「ラムセス・ミュージアムat CREVIA BASE Tokyo」で開催! 前日に開催された内覧会に行ってきました!

会場入ってすぐのところに現れる、ラムセス2世の巨像の頭部。1888年にメンフィスのプタハ神殿で発見された、ピンク花崗岩でできた巨大な頭部。プタハとは創造神であり、ラムセス2世の治世下で特に重要視された鍛冶や職人の守護神のこと。頭には上エジプトの支配者であることを象徴する白冠をかぶり、偽髭をたくわえ、その凛とした表情となめらかな曲線は、きわめて威厳のある王としての姿を醸し出している。この作品がエジプト国外で展示されるのは本巡回展が初めて
ラムセス大王(ラムセス2世/紀元前1303年頃〜紀元前1213年頃)は今から3300年前に生きた人物で、異民族とのいくつもの戦いを乗り越え王国の領土を確固たるものとし、古代エジプト史上もっとも長い67年間もの間エジプトを統治しました。当時の平均年齢が40歳を下まわるなか92歳まで生きたとされ、エジプトでは「もっとも偉大な王」と称され、その存在は太陽神アメン・ラーとならぶ神として崇められました。
さらにアブ・シンベル神殿を代表とする多数の建築物、遺物を残しており、今なお多くの遺跡でラムセス2世の名前を見つけることができます。現在、世界各国からエジプト観光に大勢が訪れますが、その魅力をつくりあげたのがラムセス2世なのです。
【イベント紹介】ACN ラムセス大王展 ファラオたちの黄金 2025年9月7日(日)までラムセス・ミュージアム(東京・豊洲市場前)で開催!

吉村作治先生の右腕として長年吉村チームのエジプト発掘調査に加わり、独自の視点と切り口で今後の日本のエジプト考古学を担う新進気鋭のエジプト考古学者・矢澤健氏(東日本国際大学 エジプト考古学研究所客員教授)が会場を案内、解説してくれました
しかし、クフ王、ツタンカーメン、クレオパトラに比べると日本での認知度はあまり高くありません。その理由はクフ王なら世界最大のピラミッド、ツタンカーメンは黄金のマスクや黄金の財宝、クレオパトラなら絶世の美女など誰もが知っている二つ名がありますが、ラムセス2世にそれがなく、スポットがあたりづらかったから。しかし、この「ラムセス大王展」をきっかけに日本での認知度もアップするかもしれません。
なおクフ王は紀元前2500年頃、ラムセス2世は紀元前1300年頃なので、ラムセス2世もクフ王のピラミッドを見ていたことになります。ラムセス2世の時代は王が巨大なピラミッドをつくるという習慣はなくなっていたそうですが、どのような気持ちでクフ王のピラミッドを見ていたのでしょうか。
ラムセス2世は偉大さは今なお多くのエジプトの人には伝わっています。エジプトの首都カイロで一番重要な駅は「ラムセス中央駅」、そこには以前、大きなラムセス2世の彫像が建っていました。今その彫像は2025年7月にオープンする「大エジプト博物館」に展示されています。
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ラムセス2世の棺が初来日!
本物が持っているパワーを体感!
「ラムセス大王展」では、ラムセス2世の功績や実像をさまざまなテーマに分けて紹介。さらに3000年以上前の古代エジプト新王国時代(紀元前1539年〜紀元前1075年)に由来する180点もの貴重な遺物や華麗な黄金の工芸品の実物を展示しています。
中でも一番の目玉はラムセス2世のミイラが入っていた棺。歴史的価値を持つ文化遺産で、蓋と棺本体がそろった状態で来日するのは初めてとなります※。ツタンカーメン以外のファラオの棺はほとんど残っておらず、日本で見られる機会はなかなかありません。
※棺の蓋のみは過去に日本で展示されています。
子どもにとっては少々難しい展覧会なので内覧会で解説をしてくださった東日本国際大学 エジプト考古学研究所客員教授の矢澤健氏に「ラムセス大王展」を子どもと楽しむポイントをお伺いすると「本物が持っている力はすごい。本物が持っているパワーと言いますか、そういったものを感じることがとても大事な体験になるんじゃないかと思います。また普段の生活とはまったく異なるものが溢れているので、そういったものを感じるというのも子どもにとってはとても大きなことだと思います」。
ラムセス2世は幾多の戦いに勝利し、宮殿や神殿などの大規模な建築事業や公共事業も成し遂げた古代エジプト人で唯一「大王」と呼ばれた超人的な人物。「ラムセス大王展」は、その大王の木棺をはじめ、高価な宝石、荘厳な王のマスク、精巧なお守りなど、エジプト国外に出たことのない唯一無二の遺物を見られる貴重な機会です。
特別展「ACN ラムセス大王展 ファラオたちの黄金」は、2025年9月7日(日)まで「ラムセス・ミュージアムat CREVIA BASE Tokyo」(東京・豊洲市場前)で開催!

ラムセス2世の名が刻まれたオベリスクの上部。自身がつくった建造物や像はもちろん、そうでないところにも至る所に自分の名を刻み所有権を主張したラムセス2世。ラムセス2世ほど多くの名を刻んだファラオはいない

ひざまずき、自分の名前の判じ絵を捧げるラムセス像。新王国時代に登場したこのタイプの像は、王の儀式を聖化する役割を果たしていた。神殿で見つかったこの彫像には、ラムセス2世が小さなナオス(祠堂)を持ち、その上方にアメン神、ラー・ホルアクティ(ハヤブサの姿の太陽神ラー)、そして子どもと思しき絵が描かれている。また、足元のヒエログリフには「ラムセス、アメンから愛されし者」と書かれている。この作品がエジプト国外で展示されるのは本巡回展が初めて

雄羊の頭を拝した器を捧げるスフィンクスとラムセス2世像。ラムセス2世の絶対的な権力と神への深い信仰心が凝縮された像

「アブ・シンベル神殿」の模型。実物はとても巨大な建造物で、太陽神ラー・ホルアクティと、神としてのラムセス2世自身に捧げられたもの。神殿の中央回廊は入口から至聖所まで約60メートル伸びており、奥の部屋には神様の像が3つとラムセス2世の像があり、春分と秋分の日だけ太陽の光が像にあたるように設計されている。なおVRコンテンツの中でこの中を体験できます

ヘカ笏(しゃく)を手にしたラムセス2世像の上部。公式の肖像で、理想化された若きファラオの姿を表している。ウラエウス(守護女神ウアジェトを表すコブラ)が配された王冠を被り、王権の象徴であるヘカ笏を手にしている

彩色レリーフ石材。中央の石材には、エジプトの宿敵であるシリア人、ヌビア人、リビア人の3人を成敗するために斧を手にしたラムセス2世が描かれている

ラムセス大王(ラムセス2世)のミイラが入っていた棺。最高品質のレバノンスギでつくられたもので、この棺には下地が塗られ金箔が施され、宝石やガラスがはめ込まれていた可能性がある

80歳ごろのラムセス2世の復元

ラムセス2世のミイラが映像で見られる

ラムセス2世の巨像の上部。両手にメケス(パピルスの巻物を入れるための書類ケース)を握りしめて立つラムセス2世を表している。ネメス(王のみが着用する縞模様の頭巾)をかぶり、付け髭をたくわえ、プリーツスカートをはくためのベルトには短剣が差し込まれている。この像により、偉大なファラオとしてのラムセス2世のイメージは不朽のものとなった。この作品がエジプト国外で展示されるのは本巡回展が初めて

魅力的な商品がたくさん置かれたショップ。奥には「バーチャル・リアリティー(VR)体験」の入口が

ラムセス大王が建設に関わったもっとも有名な建造物「アブ・シンベル神殿」を最新技術で再現し、ラムセス大王とその妻ネフェルタリと出会える没入型VR体験『オシリスの旅』。ネフェルタリが愛する夫のもとへ向かう来世への旅に来場者を連れていくストーリーで、ネフェルタリはこの旅の中でラムセス大王が「将軍」「建築家」「古代エジプトの宗教の守護者」としてエジプトをどのように変革したかを語ります。8歳以上がおすすめ ※このVR体験は入場料とは別に料金が必要です
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