「YUKA」はもちろん、
ケサイ「コリマ」の冷凍標本も超貴重!
長い鼻など、やわらかい肉の部分まで、まさに奇跡的にほぼ完全な状態で残っているのが、今回世界に先駆けて一般公開される少女マンモス「YUKA(ユカ)」。2010年にシベリアの永久凍土から発見された3万9,000年前のメスのマンモスで、推定年齢10歳、体長は約3メートル。足や尾部分には体毛も残っており、展示されているその姿から、まさに“今にも動き出しそう”です。
YUKAの他にも、マンモスと同時代に生息した絶滅動物で、これまで壁画や骨格標本でしか確認できなかったケサイ(サイの一種)の大型冷凍標本も展示。YUKAと同じく約3万9,000年前のメスのケサイで、名前は「KOLYMA(コリマ)」。推定年齢20歳。
実はこのKOLYMA、とても珍しのです。展示されている状態からは見えませんが、胴体の内側に背骨と肋骨がしっかり残っているため、この体の丸みは、生きていたときとほとんど変わらない、ケサイそのものの形なのです。YUKAは発見したときには体に裂け目があり、内臓や肋骨、頭骨、下あごは抜け落ちていたため、生きていたときの体の形はわかりませんでした。ケサイはマンモスとは異なり群れをつくらない動物で、数もマンモスよりも少ないため、KOLYMAの標本は、YUKA同様、とても貴重なものなのです。
マンモスの生態は、今のゾウを手がかりに探る!
マンモスというととても大きいイメージがあると思います。YUKAはまだ子どものため小さいのですが、実はYUKAの属する「ケマンモス」は、それほど大きくなく、今のアジアゾウより少し小さいくらい。
本展ではアフリカゾウ、アジアゾウ、そして絶滅したナウマンゾウ、ケマンモスを比較し、今のゾウをヒントにケマンモスの生態を探っています。マンモスのように大昔に滅びた動物のことを知るには、まずは今生きている、よく似た動物のことを調べる必要があるそうです。ゾウの祖先は2,300万年以上前の「メリテリウム」という、小さなカバのような生き物で、鼻も長くありませんでした。それがなぜ鼻が長く進化したのか、そしてなぜあんなにも頭が巨大なのかなど、動物の体の特徴の理由もよくわかるようになっています。
4万年ほど前になると、ホモ・サピエンス(新人)はシベリアでも生活するようになり、マンモスと同じ時代を生きていました。新人はマンモスを狩猟し食料とするだけではなく、あらゆる部位を生活に利用し、その様子は壁画や、骨でつくられたヴィーナス像などの装飾品、マンモスの骨や牙と動物の皮でつくった家などから伺い知ることができます。マンモスとともに我々の祖先が生きていたというのが実感としてわかるようで、不思議な気持ちにさせてくれます。
壁画やヴィーナス像などの芸術性を感じさせるものはネアンデルタール人の時代にはほとんどなく、私たちの祖先となるホモ・サピエンス(新人)の時代になってから多数発見されているというのも、人類の知性の進化の過程がわかりとても興味深い。人間の形をした装飾品などはほとんが女性を象ったものというのも、やはり子どもを産み育てる女性の神秘性や豊かさの象徴なのでしょうか。
世界に先駆けて一般公開される「YUKA」「KOLYMA」はもちろん、マンモスが生きていた時代、人類との共生やその時代の文化や人類の進化など、見所満載のこの特別展、この夏ぜひ訪れたいイベントのひとつです!
『特別展マンモス「YUKA」〜シベリアの永久凍土から現れた少女マンモス〜』は、2013年9月16日(月・祝)までパシフィコ横浜にて開催!
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【開催概要】企画展「マンモス展」-その『生命』は蘇るのか- 2019年6月7日(金)〜11月4日(月・休)まで日本科学未来館で開催!
【インタビュー!】企画展「マンモス展」-その『生命』は蘇るのか- 古生物学監修、野尻湖ナウマンゾウ博物館 館長 近藤洋一先生インタビュー!「マンモス展」の見どころ、マンモス絶滅の原因とは!
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