7つのキーワードと最重要標本から、恐竜研究の最先端の成果を紹介!
「恐竜博 2016」は「起源」「植物食」「飛翔」「水中進出」「赤ちゃん」「恒温」「鳴き声」という7つのキーワードを通して恐竜研究の最先端の成果と最重要標本を多くの方に親しんでもらおうというものです。
最初のキーワードは恐竜の「起源」。恐竜は爬虫類なので、もともとはワニやトカゲのように四足歩行で、がに股で腕立て伏せをするように這って歩いていました。
しかし恐竜はあるとき二足歩行になります。そのとき、がに股ではなく足を体の下に真っすぐ伸ばすようになる。そうすると足だけを動かして歩くことができ、さらに四足歩行に比べて速く走れるため、敵から逃げたり獲物に追いつくことができるようになる。そして同じ時間とスタミナで遠くまで行けるようになることで、恐竜はほかの爬虫類よりも繁栄していったと考えられています。
最近、恐竜に近い爬虫類が次々に見つかっていて、今回は「アシリサウルス」というアフリカで発見された恐竜の親戚を紹介しています。化石を見るとすごくよく似ています。恐竜と爬虫類の境目は難しく、どこまでが爬虫類でどこからが恐竜かはわからないくらい連続的な進化があった。初期の恐竜はみんな二足歩行で体が小さく、その機動力にものを言わせて世界中で繁栄していった。最初の恐竜は小さな二足歩行の爬虫類で、爬虫類の中の少数派に過ぎなかったのです。
キーワード「植物食」は、恐竜が大きくなった理由のひとつ
もともと恐竜はすべて肉食でした。しかしあるときチャレンジャーがいて植物を食べはじめます。植物という資源は豊富にあるので、植物を食べる恐竜は一気に個体数を増やし、それにともない種類も増えていきました。
恐竜は大きいというイメージがありますが、恐竜が大きくなった背景には植物を食べはじめたことと関連があると考えられています。植物は繊維が固くて消化に時間がかかります。私たち哺乳類は歯でよく噛んで租借し、長い腸で分解していますが、初期の恐竜はあまり租借することができませんでした。噛み付いて飲み込むくらい。そうすると腸を長くして消化をしなければならない。そのため自然と体が大きくなりました。
「カマラサウルス」という恐竜は26mくらいですが、最近37mクラスの恐竜が見つかったというニュースがありました。「カマラサウルス」の子どもの実物化石を展示しています。子どもは小さいけれど、植物を食べどんどん大きくなっていきます。
最新恐竜研究の成果ですが、チリで発見され、2015年に命名された「チレサウルス」は、もともとは肉食恐竜でしたが、植物を食べるようになった変わり者です。2015年に一番注目された恐竜のひとつです。
キーワード「飛翔」では、恐竜から今の鳥までを化石で追う!
恐竜はすべて絶滅したのではなく、その一部は鳥として現在まで進化を続けているということはわかっています。「ミクロラプトル」は2000年代に中国で発見された鳥類へ進化する過程の羽毛恐竜です。前足には羽ばたき能力はなく、後ろ足にも翼があり四翼で枝から枝へ滑空していたと想像されています。そのようにしているうちに前足の羽ばたき能力が高くなると後ろ足の翼が必要なくなり、そして現在の鳥の姿が完成するというのが化石で追えるようになっています。
また2015年に命名され、その年イチ押し恐竜が「イー」という、コウモリやムササビのような膜を持っていた恐竜。今の鳥で膜を持っているものはいないので、膜で空を滑空するのは進化においては失敗したというか、引き継がれなかったというのがわかります。
本展の目玉! キーワード「水中進出」で
史上最大の肉食恐竜「スピノサウルス」が登場!
肉食恐竜は「ティラノサウルス」のように二足歩行で陸上を走り回るイメージです。実際、肉食恐竜は二足歩行で水の中には進出しないと思われていました。
しかし長い間謎に包まれ、2014年にようやく全身骨格が復元された「スピノサウルス」は、四足歩行で水の中で長い時間を過ごす恐竜だったらしいという驚きの発見がありました。しかもティラノサウルスよりも2mほど大きい全長15mほどもあるのです。
「スピノサウルス」の鼻の先端にはいくつもの穴があり、それはワニと同じような魚などの動きがわかる感覚器官です。陸上では四足歩行し、水中では後ろ足で水をかき、しっぽも使って水中を移動していたと考えられています。
背中の突起(骨板)の機能は未だに議論していてわかっていませんが、「ステゴサウルス」のように表面に血管がないので、体温調節に使われていたものではなさそうです。おそらく威嚇や縄張り等に使われていたのでは、と考えられています。
キーワードの「恒温」から新たな恐竜の秘密が明らかに!?
爬虫類は変温動物ですが、鳥は恒温動物で、体温を保とうとします。恐竜には飛べなくても羽毛を持っているものもいて、温暖な地球でなぜ羽毛が必要だったのかという疑問が出てきます。
今までは、鳥に進化するにつれて恐竜も羽毛を持ち恒温動物になったと納得していましたが、恐竜の中で鳥になるのは竜盤類という種類。しかし2014年に報告された「クリンダドロメウス」は鳥盤類という鳥にならない種類の恐竜なのに、鳥類と同起源の羽毛を持っていたのではないかとされています。
もしそうだとすると、羽毛は鳥類の起源の近くではなく、竜盤類と鳥盤類が枝分かれする前に出現していなければなりません。つまり恐竜は最初から羽毛を持っていて、恒温動物への進化をはじめていたのかもしれません。最近、テグトカゲも産卵期には恒温動物になるという驚きの事実が発見されました。
「恐竜博 2016」では、恐竜研究の最先端の成果を迫力ある全身骨格、貴重な実物化石を通してたっぷり楽しめます。ぜひ実物をご覧ください!
【レポート】「恐竜博 2016」監修の真鍋真博士(国立科学博物館)が、2016年3月12日(土)全国公開のディズニー/ピクサー最新作『アーロと少年』のピーター・ソーン監督とトークイベントを開催!
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