「宇和島伊達400年祭」が背景の歴史+青春スペクタクルムービー!
ー 今回の映画「海すずめ」撮影のきっかけは?
大森研一監督
実は2014年に公開した映画『瀬戸内海賊物語』がきっかけなんです。同じ愛媛が舞台の映画なので、この映画を通して宇和島伊達家13代当主と出会い、2015年の宇和島伊達400年という節目に宇和島を盛り上げようと、「海すずめ」の企画が立ち上がりました。
ー 主人公の「すずめ」は小説家という設定ですが、当初はモデルというのも考えていたそうですね。
大森研一監督
オリジナルの脚本なので、まったくの白紙の状態からストーリーをつくらなくてはなりません。どんなふうに話を終えるか、なかなか「これだ!」と満足いくものができずに設定は二転三転し、2つほどまったく異なる物語も書きました。
最初に企画が立ち上がったのが2013年で、2015年に開催される「宇和島伊達400年祭」を撮影することは決まっていましたが、少し時間があったので、ずっとストーリーをどうするか悩んでいましたね。
「伊達図書館」が、すべてをつなぐ鍵に!
脚本がなんとかできあがったのは、撮影に入る4〜5ヵ月ほど前でした。きっかけになったのは空襲で焼けてしまったという「伊達図書館」。ちょうど戦後70年でもあり、これで話が一気にまとまり、伊達家400年の歴史と、今という時代をすべて結びつけることができました。
ー 映画の中に出てくる歴史的なものやストーリーが、どこまでが本物で、どこからが映画のための設定や準備をしたものなのか、とてもうまく馴染んでつながっていますね。
大森研一監督
すずめの仕事は自転車で図書館の本を届けることです。以前は車を使った移動図書館はありましたが、自転車で本を届けるというのは映画の設定です。あとは物語のキーとなるお姫様の打ち掛けの刺繍図録が紛失していること。これも映画の設定ですね。
一方、伊達家の蔵は本物です。蔵の中で役者さんたちが触っているものはこちらで用意したものですが、それ以外はすべて本物。今回はご当主が企画の中心にいらっしゃったので、貴重なものをいろいろと使わせていただくことができました。映画のオープニングで写っている鎧なども接写までさせてもらっているので、それもこの映画の見どころのひとつだと思います。
ー 景色もとてもきれいでした。今回の撮影ではドローンを活用したと思いますが、ドローンを使うことで新たな可能性は感じられましたか?
大森研一監督
絵づくりで我慢をしなくてすむようになりましたね。理想通りの絵が撮影できました。ドローンを多用するのはよくないと思いますが、決めたいところでちゃんと使えば、作品としてのグレードはアップすると思います。また今回は城から海、そして町も見せたいなど、こちらの意図をしっかりと絵に込めることができました。『瀬戸内海賊物語』のときにあればな、と思いましたね。
でもドローンでの撮影はものすごく先まで映るので、すずめを演じた武田莉奈さんは、自転車で1km近く全力で走り、また戻ってというのを繰り返したこともありました。役者さんにとっては体力的に大変なことがあるかもしれません。
夢や今の自分に悩んでいる方は共感し、勇気をもらえる物語
ー 『瀬戸内海賊物語』に続き、今回も歴史がからんだ物語ですね。
大森研一監督
『瀬戸内海賊物語』では村上水軍を取り上げて話題になりました。今回の宇和島伊達家も、歴史マニアの方も支藩と思っている方がいらっしゃいますが、宇和島には伊達家の長男が仙台から来ているんです。そういう新たなところも示していけるのはおもしろいですよね。新しい魅力的な人物を掘り起こしていくもの楽しいです。でも時代劇ではありませんし、幅広い方々に観ていただきたいので、難しい感じではなく、家族で観られるようにつくっています。
ー 実際に「海すずめ」を拝見させていただき、親子で楽しめる映画だなと感じました。
大森研一監督
歴史ものですがわかりやすく、どこか宝探し的な要素も入れているので、お子さんも観やすいと思っています。完成披露試写会を観た6歳のお子さんから、ここは詳しくはお話しできませんが「よかったね」という感想があり、6歳のお子さんにもちゃんと伝わるお話になっているなと、安心しました(笑)。
ー 監督がこの映画に込めた想いを教えてください。
大森研一監督
何をしたいか、何を目指したいか、夢や目標、今の自分に悩んでいる方は共感しやすいストーリーかなと思います。主人公のすずめが挫折したり、それを乗り越えたり、先輩としてそういう道を示しています。そして自分が行動するにあたり、何が力の源になっているんだろうということを考えて、大切な何かに気が付いてもらえたら嬉しいですね。
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