潮路との再会、また新たな冒険をしてみたい!
ー「ガンバ」でまた冒険ができるとしたら、次はどんな冒険をしたいですか?
梶裕貴さん:やっぱり潮路と再会したいですね。
神田沙也加さん:え、出ていいですか?
梶裕貴さん:もちろん! 冒険のお話なので終わりはないと思いますし、いろいろな冒険を見てみたいですよね。潮路との再会もそうですし、もうちょっと大きくなった彼らも見てみたいなと思います。
ー 今度はヨイショっぽい立場だったり?
梶裕貴さん:そうですね。立場も変わっていくのかなぁ。
ー 神田さんは、ガンバとはどういう再会が理想ですか?
神田沙也加さん:やっぱり島を飛び出した形で、違う場所でお会いできたらいいんじゃないかなと思いますね。でもどういう形かなぁ‥‥。ガンバが迎えに来てくれてもいいですね。「行くよ!」って。
梶裕貴さん:でも絶対、ツブリがいないと行けないですよね(笑)
神田沙也加さん:そこがポイントなんですよね(笑)。今回もツブリがいなかったらっ! もうっ! という存在なので、ぜひガンバ一味に加わってもらって、ワールドワイドに活躍できたらいいですね。
20代最後の作品、30代も、今までと変わらず全力で頑張っていく
ー 梶さんは今29歳で、もうすぐ誕生日。この映画が20代最後の作品かと思うのですが、20代と30代、どう変わっていくと思いますか?
梶裕貴さん:実際にどう変わるかは、なってみないとわかりませんが、20代と30代では心構えというか、意識も変わるかな。でも30代になるにあたっての心の準備もしてきたつもりで、いろいろな先輩方にお伺いしても「30代は楽しかった、楽しいよ」とお答えになられて、でも「20代を一生懸命頑張ってきた人たちだけどね」、という言葉もおまけで付いてくるので、30代が素敵なものになるように、特に20代後半は真摯にお芝居に向き合い、取り組んできたつもりです。仕事のスタイル、プライベートの過ごし方も変わっていくのかなと思っていますが、充実した30代を迎えられればいいですね。
ー 20代の手応えはどうでしたか?
梶裕貴さん:全力でやってきたかな、と思います。後悔はないし、やりたかった、やってみたかったけどご縁のなかった作品もあるわけですが、そういうのも含めて、自分にとって意味のある出会いだったんだと思っています。このまま変わらず、全力で頑張っていきたいと思います。
ー 具体的には30代にはこれをやりたい、やるぞ、というのはありますか?
梶裕貴さん:う〜ん‥‥。作品とは出会いかな、と思っていて、自分の考えや理想はあるけど、それとうまく噛み合うところで、出会うべくして出会うんだろうなと思いながら、何事も一生懸命やることかな、と思っています。
声優になるために、子どもたちが今できることは?
ー 梶さんは新人の頃「ご飯を食べるのもいっぱいいっぱいで、お芝居になかなか集中できなかった」そうですが、それでも声優を続けてこられたのはなぜですか?
梶裕貴さん:当然、何度も心が折れそうになりましたけど、やっぱり「悔しかった」からですね。まだちゃんと見ていただけていない、評価してもらう前の段階であきらめたらもったいないなと。実際にいろいろと仕事をして、それでもうまくいかない、先が見えないということなら違ったんでしょうけど、まだちゃんと見てもらえていないし、もっとできるはずだと自分の力を信じていました。
ー 神田さんは声優をはじめ舞台やテレビなどでも活躍されています。声だけと、自らが出て演技するのでは、気持ちや役に対する考え方、取り組み方は変えているんでしょうか?
神田沙也加さん:お客様がいらっしゃる空間と、お見せしたいもの、そのサイズ感や距離感によって取り組み方は変えています。たとえば大きな劇場でのミュージカル。だいたいみなさんに「ミュージカルのイメージは?」って聞くと「(身振りをつけて)わたしは〜♪」みたいになりますが、それはそういうイメージでやっているのではなくて、空間に合わせると必然的にそうなるんです。
大きな劇場で最後列から舞台を見ても豆粒くらいにしか人が見えないときに、ちょっと眉毛を動かして顔の表情を変えても伝わりません。そんな視覚に頼れないなかでは、声色を考えるんです。これはお芝居とアフレコで共通しているところで、お芝居をしていて、すごく役立っているかなと感じます。なのでその場で求められているスケールというものを、常に読むようにしています。
ー 声優を目指している子どもたちへのアドバイスをお願いします。
梶裕貴さん:僕は中学から声優を目指していて、声優になるということを中心に学校生活やアルバイトをしてきました。それはそれで大事なことだと思うのですが、でもそれだけにならないで、いろいろなことに興味を持ってやってみるのがいいと思っています。それこそ学校生活は学生時代にしか経験できないことですし、その経験は声優という仕事に役立つことがあるかもしれません。声優になるためにこれだけしかしない、と頑なにならずに、そのときそのとき、いろいろなことに幅広く挑戦したり、体験したり、感じる感性を育てるのが一番いいかなと思っています。
ー 神田さんのように活躍したいと思っている子どもは、何から勉強したり、どのように目指したらいいですか?
神田沙也加さん:今のうちに、興味のあるものを深く知っておいた方がいいと思います。習い事も、やりたくてやっていることばかりではないと思うのですが、習ったこととか、そこでの先生との出会いやお話などで得た知識や経験は、大人になったときに“得にしかなっていない”というか。特技ってもちろん多ければ多いほどいいし、それで人のことを喜ばすことができるんですよ。それはすごくおもしろいことなんだ、ということを、今のうちにわかったうえで、好きなことに取り組んでもらえたらと思います。
インタビュー後記
「バタバタで大変ですね」と気遣ってくれた神田沙也加さん。しかし大変なのは神田沙也加さんと梶裕貴さんの方。インタビュー前は朝からイベントに出演し子どもたちとの撮影会をやったり、完成披露試写会で舞台挨拶をし、このあとまだいくつものインタビューが控えている。
「ガンバ」は、そのストーリーはほとんど覚えていないのですが、子どものころテレビアニメを観ていました。そのころと比べかなりスリムになったガンバが軽やかにスクリーン上を駆け巡るこの映画は、梶裕貴さんもおっしゃるように日本のアニメーションの底力を感じさせてくれるとともに、小さなガンバたちが強大な敵に立ち向かう姿に、子どもたちはきっと夢中になることでしょう。そして大人たちには幼い頃の気持ちを思い出させてくれる、親子で一緒に楽しめる映画になっています。
今や人気・実力ともNo.1の若手声優となった梶裕貴さん、声優はもちろん、舞台やテレビなど多方面でも活躍している神田沙也加さん。2人とも目標を設定し、その実現に向かって真摯に努力できる、その意思の力があるからこそ、今活躍しているんだなと感じました。
梶裕貴(かじ ゆうき)
1985年9月3日生まれ。「進撃の巨人」(エレン・イェーガー役)、「ワールドトリガー」(三雲修役)、「七つの大罪」(メリオダス役)、『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』(フユニャン役)など。第7回、第8回声優アワード主演男優賞を受賞。
神田沙也加(かんだ さやか)
1986年10月1日生まれ。「レ・ミゼラブル」他、数多くのミュージカルに出演。透明感のある歌声と演技力に定評がある。国民的大ヒットを記録したディズニー映画『アナと雪の女王』日本語吹替版でアナ役を担当し、第9回声優アワード主演女優賞を受賞。
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