クラウドファンディングで『おさるのジョージ』原作者のドキュメンタリー映画を制作!

ドキュメンタリー監督・山崎エマ監督インタビュー!

クラウドファンディングで『おさるのジョージ』原作者レイ夫妻のドキュメンタリー映画を制作した映画監督の山崎エマさんにインタビュー!映画『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』をはじめ、サードカルチャーのアイデンティティについても話を聞いた
日本では2018年夏に公開される映画『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』の監督を務めた山崎エマさん。映画はもちろん、自身のアイデンティティというセンシティブな話もたくさんしてくれました

2018年夏に映画『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』が公開。子どもはもちろん、世代を超えて世界中で愛されている絵本『おさるのジョージ』の原作者夫妻の知られざる波瀾万丈の人生を、かわいいアニメーションを交えて再現したドキュメンタリーです。そして、この映画の監督が日本人の山崎エマさん。クラウドファンディングで2,000万円近くものお金を集め、26歳という若さでつくりあげた映画は、ロサンゼルス映画祭など数々の映画祭で上映。世界で活躍するエマさんに、映画、クラウドファンディング、そしてイギリスと日本のハーフという自らのアイデンティティについて、話をお伺いしました。(インタビュー:2017年11月13日(月) / TEXT:キッズイベント 高木秀明 PHOTO:大久保景)

この映画は “私がつくる!”
何も決まってないなかインタビューを開始

– 映画『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』を拝見させていただきました。

クラウドファンディングで『おさるのジョージ』原作者レイ夫妻のドキュメンタリー映画を制作した映画監督の山崎エマさんにインタビュー!映画『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』をはじめ、サードカルチャーのアイデンティティについても話を聞いた
Photo:南ミシシッピ大学デグルモンド児童文学コレクションより

絵本『おさるのジョージひとまねこざる)』の原作者は、ハンス・レイマーガレット・レイというユダヤ系ドイツ人の夫婦です。夫のハンスが絵を描き、妻のマーガレットがお話を書いていました。

パリに住んでいた2人は1940年6月、ナチスの侵攻から逃れるため、自転車に乗って戦火のパリを脱出するのですが、極限まで切り詰めた荷物の中にはジョージの原稿がありました。映画ではジョージとともに戦争をくぐり抜けた2人の波瀾万丈な人生を、たくさんの資料とインタビュー、親しみやすいアニメーションで描いています。

ハンスとマーガレット、この夫婦のことをたくさんの人に知ってもらいたいと思ってつくりました。日本では2018年の夏に公開予定です(シネマカリテにて限定公開ほか全国順次ロードショー)。

–  小学生のころ図書館で『おさるのジョージ(ひとまねこざる)』を見つけて以来のファンですが、作者がユダヤ系ドイツ人のご夫婦で、こんな人生を送っていたとは、まったく知りませんでした。

私も子どものころに絵本は読んでいましたが、日本語で読んでいたから日本のおさるだと思っていました。でもニューヨークの映画大学に進学したとき、『桃太郎』や『きかんしゃトーマス』は誰も知らないけど、おさるのジョージのことはみんな知っていて、ジョージはいろんな国にいるおさるなんだと気が付きました。作者の劇的な人生の話も、小さなころから身近にあった絵本の作者だったからこそ惹かれました。

※モンキービジネスの英語版トレーラー

– この映画を撮ろうと思ったきっかけは?

知人を介して知りあった原作者の資料を管理している財団のレイ・リー・オンさんから、「ジョージの原作者の話を知ってる?」と教えていただいて興味を持ちました。でもとてもすごい話なので、絶対にもう映画化されていると思って何度もGoogleで検索しましたが、映画が見当たらない。何度確認しても見つからないので、それなら “私がやらないと!” と思ってはじめました。

まずは自分の貯金で機材を安く借りて、大学時代の仲間と一緒に、とりあえず作者の知り合いのインタビューから撮りはじめました。お金がなくなったら仕事をしてお金を貯めて、次はあの街にいるこの人に話を聞こうとか、そうやってインタビューを撮れば撮るほどおもしろくなっていきました。

だんだん知り合いも増えて情報や資料も集まるようになると、これを作品として映像化するには何をしなければならないかを決めて、資料のないところはアニメを使おうとか、調べたり、つくりながらやることが見つかって、最終的にこの形になりました。

インタビューを撮りはじめたころは、どんな話にするのか、どう終わるのか、入口も出口もまったく決まっていませんでしたが、映画をどうするかを決めてからの撮影だったら、おそらくまだはじめられていなかったんじゃないかと思います。

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ハリウッドでの映画化の話もあったようですが、なかなか形にできなかったみたいです。普通の映画は私のようなつくり方とはまったく違いますから。でも、だからこそ早くつくらなきゃって思いました。初監督作品でこの映画を手がけられたのは幸運でした

– ドキュメンタリーの良さは、そういう、どうなるかわからないけどはじめちゃえ、ということができるところですか?

そうですね。劇映画って脚本があって、役者さんやセットも決まって、決められた期間、たとえば6週間で撮影するとかですよね。編集に時間がかかることはあっても、撮影はまとめて撮ることがほとんどです。でもドキュメンタリーは、撮影することによって新しい発見や、撮影しなければならないことがわかることも多くて、最初からすべてわかったうえでの撮影ではないんです。だから資料がないところはアニメ化しようとなって、急遽アニメーターと話あったりとか。

– そうすると、なかなか終わりが見えないですよね。

そうなんですよ。でも映画を撮りはじめてから3年目にクラウドファンディングをしたことで、「私もマーガレットをよく知っている」とか、ブラジルにいるハンスの親戚も連絡をくれてインタビューをさせていただきましたが、ほとんど知っている話で、そのとき私の中で、だいぶふたりの話は集まったんだなという実感があって、これ以上、新たにインタビューや資料を探す必要はないなと、終わりが見えてきました。

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映画は世界中からアーカイブ映像を集めて制作された。たとえばパリから大勢の人が脱出しているシーンは映画ではワンシーンだが、実はワンカットワンカット違う素材を、一番インパクトがあるように並べている(画像:『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』より)

レイ夫妻の勇気を伝えたい!
ふたりの人生からきっと何かを得られる

– 日本では2018年の夏公開予定ですが、海外では2017年に公開しています。観た方の感想は?

2017年の6月に開催されたロサンゼルス映画祭で10本あるドキュメンタリーのうちのひとつに選ばれ、映画監督としてワールドプレミアに出席しました。最初の映画の最初のワールドプレミアって生涯に1回しか経験できないことですし、大きな劇場で満員の観客が笑ったり、最後はうるっとしたり、それを体感して、最後にQ&Aをしたときは、超嬉しかった。

ジョージのことを知らない人も感動してくれて、「レイ夫妻のスピリットを感じることができた」「レイ夫妻を知り合いのような気持ちにさせてくれた」「勇気をもらった」という意見が多くて、ふたりの勇気や、ふたりが冒険家だったということをうまく伝えられたと思いました。

レイ夫妻のことを知ることで、戦争を経験していなくても、ユダヤ人じゃなくても、このふたりから何か得られることがあると思って映画をつくっていたので、それが伝わった感じのコメントをもらえたのはよかったですね。

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2017年の夏にボストンで上映したときには映画に出演してくれたほとんどの方が観に来てくれました。レイ夫妻と交流のあった方々が映画を観て、喜んでくれて、「この通りのふたりだった」と言ってくれたのは一番ホッとしました。レイ夫妻が自分たちのことをどう残して欲しいかも考えてつくった映画なので、ふたりを知っている人たちが共感してくれたのは嬉しかったですね

ジョージと一緒ならわかりやすい
子どもたちが世界や戦争を学ぶときの教材に

– 『おさるのジョージ』というと子どもも観られる映画かと思いますが、戦争の話でもありますし、小さい子どもにはちょっと難しい内容ですね。

子ども用の映画ではないので、早くても小学校高学年くらいじゃないとわかりづらいですね。だから私としては、幼稚園や小学校低学年でジョージを大好きになった子どもたちが、もうちょっと大きくなって、世界のことや戦争のことを学びはじめたときに、その入口として使ってもらえたらと思っています。

ジョージという思い入れがあるキャラクターだからこそ観やすいし、学校の図書館にあったり、学校の教材で使ってもらえたら嬉しいですね。楽しく観られると思うので、そこから戦争についての授業をしたり、ヨーロッパやユダヤ人のことを勉強する教材などにも、将来的にはなったらいいなと思っています。

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日本でも大人気の『おさるのジョージ』。映画『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』でジョージとともに冒険を続けるレイ夫妻の姿は、子どもたちにも大切なことを伝えてくれます

クラウドファンディングで夢を実現!
でも「もう一回やりたいとは思いません(笑)」

– この映画をつくるため、クラウドファンディングで映画制作に必要な2,000万円を集めましたね。

クラウドファンディングでは最終的に1,500人くらいの方にご協力いただきました。全員ではありませんがリターンも相当な数があり、プレゼントの発送はとても大変でした。Tシャツは少しプリントが曲がっているとクレームがあったり、それらをすべてひとりで対応しなければならないのは辛かったですね(笑)。

でもクラウドファンディングのいいところは、リターンをすれば、寄付していただいたお金はプロジェクトに関することなら自分の好きなように使えることです。通常、映画は投資をされたら、投資家から内容をはじめいろいろなプレッシャーを受けますから。

また映画をつくりはじめてから2年経っていて、3年目の直前で、たくさんの方から支援をいただけたことは、“やっぱり自分のやっていることはおもしろいんだ” “多くの人が映画を待ってくれているんだ” ということがわかって、自信にもなったし、いいものをつくらなきゃと気合いも入りました。

クラウドファンディングがなければ映画はできていないと思いますし、そこで注目を浴びたからこそ、配給会社にも興味を持ってもらえました。目標額に達したのがギリギリで、今までの人生のなかで一番大変で命を削ったと感じていますが、それだけの価値はありましたし、ジョージという味方もいて、やってよかったなと思っています。もう一回やりたいとは思いませんけど(笑)。

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クラウドファンディングがないと実現しないプロジェクトもたくさんあると思うので、達成できれば、夢を叶えるすごくいい方法だと思います

– 1,500人の支援で2,000万円って、ひとり平均1万円以上です。かなり高額ですよね。

そうなんです。普通はひとりの支援額は3,000円くらいなんです。私が高額にできた理由は2つあると思っていて、ひとつは、まったく知らない人から1万ドル(約110万円/2018年1月末現在)という、高額支援の方が何人かいらっしゃったんです。

もうひとつは、『おさるのジョージ』の作者がユダヤ人だったということが大きいと思っています。お名前からしか判断できませんが、ユダヤ系の方は100ドル〜200ドル(約1万1,000円〜約2万2,000円/2018年1月末現在)の寄付が多かったんです。「ジョージの作者はユダヤ人だったんだ!」と、はじめてクラウドファンディングをされた年配の方もたくさんいらっしゃって、ユダヤ人の方もその事実をご存知ない方は多かったようです。日本人も200人くらいいましたね。なかには2017年の夏に松屋銀座で開催した『おさるのジョージ展 「ひとまねこざる」からアニメーションまで』に来てくださった方もいました。

締切の5日前はまだ700万円近く足りなかったのに、最後に支援金を倍にしてくれた人がいたりして、最後の最後で目標額を達成しました。その瞬間はネットで生配信しましたが、大号泣でした。

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クラウドファンディングは、映画づくりの中で一番大変でした。知り合い全員を巻き込んでいたし、精神的にかなり追い込まれました

お金もない私に仲間がついて来てくれた理由
映画はひとりじゃつくれないから、おもしろい

– 『モンキービジネス』をつくるのに、たくさんの大学の仲間がエマさんに協力しています。協力してもらうコツ、工夫などはありますか?

監督ってリーダーにならなくちゃいけなくて、私生活からすべての面で、この人にだったらついて行こうと思ってもらえる人間にならないと、誰もついてきてくれないと思うんです。その部分ではさらに自分磨きをしていかないと、今回はうまくいったかもしれないけど、次はできないなと。それはひしひしと感じていて、いい映画が撮れるということだけじゃなくて、人間的な良さも必要かと思っています。

さらに今回は、この映画の話があまりにも魅力的だったんです。ハンスとマーガレットのふたりの虜になっちゃって、とにかくふたりのことを知って知って、それを伝えたいという強い想い、英語だと「Obsessed(オブセス)」って言いますが、取り憑かれたように心を奪われて、だからとにかくどうすれば実現できるかだけを考えていたんですが、仲間も私と同じように感じてくれたから、ついてきてくれたんだと思っています。

私はアニメもつくれないしグラフィックも作曲もできないので、こうしてほしいという指示を出して、できる人にお願いしていました。だから完成した映画を観ると私の映画なのかなと思ったりもしますが、お願いしたことが自分の想像を上回る形で返ってくるチームだったし、これが映画のおもしろいところだと思っています。ひとりがいろいろな才能を持っていたとしても、自分の発想にないことを提案してくれたり、発想をさらによくしてくれる人たちが必要なんです。映画って、ひとりじゃつくれないんです。

クラウドファンディングで『おさるのジョージ』原作者レイ夫妻のドキュメンタリー映画を制作した映画監督の山崎エマさんにインタビュー!映画『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』をはじめ、サードカルチャーのアイデンティティについても話を聞いた
自分磨きは、友だちのことを思いやるとか、仕事だけじゃなくて、時間を守るとか、いいときも悪いときも心配しあったりとか、相手をリスペクトした付き合い方をするということが大切だと思っています

世の中を変える “映像の力” ってすごい!
映像を “無関心を減らすツール” に!

– 19歳でアメリカの大学に入学して映画を勉強していますが、そもそも映画に興味を持ったきっかけ、目標は?

みんな私がずっと映画づくりの道を歩いていたと思っているようですが、正直そんなに強い気持ちはなかったし、実際に映画学校に行ったらみんな3歳のときから映画監督を目指しているとかそんな人ばっかりで衝撃を受けました。

中学2年生くらいのときにカメラを触る機会があって、その頃から学校内の行事を撮影して編集して、ということをやりはじめました。たぶんストーリーテラーになりたい気持ちがあったんだと思います。

でも文章を書くのは好きでも得意でもなくて、じゃあ映画づくりの勉強をしようかなというくらいの気持ちでした。だから映画が好きでよく観ていたということはないし、現実の方に興味があるから、映画を観る2時間があれば人と会って話をしていたいんです。

大学2年生のときに3ヵ月ほどひとりでケニアに行ったことがあるんです。ボランティアという名の自分探しみたいな感じでしたが、そこで友だちがたくさんできて、そうするとケニアを離れたあとでも、その国や友人のことは気にかけているんです。だからケニアで何かあると他の知らない国よりも焦るし心配するし連絡します。

いろいろな国に対して、みんながこういう気持ちを持てたらいいなと思ったんですが、みんながみんな、そんなに世界のあちこちの国に行けるわけではありません。だから私がいろいろな国の映像を撮り、それを観てもらって関心を持ってもらえたら。無関心を減らすツールとして映像の力を使いたいと思ったんです。

映画学校を卒業して、テレビ番組などで何百万人、何千万人の人が観るプロジェクトに関わると、時間はかかりますが、その番組の影響が見えるんです。観た人の心が動いて行動が変わるとか、世の中のルールが変わるとか、ちょっとずつですが何かが変わっていくのを目の当たりにすると、改めて映像の力ってすごいと実感します。ドキュメンタリーを通して、多くの人がもっとほかの国に関心を持ってもらえるようにしたいと思っています。

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両親とも先生で、教育についてはよく考えてくれたと思っています。日本と英語圏ならどこでも対応できる力が養われたのは親のおかげです

小学校は公立、中・高でインターナショナルスクール
両方経験したからこそわかる、日本の小学校は素晴らしい!

– エマさんの背景など、ご自身について教えていただけますか?

私のお母さんは日本人で、お父さんはイギリス人です。小学校は大阪の公立に行き、中学・高校はインターナショナルスクールに通って、英語圏なら行きたい大学に行けるような教育をしてくれました。海外に行ったからこそよくわかるのですが、日本の小学校の教育は本当に素晴らしくて、両方のいいとこ取りをさせてもらったと思っています。

日本の小学校では自分たちで給食の配膳や掃除をしますが、これによって集団の中での協調性や責任感、友だちに対する思いやり、目上の人を敬う気持ちが、より養われると思っています。この経験をした人としていない人では、人間性が違ってくるかなと思うほどです。

また今は問題になっていますが、私にとっては組体操は一番いい思い出になっています。7段の組体操で、私は体が大きかったから一番下で、膝からは血がダラダラみたいな。危険なのはもちろん理解できますが、あれを目指す精神というのも理解できるし、“がんばればできる” という自信や達成感、団結力を養うにはすごくいいと思っています。でも組体操に限らず、みんなで準備や練習をする運動会や文化祭のような行事は本当に素晴らしいですね。

インターナショナルスクールにもアメリカの小学校にも運動会はなくて、スポーツフェスティバルみたいなのがあったとしても、みんなで練習なんてしなくて、当日行って、走って、みたいな。だから日本の運動会にある競う真剣さはとてもいいと思うし、親も一緒にできる二人三脚とか、そういうのが好き。自己主張などのアメリカ的な考え方は小学校のあと、12〜13歳からでも養えると思っていて、でも逆は無理ですよね。先に自由にさせちゃったら、もう言うこと聞かないですよ。

日本にはいいところがいっぱい
日本の良さを日本人にも伝えたい!

私は12歳までは調和を重んじる日本の教育、そして13歳の中学からアメリカ式の教育を受け、自分の意見を言える力や発想力を学びました。両方あるからこそ、日本でもある程度対応ができて、アメリカでもやっていける能力が身に付いたと思っています。

社会人になった最初のころは、どうしても人の言うことを聞くだけの仕事の時期があると思うのですが、アメリカだけの教育の人たちは、そこで挫折することが多いんです。だから和を大切にしながらも、自分のいいところを見つけていくというのは、日本とアメリカのいいとこどりができたからだと思っています。親のおかげですね。

日本で電車が時間通りに来るのは、日本の教育によって責任感のある人たちが育っているからです。日本人って一番日本の良さをわかっていない人たちかもしれないから、“これは本当は素晴らしいことなんだ” ということも伝えていきたいですね。

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電車の時間とか、日本では “当たり前” 普通と思われていることに感動します。この素晴らしさを日本人にこそ伝えたい

中学で自己主張には戸惑った
自分の子どもも、小学校は日本がいい!

– 家では日本語と英語どちらを使っていたんですか?

お父さんとは英語、お母さんとは日本語でした。そういうところは徹底していて、物心ついたときから、お父さんに日本語で話しかけるなんてあり得ないというか、そういう発想すらありませんでした。

日本に住んでいるから外では日本語の割合が多くなるので、家では親同士も英語で話をしていましたし、テレビもNHKは英語バージョン。逆にインターナショナルスクールに行きはじめたらニュースは日本語にしてと、そういうところはよく考えて環境をつくってくれていました。

– 中学からインターナショナルスクールだと、最初は自分の意見を言ったり、自己主張するのは苦労しましたか?

しました! 2年くらいは本当に辛かった。今からは考えられないほどシャイだったし、まわりに戸惑って自己主張の仕方も、言葉もうまくできなかったし、思春期ということもあったかもしれないですね。自分らしくいられるようになったのは高校からで、小学校も最後は生徒会でしたが、高校も最後はそんな活動をしていました。

両親は私のことをすごく考えてくれたけど、お父さんはイギリス、お母さんは日本の学校で育っているから、日本の小学校で育った私がインターナショナルスクールでどんな状況になるかということはわからなかったと思います。でも私も旦那もけっこう国際的になっているから、自分の子どもにはそういうこともわかってあげられるかなと思っています。

– 旦那さんはどこの国の方なんですか?

アメリカです。実家が古い映画を修復する仕事をしていて、小津安二郎や溝口健二の映画も修復しています。21歳のときに1年間、岐阜県で英語の先生をしていて、それで日本が好きになって日本の映画業界に入って映画をつくっていました。2017年11月に公開された坂本龍一さんのドキュメンタリー『Ryuichi Sakamoto: CODA』は、彼がプロデューサーをしています。

– 2017年にご結婚されて、少し気の早い質問ですが、お子さんの教育はどう考えていますか?

幼稚園はどこでもいいけど、小学校は日本がいいですね。中学校、高校は、私と旦那の仕事の関係にもよるけど、どこかに決めたら、そこを拠点に、大学までは動かないようにしたいと思っています。

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子どもにはもちろん『おさるのジョージ』は読んであげたいですね。で、大きくなったら、私のつくった映画も観せてって、勝手に思っています(笑)

英語ができるのはダメなこと?
狭間で揺れるアイデンティティ

– 日本、イギリス、アメリカと、さまざまな国と深い関係がありますが、自身のアイデンティティはどこの国になるんですか?

私は日本では外国人、アメリカでは日本人と思われるので、日本にいれば日本語が上手と言われ、アメリカに行けば英語が上手だと言われて、今となってはメリットだと考えられるようになりましたが、私は自分を日本人だと思っているので、昔はあまりいい気持ちはしませんでした。年齢を重ねるうちに自分の見られ方に対する反発も和らいで、自分に得のある受け止め方ができるようにはなりましたね。

でもずっとそういう狭間にいました。小さいときはもっともっと日本人として見られたかったけど、どれだけがんばっても、やっぱり外国人として目立ってしまったし、だから小学生のときは英語ができることはダメなことだと思っていたくらいです。お父さんが授業参観に来たときには、誰にも英語を聞かれないようにヒソヒソ話をしていました。

世界中どこもが居場所で、居場所じゃない
“国” はどんな存在で、自身の役割とは?

– レイ夫妻はユダヤ人で、ユダヤ人は国を持たない民族ですが、エマさんは日本、イギリス、旦那さんのアメリカと、たくさんの国とつながりがあります。グローバルに活躍もしていて、エマさんにとって国ってどんな存在ですか?

よく言えばワールドシチズンで、どこの国籍も持っているように感じるときもあれば、どこにいても完全に自分の居場所と感じられる場所はないというか。私は国籍は日本だし、“日本人” という説明が自分では一番しっくりするんですけどね。

10年前にアメリカに行って映画を勉強しながら大人になっていくなかで、この国はいろいろな面で私自身が自由の身になれると思って選んだ地だったんですが、そこでさえも政治的な状況が変わるとウェルカムではなくなるんだなって気がつきました。今、私が18歳だったらアメリカには行っていないと思うんです。

アメリカにずっといるには日本人としてビザの問題もあるし、それも乗り越えたけど、それも含めて私は外国人だと感じたし、でも居心地がいいのはアメリカだったり。いろんな国の知り合いがいて文化の違いもおもしろいし、だからこそ、今は日本を再発見して、それを伝えたいと思っています。

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国同士が衝突することもあるから、多くの人が世界中の国に関心が持てるよう、映像を通して無関心を減らすことができるようにしたい、それが私の役割なのかなって思っています

「サードカルチャー」は羨ましがられる存在
悩みは言えない、言ってもわかってもらえない

– 大学の卒業制作で「NEITHER HERE NOR THERE(故郷であり故郷にあらず)」という、ハーフや複数の国にまたがって国際的に育てられた人たちのアイデンティティ探しのドキュメンタリーもつくっていますね。

サードカルチャー」「サードカルチャーキッズ」と言いますが、彼・彼女らにアイデンティティについてのインタビューをして、それを記録した作品です。

大学のときに “自分は誰なんだ“ と悩んだことがあって、つくりました。お母さんは純日本人でお父さんはイギリス人で、どちらの親を見ても自分と同じ外見じゃない。自分を自分と認めてあげるのに少し時間がかかっていたんです。この映画をつくる機会があったことで、早めに解決できたと思っています。

私みたいな立場は羨ましがられることが多いんです。英語もできるし、夏休みになれば外国、私の場合はイギリスに行ったり。今となればよい経験ですが、子どものときは日本の友だちと離れてイギリスの田舎のおばあちゃんの家でずっと過ごすのは退屈な部分もありました。友だちはみんな学校のプールに行っているのに。まだ世界が狭いですから。でも、そういうことで悩んでいるということを言える機会が少なかった。あまりにも「いいね、いいね」って言われるから。

■「NEITHER HERE NOR THERE(故郷であり故郷にあらず)」(35分)

クラウドファンディングで『おさるのジョージ』原作者レイ夫妻のドキュメンタリー映画を制作した映画監督の山崎エマさんにインタビュー!映画『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』をはじめ、サードカルチャーのアイデンティティについても話を聞いた
18歳までの間に、いくつかの国を親の事情で経験したことのある子どもたちのことを「サードカルチャーキッズ」と言います。親が違う国から来ているとか、転勤族、軍隊、宗教、いろいろな事情で、「サード」は3つに限ったことではないんです。インターナショナルスクールもそうですね

2018年夏日本公開! ジョージをもっと盛り上げたい!
しばらくは日本を拠点に、2020年にも何かを発信したい

– ユダヤ人のレイ夫妻も、どこに住んでも外国人、という思いをされていたんでしょうか。映画では差別のことも少し描かれています。その映画ですが、日本では2018年の夏公開予定です。今の状況は?

配給会社がエスパース・サロウに決まり、2018年夏にシネマカリテで限定公開、順次全国公開する予定です。

アメリカでは他との連携はなくインディペンデントでしたが、日本では『おさるのジョージ』の絵本を出している岩波書店などと一緒に、ジョージをもっと盛り上げていこうと思っています。公開まではまだ半年以上あるので(2017年11月13日現在)、じっくり準備ができそうです。そのため、2017年の春から拠点をニューヨークから東京に移しました。

アメリカには9年くらいいましたが、やっぱり日本で育ったので、世界にもっと日本のことを知ってもらいたいし、逆に日本にも、もっと海外のことを知ってもらいたい。そういう気持ちが芽生えてきました。だからこそ若いうちに日本をもっと学びたいと思って戻って来ました。また『モンキービジネス』は、私がこれからたくさんの作品をつくっていくうえでの第一歩なので、私のことももっと知ってもらえたらなと思っています。

クラウドファンディングで『おさるのジョージ』原作者レイ夫妻のドキュメンタリー映画を制作した映画監督の山崎エマさんにインタビュー!映画『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』をはじめ、サードカルチャーのアイデンティティについても話を聞いた
19歳でニューヨークに行ったときは、日本に拠点を置くとは思っていませんでした。でも海外に出ると自分が日本人代表みたいになって、日本人の自覚も出てきて、日本について聞かれも答えられないというのが恥ずかしかった。海外では日本がシンプル化されて、お寿司、アニメ、福島と、話題がそれだけになってしまう。もっとややこしい日本人像というか、日本人の幅を見せたいと思っています

– 映画がこんなに広まると思いましたか?

全然! どうなるかなんてまったくわからなかった。もちろん、いいものができたら観てもらいたいし、たくさんの人に観てもらえる形にするというのは目標にしていたけど、具体的にどうすればいいかはわからなかったです。

早い段階でアメリカのテレビ番組に売り込んでいれば、資金面ではもうちょっと楽だったのかもしれないけど、自分のプロジェクトではなくなっていくだろうなと思って。だから自分でやってみようと。大きな編集の仕事もいくつかやって、タイミングもちょうどよかったし、レイ夫妻が魅力的だったから、これに人生をかけなくて、何にかけるんだろうって自然に思えました。プッシュしてくれたり協力してくれた仲間と、レイ夫妻に感謝ですよ。運命だと感じたから、なんとかしてやりたいと思ったんです。

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レイ夫妻の運命が長い時を経てエマさんにつながるとは、縁とは不思議なものです。同じ話を聞いても、運命と感じるかどうかは人それぞれです(画像:『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』より)

– 次の作品も楽しみにしていますね。

次の作品は日本をからませて、特に2020年には東京オリンピック・パラリンピックがあるので、これは私にとってはチャンスだと思っています。そのときに向けて発信する側の人でありたいですね。

ここ3〜4年は日本のことを中心にして、その後、それをグローバルに活かしたいと思っています。将来的にはニューヨークと東京を行き来しながら仕事をして、独特な背景、育ち方をしているので、自分だからこそ気がつくこと、伝えられるストーリーがあると思っています。

クラウドファンディングで『おさるのジョージ』原作者レイ夫妻のドキュメンタリー映画を制作した映画監督の山崎エマさんにインタビュー!映画『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』をはじめ、サードカルチャーのアイデンティティについても話を聞いた
今はドキュメンタリーに惹かれています。実際に起こっていることで、まだまだ伝えきれてないことがたくさんあるし、見る角度によっても見え方は変わってくるので、そこを見つけて伝えていくことが、おもしろいですね

インタビュー後記

子どもたちを、エマさんのように若くして軽やかに世界中で活躍できるように育てるにはどうしたらよいのか、今回のインタビューではそのポイントも探りたいと思っていました。

エマさん世代(20代)にとっての幸せのバロメーターは、好きなことに対してどれだけ近いことができているかだそうです。おばあちゃん世代は食べていくことで精一杯だったので、そんな状況を “贅沢” とししつも、ご自身は今、そのど真ん中近くにいて、それはいろいろなことを試させてくれた親がいたからと感じているそうです。小さいときに、自分が何が好きなのかを探ることができる、いろいろなことを試せる機会があればあるほど、将来的にはハッピーな人たちが増えると思っていると話してくれました。

幼いころからいろいろなことにチャレンジさせる、ということはひとつの方法のようです。自分の子育てを振り返ると子どもに申し訳ない気持ちにもなりましたが、何でもやらせてあげることに限界があることも事実です。ある程度は親の取捨選択は必要ですし、それに加え、「目標」や「やりたいこと」が見つかるかどうか、これもとても重要のようです。

しかし夢を実現させるのに、今は以前と比べていろいろな手段があります。クラウドファンディングのように、人の想いに協力したいという人を見つけられるツールがあること、そしてそういう人がたくさんいることは、とても希望の持てることだと感じました。

次回作、そして2020年の東京オリンピック・パラリンピックのときに、エマさんが何を発信するのかがとても楽しみです。映像を “無関心をなくすツールに” というエマさん。マザー・テレサも「愛の反対は憎しみではなく“無関心”」と言っていました。争いのない平和な世界というのは誰もが望むこと。そこに向かうエマさんの活躍をこれからも楽しみにしています。ぜひまたインタビューさせてください!

クラウドファンディングで『おさるのジョージ』原作者レイ夫妻のドキュメンタリー映画を制作した映画監督の山崎エマさんにインタビュー!映画『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』をはじめ、サードカルチャーのアイデンティティについても話を聞いた映画『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』

絵本『おさるのジョージひとまねこざる)』の原作者は、ハンス・レイマーガレット・レイというユダヤ系ドイツ人の夫婦です。夫のハンスが絵を描き、妻のマーガレットがお話を書いていました。パリに住んでいた2人は1940年6月、ナチスの侵攻から逃れるため、自転車に乗って戦火のパリを脱出します。極限まで切り詰めた荷物の中にはジョージの原稿がありました。映画『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』では、ジョージとともに戦争をくぐり抜けた2人の波瀾万丈な人生を、たくさんの資料とかわいいアニメーションで描いています。2018年夏、シネマカリテにて限定公開ほか全国順次ロードショー!
http://curiousgeorgedocumentary.com/japanese/

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モンキービジネスファンクラブ」は、絵本『おさるのジョージ』の生みの親、ハンスとマーガレット・レイのことをもっと知りたいと思う人たちのために、映画『モンキービジネス:おさるのジョージ著者の大冒険』の情報をいち早くメールで配信するほか、会員限定コンテンツも提供していく、レイ夫妻、『おさるのジョージ』ファンの方のための場です。

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クラウドファンディングで『おさるのジョージ』原作者レイ夫妻のドキュメンタリー映画を制作した映画監督の山崎エマさんにインタビュー!映画『モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険』をはじめ、サードカルチャーのアイデンティティについても話を聞いた山崎エマ

神戸生まれ。日本人の母とイギリス人の父を持つ。19歳で渡米し、ニューヨーク大学映画制作学部に進学。ドキュメンタリー制作に目覚める。英国放送協会BBCと数々のエミー賞受賞番組を手がける制作会社で研修を重ねた後、ドキュメンタリー界の巨匠サム・ポラード氏の編集助手として2本の長編映画制作に参加。卒業制作「NEITHER HERE NOR THERE(故郷であり故郷にあらず)」が大学、インターナショナルスクールで教材として使用され、アメリカ、フランス、タイ、日本などの学会でも採用される。卒業後はCNNやHBOなどでドキュメンタリー映画やノンフィクションのテレビ番組製作に携わる。

2014年より初長編ドキュメンタリー作品「MONKEY BUSINESS: THE ADVENTURES OF CURIOUS GEORGE’S CREATORS(モンキービジネス おさるのジョージ著者の大冒険」を製作。人気絵本シリーズ『おさるのジョージ』の原作者 ハンス・レイとマーガレット・レイ夫妻の半生をアニメーション、アーカイブ映像、インタビューを交えて描く。2016年夏にクラウドファンデングで18万6,000ドル(2,000万円弱)を集め、監督、プロデュース、編集を手がけ、海外では2017年に公開、日本では2018年夏の公開予定。

また2017年放送のNHKのBS1スペシャル「巨匠スコセッシ “沈黙” に挑む 〜よみがえる遠藤周作の世界〜」ではディレクターとして、スコセッシ監督のインタビュー役も務める。

日本人の心を持ちながら外国人の視点からも物事を見ることができるポジションを活かして、ニューヨークと日本を行き来しながら、さまざまなプロジェクトに携わっている。

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